ウェルズ【Herbert George Wells】
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/08 14:43 UTC 版)
ハーバート・ジョージ・ウェルズ(Herbert George Wells, 1866年9月21日 - 1946年8月13日)は、イギリスの著作家。小説家としてはジュール・ヴェルヌとともに「SFの巨人」と呼ばれる。社会活動家や歴史家としても多くの業績を遺した。H・G・ウエルズの表記もある。
- ^ 『優生学と人間社会』講談社、2000年、p29
- ^ 荒俣宏「H・G・ウエルズ 拡大する小説家」(『モロー博士の島』 宇野利泰訳、早川書房〈ハヤカワ文庫〉、1977年、287頁)
- ^ 荒俣宏「ウエルズのふしぎな系譜学」(『タイム・マシン』 宇野利泰訳、早川書房〈ハヤカワ文庫〉、1978年、306頁)
- ^ January 15, Editor on (2019年1月15日). “Herbert George Wells was an English author often referred to as the ?Father of Science Fiction?. Wells, who was diagnosed with diabetes in later life, wrote many novels including War of the Worlds, The Time Machine and The Invisible Man.” (英語). Diabetes. 2022年6月27日閲覧。
- ^ 浜野輝「ウェルズと日本国憲法」(『解放された世界』岩波文庫版、1997年)
- 1 ハーバート・ジョージ・ウェルズとは
- 2 ハーバート・ジョージ・ウェルズの概要
- 3 主要作品リスト
- 4 参考文献
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
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「サイエンス・フィクション」の記事における「ハーバート・ジョージ・ウェルズ」の解説
ヴェルヌの『月世界旅行』の30年後にイギリスでH・G・ウェルズが『タイム・マシン』を書いた。 『タイム・マシン』は、主人公のタイムトラベラー(名前は明かされない)が時間を移動する機械を発明し、西暦80万2701年の世界へ行く物語。人類が二種に分岐した未来の世界では、美しい体つきをしたエロイという人類が、理想郷的な世界で無為に暮らしている。地下にはモーロックというもう一種の不気味な人類がいて、エロイ達を喰って生きている。タイムマシンをモーロック達に持ち去られた主人公は、恋人となったエロイのひとりとともにタイムマシンを探し出し、地下世界から奪い返す。そしてさらに未来へと旅立ち、人類の終焉、生物と地球の終焉を見た後に現代に帰還する。 注目したいのは、ヴェルヌが冒険小説的な科学小説を書いたのに対し、ウェルズはファンタジーをベースにしたSF小説を書いている点である。ヴェルヌは、『海底二万里』などで(当時の)現代世界を描き、ともすれば単なる科学礼賛になりがちであったのに対し、ウェルズは将来の世界を描き、前述した要素を取り入れる事で「現実から外挿される世界を書きながらも現実という束縛を離れる」という現代SFの特徴を最初に取り入れている。しかもユートピアにおけるファンタジーを描きながらも、アンチ・ユートピア的な側面をも描き、文明批判を描いて思想小説的な要素をも取り入れるという離れ業に成功している。ウェルズは、進化論に影響を受けていたが、『タイム・マシン』でエロイが有閑階級の、モーロックが労働者階級の成れの果てであるのは、この思想と無関係ではないだろう。また、この小説が、「生物の終焉」を扱っている事も見逃してはならない。世界、地球、人類等の終焉(終末テーマ)は、後にウェルズ自身の『最終戦争の夢』、ネビル・シュートの『渚にて』、アーサー・C・クラークの『幼年期の終り』等数多くの小説で描かれるテーマであるが、SFの最初期に書かれたこの小説が、すでに生物の終焉を扱っている事は注目に値する。 ウェルズのもう一つの業績は、SF的ギミック(ガジェット)を数多く「発明」した事にある。たとえばウェルズ以前に書かれた時間小説として知られる、チャールズ・ディケンズの『クリスマス・キャロル』では、「妖精の力」で時を越えるのに過ぎなかったが、ウェルズは「タイムマシン」という時を越える道具を主人公に「発明」させる事で時間を越えている。ウェルズの発明はタイムマシン以外にも、蛸型火星人、透明人間、冷凍睡眠装置、最終戦争等、SFの基本的なギミックのほとんどは、かれが考え出したものである。このためウェルズを評して時に「SF作家はウェルズを読まないほうがいい。自分のやろうとしてる事をすでにウェルズがやっている事を知って愕然とするから」といわれる事がある。 ウェルズやヴェルヌに影響を受けた作家として、アーサー・コナン・ドイルがいる。彼は、シャーロック・ホームズシリーズなどの推理小説以外にも、チャレンジャー教授を主人公とした『失われた世界』(1912年)や『毒ガス帯』(1913年)などのSFも書いた。死去する前年の1929年に発表された海洋SF小説『マラコット深海』は科学的予見に満ちたドイルの傑作である。ヒュー・ロフティングは1927年から33年にかけて、ドリトル先生シリーズで月旅行を描いた。さらに、ジョージ・グリフィスが大衆向けの作品で商業的に成功し、イギリスやヨーロッパではSFが盛んになっていった。
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固有名詞の分類
イギリスの小説家 | ドロシー・L・セイヤーズ ブライアン・ラムレイ ハーバート・ジョージ・ウェルズ ジェームス・マシュー・バリー サキ |
イギリスのSF作家 | リチャード・アダムス マイケル・ムアコック ハーバート・ジョージ・ウェルズ ケン・マクラウド コリン・グリーンランド |
イギリスの歴史学者 | ロバート・サーヴィス E・H・カー ハーバート・ジョージ・ウェルズ ジェフリー・バラクロウ ヒュー・シートン=ワトソン |
人権活動家 | アウンサンスーチー 万延海 ハーバート・ジョージ・ウェルズ エルデンオール サネー・ヂャーマリック |
イギリスのジャーナリスト | ジェームズ・メイ ウィリアム・トーマス・ステッド ハーバート・ジョージ・ウェルズ マーティン・バシール ウォルター・バジョット |
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