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フグ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2012/02/04 05:45 UTC 版)
| フグ | ||||||||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
トラフグ Takifugu rubripes
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| 分類 | ||||||||||||||||||
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| 属・種 | ||||||||||||||||||
他多数 |
フグ(河豚、鰒、鮐、魨、鯸、鯺)は、フグ目、特にフグ科に属する魚の総称。フグ科に属さないフグ(ハコフグ、ハリセンボン)などはフグ目を参照。
185種の魚がフグ科に分類される。そのうち食用とする種として、トラフグ、マフグなどが有名。クサフグ、センニンフグなど、体全体に毒がたまる種もおり、このような種は食用には適さない。汽水、淡水性のフグの一部の種は、観賞魚として人気がある(淡水フグ参照)。
目次 |
特徴
興奮させると、腹部(胃)を膨らませる姿がよく知られる。この姿から英語では "Pufferfish" といい、これは「ふくらむ魚」という意味を持つ。腹部にとげ状の短い突起がある種もいる。日本名で「河豚」と書くが、「豚」と書くのはこの体型を指しているのではなく、フグは身の危険を感じると豚のような鳴き声を発することから「豚」の文字が当てられている。なお、中国語でも「河豚」という呼び方を使っている。「河」と書くのは古代中国では黄河など河川に生息していたためである。
歯(顎歯)がよく発達しており、これが融合した強靭な4つの歯を持つ。主に、海水魚で、汽水や淡水に生息する種もいる。 その愛嬌のある姿から、キャラクター化されることもままある。また、一般的に硬骨魚はまぶたを持たないが、フグは油瞼という膜で目を覆っている。といっても瞬間的に開閉するものではなく十数秒かけてゆっくりと閉じたり開いたりする。
漁業
主要水揚げ地
日本での県別漁獲量(2008年)[1]は以下の通り。なお、全国の水揚げの約6割が大阪で消費されている。
| 順位 | 都道府県 | 漁獲量(t) | 構成比 |
|---|---|---|---|
| 1 | 福岡 | 545 | 11% |
| 2 | 山口 | 498 | 10% |
| 3 | 島根 | 481 | 9% |
| 4 | 長崎 | 366 | 7% |
| 5 | 愛媛 | 341 | 7% |
| 6 | 石川 | 339 | 7% |
| 7 | 香川 | 274 | 5% |
| 8 | 愛知 | 259 | 5% |
| 9 | 富山 | 211 | 4% |
| 10 | 三重 | 199 | 4% |
| - | 全国計 | 5,207 | 100% |
| 順位 | 都道府県 | 漁獲量(t) | 構成比 |
|---|---|---|---|
| 1 | 長崎 | 2,496 | 60% |
| 2 | 熊本 | 554 | 13% |
| 3 | 香川 | 183 | 4% |
| 4 | 兵庫 | 152 | 4% |
| 5 | 福井 | 120 | 3% |
| 6 | 佐賀 | 114 | 3% |
| 7 | 山口 | 83 | 2% |
| 8 | 鹿児島 | 15 | 0.4% |
| 9 | 三重 | 1 | 0.02% |
| 10 | - | - | - |
| - | 全国計 | 4,138 | 100% |
養殖
高級魚であるため、養殖が昔から行われている。愛媛県愛南町では陸上養殖が行われている。だが養殖の生産量が急増したのは、当時の水産庁によるトラフグ養殖推進の方針や、熊本県などのように養殖フグ生産地の各自治体による養殖マニュアルが作成された1991年以降である。当時ハマチ・鯛等を養殖していた業者がトラフグ養殖に転換し、生産量が増加した。
2005年には佐賀県と嬉野町が厚生労働省に、フグ肝を食用として提供出来るよう特区を提案したが、現時点では100%の安全性が保証ができないと判断され却下されている。
