デボネア
デボネアとは優雅な、風格をもつ、気品のあるという意味である。表面だけでなく、内面から完成した美を表す意味合いから命名。
このクルマの歴史は古く、初代モデルは1964年7月にデビューした。5ナンバー枠いっぱいのサイズとエンジン排気量(直6・OHV・2Lで、三菱重工業(現・三菱自動車工業)のプレステージカーだった。スタイリングを担当したのは、もとGMのスタイリストだったハンス-S.ブレッツナーで、当時流行のスラブ・ルックを取り入れた。65年4月にはATを導入、5月にはパワー仕様車を発売した。65年10月、67年10月、69年4月にも小変更を行った。
70年9月、マイナーチェンジでデボネア・エグゼクティブと呼ぶようになった。エンジンは同じ直6・2LながらSOHCに変わった。76年6月のマイナーチェンジで名称がエグゼクティブSE(スペシャル・セダンの意)に変更。エンジンを直4の2.6Lアストロン80に積み替えた。78年4月、79年6月、82年11月にも改良・変更があった。
86年8月にフルモデルチェンジ、2代目になった。同じモデルで22年間という長寿命記録をつくっての変身だった。FF車となったことが大変化で、エンジンはV6のサイクロン・ユニット2Lと3Lを用意。これを横置き搭載した。4ドアモデルのみ。V6エンジンにちなみ、モデル名はデボネアV(V型エンジンのV、VIPのV、VICTORYのVを意味した)に変わった。上位グレードには電子制御サスペンションを採用した。アグレッシブなスタイリングのAMGバージョンもあった。
87年2月、2Lスーパーチャージャー付きエンジンを追加した。最大出力150ps/5500rpm、最大トルク22.5kg-m/3000rpmを発生した。7月にはストレッチ・リムジンも発売。89年10月、マイナーチェンジに際しV6・3LエンジンをDOHC化した。AMG仕様もあった。90年10月には、もうひとつのリムジン、ロイヤルをベースにホイールベース、リヤドアを150mm延ばした特装車を発売した。
92年10月、3代目になった。FFという駆動方式は変わらず、エンジンはV6で、SOHC・3LとDOHC・3.5L(新開発)の2ユニットを搭載。3LにはLPG仕様もあった。ホイールベースは旧型の2735mmから2745mmに延び、全長・全幅・全高は旧型が4690/4865mm・1695/1725mm・1440/1425mmだったが、新型は4975mm・1815mm・1440mmとなり、大型化が目立った。ATはファジーシフトの進歩した4速タイプになり、リヤサスペンションはマルチリンクとなった。93年7月、エグゼクティブⅢをベースとしたリムジン150発売。
3L型のオーナー向け仕様を2度追加したのち、95年10月にマイナーチェンジを行い、フロントグリル、リヤガーニッシュ、テールランプなどを変更した。運転席SRSエアバッグ、前席シートベルトプリテンショナー、セーフティ機構付きワンタッチ式パワーウインドウ、衝撃感知アンロック機構付きオートドアロックなどを標準装備。プレビュー・ディスタンス・コントロール、GPS+ボイスナビゲーションのMMCSなどをグレードに応じて新採用した。
99年12月、三菱自動車の新フラッグシップモデルとしてプラウディアとディグニティ発表、その地位にあったデボネアは長い歴史にピリオドを打った。
三菱デボネア
三菱自動車がセドリック、クラウン、ベレル等に続いて本格的な乗用車として生み出した車であり、1963年10月の第10回全日本自動車ショーで2000cc最高級乗用車としてデビュー、堂々たるスタイルで注目を浴びた。 ボデースタイルはGM社の専属デザイナーとして活躍されていたハンス・S・ブレッツナー氏に依頼し、コルト1000の上級車として開発された。 当時の国産小型車としては、全長、ホイールベース共最長であり、また航空機生産の技術を生かしたユニットコンストラクションフレームなど技術の粋を随所に生かした高級車であった。 尚、展示車は1976年にマイナーチェンジしたモデルである。 |
保管場所 | : | 三菱自動車工業(株)乗用車技術センター (〒444-8501 愛知県岡崎市橋目町字中新切1番地) |
製作(製造)年 | : | 1964 |
製作者(社) | : | 三菱自動車工業株式会社 |
資料の種類 | : | 量産車 |
現状 | : | 展示(静態)・公開 |
車名 / 製作 |
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型式 / 重量 |
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車体 / 寸法 |
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車体 / 車軸 / 操縦 / 付属 |
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機関 / 寸法 / 出力 |
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ハイブリッド |
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駆動系 |
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性能 |
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参考文献 | : | モーターファン64年7、9月号 三菱自動車工業(株)社史 |
その他事項 | : | シャシー重量:1,050kg;前照灯:横並4灯式(シールドビーム);ワイパー:電気式;足ブレーキ:油圧、内拡ドラム;手ブレーキ:後輪制動;比出力:52.5PS/L;最高速度:155km/h; |
デボネア
デボネア
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/19 05:07 UTC 版)
自動車での移動が背景となるロードムービー風の本作で狂言回しに使われる三菱・デボネアは、1964年から1986年まで22年間に渡って生産され、あまりの古臭さから末期には「走るシーラカンス」の異名をとった初代モデルである。 作中では、デザインモチーフの元ネタになったアメリカ車並に幅広く長く描かれるなど、随所に作者らしいディフォルメはあるものの、角ばった独特の古風なボディ、前席に3人並んで着座できるベンチシートやコラムシフトレバーなどの特徴がよく把握されている。ただし初代デボネアは4ドアのセダン型のみの生産で、作中のようなステーションワゴン型は生産・市販されていなかったため、リアセクションのスタイルは作者によるアメリカ車風のオリジナルデザインである。
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