ハ112-IIとは? わかりやすく解説

金星 (エンジン)

(ハ112-II から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/30 23:01 UTC 版)

金星(きんせい)は、第二次世界大戦期に三菱重工業が名古屋航空機製作所発動機部門の深尾淳二技師を中心に開発・製造した航空機用空冷星型エンジンである。社内呼称はA8(AはAir cool の意味)。


注釈

  1. ^ ル2排気タービン過給機要目[8]
    公称回転数:20,000 rpm
    外径×全長:670×483 mm
    重量:54 kg
    過給機形式:直線翼型遠心式
    過給機インペラ径:300 mm
    過給機空気流量:1.2 kg/s
    過給機圧力比:2.38(高度10,000 m、回転数20,000 rpm)
    タービン形式:単段インパルス式
    タービン翼部平均直径:276 mm
    タービン翼長:43 mm
    タービン翼数:80枚
    タービン入口ガス温度:700度(最高750度)
    タービン最大ガス流量:0.7 kg/s
    油ポンプ潤滑油:航空鉱油
    油ポンプ潤滑油圧力:0.2~0.6 kg/cm2
    油ポンプ潤滑油入口温度:50~60度
    給油ポンプ:歯車式
    排油ポンプ:歯車式
    注油ポンプ:往復式

出典

  1. ^ a b c 松岡 1996, pp. 41–43.
  2. ^ a b c 坂上 2021, pp. 238–241.
  3. ^ 松岡 1996, pp. 56–63.
  4. ^ a b 松岡 1996, pp. 63–69.
  5. ^ a b c d e f g h i j k l 秋元 2002, pp. 18–19.
  6. ^ 坂上 2021, pp. 415–420.
  7. ^ a b 松岡 1996, pp. 110–121.
  8. ^ 松岡 1996, pp. 113–116.
  9. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj ak al am an ao ap aq ar as at au av aw ax ay az ba bb bc bd 『日本機械工業五十年』日本機械学会、1949年、1006~1009頁。
  10. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj ak al am an ao ap aq ar as at au av aw ax ay az 松岡 1996, pp. 325–327.
  11. ^ a b c d e 坂上 2021, p. 419.
  12. ^ 坂上 2021, p. 428.


「金星 (エンジン)」の続きの解説一覧

ハ112-II

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/10 05:38 UTC 版)

五式戦闘機」の記事における「ハ112-II」の解説

詳細は「金星 (エンジン)」を参照水メタノール噴射装置」および「MW50」も参照 五式戦闘機搭載されたハ112-IIは元もとは海軍で採用されていた三菱製の航空用発動機であり、海軍名称を「金星62型」と言う空冷二重星14気筒(7気筒複列)で燃料噴射式、ボア140 mm×ストローク150 mmシリンダー当たりの排気量2.31リットル総排気量32.34リットル圧縮比7.0回転数は2,600 rpm最大許容回転数2,680 rpm)で、直径320 mm遠心式2速過給器備えている。なお増速比は一速が7.0、二速が9.2。離昇出力は+500 mmHgで1,500馬力であるが、公称出力は+300 mmHgで1速1,350馬力(2,000 m)、2速1,250馬力(5,800 m)。重量は675 kg + 補機19 kg寸法おおよそ全長1,660 mm全幅1,280 mm水メタノール噴射機構付きである (強度過給を行うと吸気温度上昇しノッキング異常燃焼原因となる;このためこのような装置冷却するか高オクタン燃料利用必用となる)。この装置吸気圧を自動的に感知し必要な時必要なだけの冷却行い、さらにガソリンの量を制限して代わりに出力を得るといった機構を持つ。高度・空気温度吸気圧・加速レバー連動して自動的に適切な量が噴射されるが、手動での調整も可能であった噴射シリンダー直接行われるものではなくその直前吸気管ポート)内で行われる。 ハ112-IIは陸軍でも1943年昭和18年3月より一〇〇式司偵III型運用されており、五式戦闘機実際に計画移され1944年昭和19年10月頃にはすでに十分な運用実績有った。なお百式司偵III型については、高度8,000 m - 10,000 mで、優れた性能発揮したという。 ハ112-IIの信頼性整備難易関し一部兵員からは「燃料潤滑油入れれば、いつでも飛ぶ」といった評価があったとされる。さらに三式戦闘機二型(および一型)が搭載した水冷式エンジンの惨たる稼働率反動もあり、信頼性の高さは大歓迎された。ただし「金星自体1936年昭和11年以来永く実績のある、実によく回るとされるエンジンながら、金星62型」自体採用され数年新型エンジンであることは確かであり、また水メタノール噴射装置燃料噴射ポンプと言う新機構も用いられている。ハ112-IIはハ140とは比較ならない信頼性持っていたにしても絶対的な信頼性があったとまでするには至っていなかったともされ飛行第244戦隊では、内地での基地移動時に多数脱落機を出したエピソード存在するちなみにハ112-IIルは、エンジン本体は同じもので、排気タービン「ル2」を増設しただけのもの。これは重量54 kgブレード平均直径276 mm、同長さ43 mm同数80の単段式のもので、回転許容20,000rpm、タービン入り口排気ガス温度700であったという。ハ112-II自体は1段2速過給器であるので、排気タービン加えると2段2速式となる。なおエンジン側に元々エタノール噴射装置があるため、新たな冷却装置インタークーラー)は装備されていない。ただしこの要目はあくまで一〇〇式司偵文献参照し紹介しているもので、五式戦闘機II型装備されたものと全く同じ要目であるとも限らないため、参考とどめて頂きたい一〇〇式司偵場合、この過給器有無で、高度10,000 mにおいて50 km/hの差を生じたという。当時三菱航空機発動部に所属していた曾我部正幸は、五式戦闘機II型とほぼ同様に試作機4機のみの完成終戦迎えたものの、少なからざる問題があったにせよ、実用化見通しはついていたと回想している。曾我部提示する性能曲線グラフによればハ112-IIルは高度10,000 m以上でも1,200馬力以上を発揮でき、これは高度5,800 mでのハ112-IIの出力とほぼ同等である。

※この「ハ112-II」の解説は、「五式戦闘機」の解説の一部です。
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