ホルマリン薬浴問題
魚体に寄生虫(代表的なものとしてエラムシ)が付着しやすいため、その対策が養殖業者の課題となっている。ホルマリンによる薬浴が手っ取り早い方法であるといわれるが、処理後の廃水を海に流す事による環境の破壊、周辺の魚介類への汚染や、発ガン物質でもあるホルマリンのフグの身への残留が問題視されている。
2002年、東京水産大学は厚生労働省に対して、愛媛県と長崎県の養殖業者が寄生虫対策としてホルマリンを使用していることを指摘。両県が調査を実施した結果、2003年になって半数以上の業者が使用していたことが判明。同問題発覚後に熊本県等の他の自治体でも調査を実施した所、ホルマリン使用業者が多数見受けられた。この影響で長崎県では、しばらくホルマリンを使っていないフグまで出荷できなくなるなどの影響が出た。
また、ほぼ同時期に発生した真珠貝(アコヤガイ)の大量へい死では、アコヤ貝の死骸からホルムアルデヒド(ホルマリン)が検出され、近隣海域でフグ養殖業者の他にホルマリンを使う者が存在しない事から関連性を指摘される。その結果、フグ養殖業者と真珠養殖業者とが反目した他、消費者団体によりホルマリン残留問題が提起されるなど社会問題にもなった。
その後、水産庁によるホルマリン使用禁止通達や各自治体によるホルマリンを使わない養殖マニュアルの作成後は養殖でのホルマリン使用量は減少したが、依然として心ない一部業者によるホルマリンの使用は続いており、イタチごっこの様相を呈している。
2009年、ほぼ全ての養殖業者でのホルマリン未使用が漁協にて確認されている。
輸入
2002年、初めてフグの輸入量が国内生産量を上回った[2]。2002年の輸入先の99%は中国であり、残りは韓国である。近年は養殖技術の向上により、これらの国の養殖フグも大量に輸入されている。
なお、中国産食品の安全性問題はフグ関連でも発生している。アメリカにおける、中国産のアンコウの切り身でのフグ・フグ毒の混入、及び日本と米国ハワイ州における中国産カワハギの切り身でのフグ・フグ毒の混入が代表例として挙げられる。
ブランド化の取り組み
フグは、山口県下関市が本場として知られる。誤解してならないのは、下関はフグの産地というよりは集積地という点である。下関近海でもフグは獲れるが、それ以上の数のフグが、天然物、養殖物ともに全国から、そして、中国や韓国などの海外からも下関に集められる。下関がフグの本場と言われる所以として、明治期に全国で最初にフグ食が解禁になった地が下関であり(ふぐ料理公許第一号店は下関市の春帆楼。その後、山口県のみフグ食解禁の時期がしばらく続いた)、それ以降、下関には多くのフグ料理店ができ、現在のフグ料理の多くが下関で考え出されたことなどが背景にある。これらに加え、フグは猛毒がある為、水揚げ後の加工が重要であるが、この加工業者、加工場が前述の歴史的背景などから下関に集積している点が大きい。
最近では水揚げ漁港の側で加工場などの整備を行い、地場の名産品とすべく、以下のような独自ブランドを立ち上げるなどの努力も行われている。ただし、加工業者、加工場の質や数の問題もあり、漁獲されたフグの多くが下関に集中するという傾向にある。
- 玄海とらふぐ - 福岡県宗像市の漁港で、従来下関に水揚げしていたフグの一部をブランド化を目指して売り出したもの。
- 讃岐でんぶく - 香川県で水揚げされるナシフグに対して香川県漁連が認定しているブランド。2010年3月に商標登録が認められた[3]。
食材
食用にする種としてトラフグ、マフグなどが有名。特にトラフグが高級魚として知られる。詳しくはふぐ料理を参照。
日本近海においてもフグは数百種類生息しているが、種類によって毒を保有している部位が異なり、食用になる部位が全く無いものもいる。食品衛生法で定められている食用可能なフグは22種で、可食部位も筋肉、皮、精巣のいずれかである[4]。食用可能な種類と有毒種で見た目が似ているものがあり、キノコ類と同様、素人目には判断できない場合が多い[5]。
フグ料理は、一般的に高級料理として旬の冬場に食べられ、食用フグの7割が京阪神地域で消費されており、特に大阪での消費量は全消費量の6割に達する。もっとも、近年は養殖により季節を問わず食べることが可能である。フグの肝臓(ハラワタ)は多くの食通をうならせる美味であり、「フグは食いたし命は惜しし」という言葉があるように[6]、中毒を覚悟してまで食べようとする者もいる。料理評論家の服部幸應はその味を「練乳に似た濃厚な風味。アンコウの肝ほど脂っこくなく、さっぱりしている。あれを捨ててしまうのはもったいない。」と語っている。
