バージニア・スクワイアーズ
バージニア・スクワイアーズ (1971-1973)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 03:52 UTC 版)
「ジュリアス・アービング」の記事における「バージニア・スクワイアーズ (1971-1973)」の解説
1970年代当時、アメリカにはNBAとABA2つのプロバスケットボールリーグが存在したが、いずれも経営難に陥っており、すでに将来の合併に向けての話が進められていた。そんな先行きが不透明な頃に、21歳となったアービングは大学4年生には進まずに1971年、フリーエージェントとしてABAのバージニア・スクワイアーズと契約した。 「ダンク禁止」という制約から解き放たれたアービングの才能はプロの舞台で大きく花開いた。アービングはルーキーイヤーからその並外れた身体能力と豊富な空中でのムーブ、卓越したボール捌きを武器に、次々と常識外のプレイを披露。アービングが見せるかつて誰も見たことのないような動きに、観客の心はたちまちに鷲掴みにされ、アービングがリーグで特別な存在となるのにそう時間は掛からなかった。ある試合ではABAのトップセンターの一人である218cmのアーティス・ギルモアの上から強烈なダンクを叩き込み、またある試合では空中で3人をかわしてリバースレイアップシュートを決めた。1年目からオールスターゲームにも選出され、以後アービングはABAでの5年間、後のNBAでの11年間と、プロキャリア16年間全てのシーズンでオールスターに選出され続ける。1971-72シーズンの成績は27.3得点15.7リバウンド4.0アシストで、平均得点ではリーグ5位、平均リバウンドではリーグ3位に入る好記録だったが、オールルーキーチームとオールABA2ndチーム入りは果たしたものの、新人王の座はシーズンMVPとの二冠を達成したアーティス・ギルモアに譲った。新人アービングとこの年の得点王に輝いたチャーリー・スコットに率いられたスクワイアーズはデビジョン2位となる45勝39敗をあげてプレーオフに進出。プレーオフでは相棒のスコットが故障で出場時間を制限されるという災難に見舞われるも、アービングはレギュラーシーズンを上回る平均33.3得点の成績でチームを牽引し、平均20.4リバウンドはABAのプレーオフ新記録となり、さらにプレーオフ・タイ記録となる1試合53得点もあげている。チームはデビジョン決勝でニューヨーク・ネッツの前に3勝4敗で惜敗している。 1971‐72シーズン終了後、この年に大学を卒業するはずだったアービングを、NBAのミルウォーキー・バックスが1972年のNBAドラフト11位で指名した(当時NBAは大学生へのドラフト指名を禁止していた)。もしアービングがこの指名に応じ、バックスに入団していならば、カリーム・アブドゥル=ジャバーにオスカー・ロバートソン、そしてアービングと史上類を見ない強力なビッグスリーが誕生することになったが、アービングはバックスファンの期待を他所にNBAのアトランタ・ホークスとの契約にサインしていた。年俸200万ドルと当時としては破格の好条件であり、またアービングはホークス所属のピート・マラビッチとプレイできることを楽しみにしており、そして参加したシーズン前のホークスのトレーニングキャンプでのマラビッチとのプレイにアービングは大いに手ごたえを感じていた。しかしアービングのホークス移籍にスクワイアーズが黙ってはいなかった。この時点でアービングとスクワイアーズの契約はまだ残っており、また将来偉大な選手となる可能性を秘めているアービングを、スクワイアーズがみすみす手放すはずもなかった。スクワイアーズは裁判という手段に打って出て、そしてアービング獲得合戦はスクワイアーズにホークス、バックスと三つ巴の大騒動となった。司法はスクワイアーズの主張を支持し、アービングがスクワイアーズに戻ることで決着がついた。なお、この間アービングはホークスのエキシビジョンゲームに3試合出場しており、NBAでの規定ではドラフト指名したバックスにアービングの所有権があったため、ホークスの行為は規定違反となり、1試合につき25,000ドルの罰金を科せられている。 結局プロ2年目となる1972-73シーズンをスクワイアーズで迎えたアービングは、いよいよリーグトップ選手としての地位を固める。このシーズン平均31.9得点12.2リバウンド4.2アシストの成績を残したアービングは、初の得点王に輝き、オールABA1stチームにも名を連ねた。しかし資金繰りが悪化していたスクワイアーズはアービングを保有し続けることができず、シーズンオフにはニューヨーク・ネッツとの間でトレードが成立し、アービングはネッツに移籍することになった。
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