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ピペラシリン

分子式C23H27N5O7S
慣用名ピペラシリン、Piperacillin、6α-[[(R)-(4-Ethyl-2,3-dioxo-1-piperazinylcarbonylamino)phenylacetyl]amino]penicillanic acid、PIPC、6α-[[(R)-α-Oxo-β-[[(2,3-dioxo-4-ethyl-1-piperazinyl)carbonyl]amino]phenethyl]amino]penicillanic acid、ピペルシリン、Pipercillin
体系名:(2S,5R,6R)-6-[[(R)-α-[(4-エチル-2,3-ジオキソピペラジン-1-イル)カルボニルアミノ]ベンジル]カルボニルアミノ]-3,3-ジメチル-7-オキソ-4-チア-1-アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン-2-カルボン酸、6α-[[(R)-(4-エチル-2,3-ジオキソ-1-ピペラジニルカルボニルアミノ)フェニルアセチル]アミノ]ペニシラン酸、6α-[[(R)-α-オキソ-β-[[(2,3-ジオキソ-4-エチル-1-ピペラジニル)カルボニル]アミノ]フェネチル]アミノ]ペニシラン酸



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ペニシリン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2012/01/21 04:04 UTC 版)

(ピペラシリン から転送)

ペニシリンGの構造式

ペニシリン(Penicillin、英語発音: /ˌpenəˈsilin/)とは、1929年イギリスアレクサンダー・フレミングによって発見された、世界初の抗生物質である。

目次

概要

抗菌剤の分類上ではβ-ラクタム系抗生物質に分類される。

発見後、医療用として実用化されるまでには10年以上の歳月を要したが、1942年ベンジルペニシリン(ペニシリンG、PCG)が単離されて実用化され、第二次世界大戦中に多くの負傷兵や戦傷者を感染症から救った。以降、種々の誘導体(ペニシリン系抗生物質)が開発され、医療現場に提供されてきた。

1980年代以降、日本国内においては主力抗菌剤の座をセファロスポリン系抗生物質やニューキノロンに明け渡した感があるが、ペニシリンの発見はこれらの抗菌剤が開発される礎を築いたものであり、しばしば「20世紀における偉大な発見」の中でも特筆すべき一つとして数え上げられる。

歴史

1929年、フレミングブドウ球菌培養実験中にコンタミネーションにより生じたアオカビPenicillium notatum)のコロニーの周囲に阻止円(ブドウ球菌の生育が阻止される領域)が生じる現象を発見したことに端を発する。フレミングはアオカビが産生する物質が細菌を溶かしたものと考え(実際には、この現象は溶菌ではなく細菌の発育阻止によるものであった)、アオカビを液体培養した後のろ液にも同じ活性があることを突き止め、彼自身は単離しなかったその物質を、アオカビの学名にちなんでペニシリンと名付けた。

第二次世界大戦中のペニシリンの広告

その後、1940年H.W.フローリー(Howard Walter Florey)とE.B. チェイン(E.B. Chain)がペニシリンの単離に成功したが、1つと思われたペニシリンは、ペニシリンG、ペニシリンN等の混合物であった。翌1941年には実際臨床でその抗菌剤としての効果を確認した。フレミングの「ペニシリンの発見」とフローリー等の「ペニシリンの再発見」とそれに続くペニシリンGの実用化は感染症の臨床治療を一変させ、その功績によりフレミング、フローリー、チェインには1945年にノーベル医学・生理学賞が授与された。

2010年10月1日、1946年から1948年までグアテマラで、アメリカ公衆衛生局国立衛生研究所、公衆衛生局の医師ジョン・カトラーにより、ペニシリンの効果を確かめるための人体実験梅毒スピロヘータ接種)が行われていたことが明らかになり、オバマ大統領と厚生長官がグアテマラ大統領に謝罪する事態に発展した[1][2]。2011年3月9日、感染者関係者はこの謝罪を評価はしたものの、アメリカ政府に、11日までに和解案を提示しなければ賠償請求の集団訴訟を提起する旨通知[3]

性質

ペニシリンはβ-ラクタム系抗生物質であり、真正細菌の細胞壁の主要成分であるペプチドグリカンを合成する酵素(ペプチドグリカン合成酵素、ペニシリン結合タンパク、PBP)と結合し、その活性を阻害する。この結果ペニシリンが作用した細菌はペプチドグリカンが作れなくなり、その分裂に伴って細胞壁は薄くなり、増殖が抑制される(静菌作用)。また細菌は細胞質の浸透圧が動物の体液よりも一般に高いため、ペニシリンの作用によって細胞壁が薄くなり損なわれた細菌細胞では外液との浸透圧の差から細胞内に外液が流入し、最終的には溶菌を起こして死滅する(殺菌作用)。

この作用から、ペニシリンは増殖しようとする細菌に強く働き、この性質を利用した、栄養要求変異株を選抜(濃縮)するペニシリン濃縮法がある。

ペニシリンは、細菌だけが持つ細胞壁の合成を標的として特異的に阻害する薬剤である。細胞壁は、細菌の生存に必須な構造であるがヒトを含めた真核生物には存在しないため、ペニシリンは細菌に対する選択毒性が高く、ヒトに対する毒性は低い。この点においてペニシリンは、すでに発見・実用化されていた色素剤やサルファ剤に比べてはるかに優れており、このため実用化後には大きく普及し、他の多数の抗生物質開発のきっかけになった。

初期のペニシリンはブドウ球菌を代表とするグラム陽性菌グラム陰性球菌に対しては強い抗菌作用を示すが、大腸菌を代表とするグラム陰性桿菌に対しては抗菌作用が弱いという性質を持っていた。特に、グラム陰性桿菌の中でも薬剤に対する自然抵抗性が高い緑膿菌には無効であった。

ペニシリン開発の歴史は弱作用菌や耐性菌との戦いの歴史でもある。作用が弱いグラム陰性桿菌に対する作用増強を目的としてペニシリン骨格を種々の化学修飾あるいは置換基の化学変換により、弱作用菌への抗菌力の増強が試みられ、多くのペニシリン系抗生物質が開発された。ペニシリン系に関しては一般に新しい抗菌薬が開発されるに従って、グラム陽性菌にもグラム陰性菌にも作用を持つように移行していく傾向がある。

またフレミングが発見したペニシリンは、酸性で分解されやすく経口投与では胃液で分解されて無効になるため、当初は注射剤として用いられた。しかし、経口投与可能なペニシリン系抗生物質も、初期の段階から開発されている。




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