石川県の河豚の卵巣の糠漬けなどのように、特殊な調理法により毒素を無毒化できる。しかし、どのような仕組みで分解されるのかは分かっておらず[7]、またテトロドトキシンは300℃以上に加熱しても分解されないので、限られた地域の許可を受けた業者のみが加工できる。この関係で、食品衛生法ではフグの卵巣など毒を持っている部位は個別の毒性検査によりその毒力がおおむね10MU/g以下であることを確認したもの以外は販売・調理・食用が禁じられている。
流通に関わる関連法規
フグ取扱資格は、国内統一資格ではなく都道府県ごとに定められていて、資格名称や資格取得方法に違いがあり、届け出後講習会を受講するだけで資格が与えられる地域もあれば、試験により資格を取得する地域もある。東京都などは、ふぐ調理師試験の受験資格に一般の調理師免許を取得していることが条件の1つとなっている。また、毒のないフグ(サバフグ属のシロサバフグ、クロサバフグ)においても調理にあたり資格が必要である。更に、身欠きフグのみ取扱う場合でも、フグ取扱施設許可等を必要としたり、フグ加工品の販売を行う場合に届出を必要とする地域がある[8]。
東京都を始めとする規制の厳しい自治体では、飲食店などでフグを料理用にさばくためには、フグの有毒部分の除去処理を行うことのできるフグ取扱施設の許可(届出の場合もある)とフグ取扱資格者がいる(無資格者がフグをさばくことは認められていない)ことが必要である[9][10]。
エジプトでもフグは免許を取得した者によって調理される[11]。
有毒部位の管理
盗難による悪用防止のため、施錠できる容器に保管して適切に廃棄しなければならない。また、一般消費者に対する未処理フグ(丸フグや有毒部分を除去していないフグ)の販売は食品衛生法第6条第2号該当として禁止されている。
- ^ 農林水産省大臣官房統計情報部 『平成20年 漁業・養殖業生産統計年報』 財団法人 農林統計協会、2010年
- ^ ASAHI.com 輸入フグふくらんだ 門司税関調べ、初めて国内産上回る
- ^ 「讃岐でんぶく」商標登録を認可/県産ナシフグ - 四国新聞・2010年3月31日
- ^ 「フグの衛生確保について(厚生省環境衛生局長通知)」
- ^ 「マリントキシン-毒を持つ魚介類に注意!- 自己判断は禁物、フグの毒」 国立科学博物館ホットニュース、2008年9月25日。
- ^ 末廣恭雄『日本の魚』保育社<カラーブック>、1968年、p60
- ^ フグ卵巣ぬか漬けの微生物によるフグ毒分解の検討日本水産学会誌 69(5) pp.782-786, 853 20030915 社団法人日本水産学会
- ^ 東京都市場衛生検査所 ふぐの衛生的な取扱い
- ^ フグの衛生確保について(厚生省環境衛生局長通知)
- ^ フグの衛生確保について(厚生省環境衛生局乳肉衛生課長通知)
- ^ エジプト人はパン食い人
- ^ 危険がいっぱい ふぐの素人料理東京都福祉保健局
- ^ 高橋順太郎・猪子吉人「河豚之毒」明治22(1889)年『帝国大学紀要医科』第1冊第5号
- ^ 釣りをされる皆様へ(長崎県水産部ホームページ ゆめとびネット)
- ^ フグ毒研究の最近の進歩藥學雜誌 Journal of the Pharmaceutical Society of Japan 120(10) pp.825-837 20001001 社団法人日本薬学会
- ^ 2008年3月27日放送の朝日放送「ビーバップ!ハイヒール」より
- ^ 大阪落語「ふぐ鍋」より
- ^ かがわ県産品紹介【さぬき風】 - かがわさぬき野Web版・2004年秋
フグと同じ種類の言葉
- 富山、フグ鍋食べた2人意識不明佐賀新聞
- 農業農村開発省、フグの輸出拡大に本腰VIETJO
フグに関連した本
- フグはフグ毒をつくらない (ベルソーブックス) 野口 玉雄 成山堂書店
- フグの飼い方―淡水フグから海水フグまで アクアライフ編集部 エムピージェー
- ふぐ調理師必携―付・資格試験受験要領・模擬試験問題 海沼 勝 柴田書店
フグに関係した商品
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