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森林生物図鑑 |
チャイロスズメバチ
| 和名:チャイロスズメバチ |
| 学名:Vespa dybowskii Andre' 1884 |
| ハチ目,スズメバチ科 |
| 分布:北海道,本州 |
| 写真(上):左から女王,働きばち |
| 写真(下):鉄塔の足場に作られた,引っ越し直後のチャイロスズメバチの巣 |
| 説明 女王の体長29〜30mm,働きバチ17〜24mm(写真上)。日本産の他のスズメバチ類とは全く異なる異様な色彩なのですぐ識別できる。個体数は一般に少なく,生息場所もかなり局限される。本種は社会寄生種で,その女王は,モンスズメバチやキイロスズメバチの働きバチ羽化直後の巣を乗っ取り,寄主の女王を殺し,寄主の働きバチに自分の働きバチを育てさせる。最終的には巣はチャイロスズメバチのみとなる。攻撃性はかなり強い。 |
動物名辞典 |
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スズメバチ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2011/12/13 03:58 UTC 版)
(チャイロスズメバチ から転送)
| スズメバチ亜科 Vespinae | ||||||||||||||||||||||||
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樹液を吸うオオスズメバチ。
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| 分類 | ||||||||||||||||||||||||
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| 英名 | ||||||||||||||||||||||||
| Hornet Wasp |
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| 属 | ||||||||||||||||||||||||
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スズメバチ(雀蜂、胡蜂)は、ハチ目スズメバチ科に属する昆虫のうち、スズメバチ亜科(Vespinae)に属するものの総称である。
目次 |
概要
スズメバチ亜科はハチのなかでも比較的大型の種が多く、性質はおおむね攻撃性が高い。1匹の女王蜂を中心とした大きな社会を形成し、その防衛のために大型動物をも襲撃する。スズメバチ科は4属67種が知られ、日本にはスズメバチ属7種、クロスズメバチ属5種、ホオナガスズメバチ属4種の合計3属16種が生息する。スズメバチの刺害による死亡例は熊害や毒蛇の咬害によるそれを上回る。
スズメバチは、狩りバチの仲間から進化したと見られており、ドロバチやアシナガバチとともにスズメバチ科に属する。そのスズメバチ科はアリ科、ミツバチ科と同じハチ目に含まれている。なお、昔の分類ではスズメバチ上科の下にハナドロバチ科、ドロバチ科、スズメバチ科を置くことも多く、この3科の中ではスズメバチ科のみが社会生活を行う[1]:38。
スズメバチはミツバチと並び、最も社会性を発達させたハチであり、数万もの育室を有する大きな巣を作る種もある。アシナガバチ等と違い、雄バチは全く働かず、女王蜂が健在の間は他の蜂は一切産卵しない。女王蜂を失った集団では、働き蜂による産卵も行われるが、生まれるハチは全て雄で、巣は遠からず廃絶する。
スズメバチは旧ローラシア大陸で誕生、進化しユーラシア大陸、北アメリカ大陸、アフリカ大陸北部に広く分布している。分布の中心は東南アジアにあり、オオスズメバチやヤミスズメバチ等多様な種が生息している。旧ゴンドワナ大陸であるオセアニアと南アメリカにはもともと野生のスズメバチはいなかったが、現在ではオセアニアや南アメリカでも人為的に進入したスズメバチが生息地域を広げている。
名前
「スズメバチ」の名は、その大きさが「雀ほどもある」または「巣の模様が雀の模様に似ている」ことに由来する。また、地方により「くまんばち」(熊蜂。クマバチは別種)や「かめばち」(巣の形より)などの名がある。
インド・ヨーロッパ祖語に由来する語ではスズメバチを意味する単語は共通の語源に由来している。祖語に近いとされるラテン語の「ベスパ」 vespa やリトアニア語の vapsva を始めとして、オランダ語の wesp、ドイツ語の wespe、英語の「ワスプ」 (wasp)、スペイン語の「アビスパ」(Jリーグのアビスパ福岡で使用されている)(avispa) などはスズメバチを意味する語である。英語のwasp はスズメバチだけでなく、ジガバチなどを含んだ攻撃的な狩りをするハチ類を指す語である。英語の「ホーネット」(hornet) は中世にはharnette, hernet、古英語ではhyrnetなどと綴られ[2]、ラテン語のcrabro , onis などと関連する[3]。
食性
成虫の餌は、主として終齢幼虫の巨大に発達した唾液腺から分泌される栄養液である。この液には5~20パーセントの糖分、1.3~1.8パーセントの可溶性タンパク質が含まれており、この点では人乳の組成に近い。この栄養液の不足分や終齢幼虫がまだ育っていない時期には糖質を多く含む花蜜、樹液などを摂取している。エサが不足すると、幼虫を臨時の食糧とすることもある[1]:179。また、成虫同士で口移しで体内のエサのやり取りをすることもあり、狩りの際の重要なエネルギー源となっている[1]:184。
また、秋には担子菌類のキノコの一種であるシラタマタケの子実体内部の胞子を含んだ液化部分(グレバ)を好んで摂取する。これは終齢幼虫減少期における炭水化物もしくは蛋白質源として重要な餌となっていると考えられている[4]。
幼虫の餌は種類により違いはあるが、基本的には他の昆虫類であり、成虫が捕獲した昆虫などの小動物や、場合によっては新鮮な脊椎動物の死体から筋肉の多い部分を切り取ってかみ砕き、肉団子にして与えることが多い。ただし後述するように、アシナガバチのさなぎ・幼虫専食のヒメスズメバチでは肉団子ではなく、獲物をかみ砕いて体液を素嚢(そのう)にため、それを幼虫に与える。成虫は幼虫からの口移しにより、栄養分を摂取する。
オオスズメバチは捕獲する昆虫が減少し、また大量の雄蜂と新女王蜂を養育しなければならない秋口には攻撃性が非常に高まり、スズメバチ類としては例外的に、集団でミツバチやキイロスズメバチといった巨大なコロニーを形成する社会性の蜂の巣を襲撃する。
オオスズメバチがニホンミツバチ (Apis cerana) の巣を襲撃した場合、集団攻撃前に蜂球によって撃退されなければ、巣を占拠できる。この種に対抗する術をほとんど持たないセイヨウミツバチ (A. mellifera) の場合は攻防の関係は一方的で、養蜂家による庇護がなければ必ずといっていいほど全滅を余儀なくされる(数十匹ほどのオオスズメバチがいれば4万匹のセイヨウミツバチを2時間ほどで全滅させられる[5]。このことが、飼育群からの分蜂による野生化が毎年あちこちで発生しているにもかかわらず、セイヨウミツバチが日本で勢力拡大するのを防ぐ要因になっている。実際、オオスズメバチの生息しない小笠原諸島ではセイヨウミツバチの野生化群が増加し、在来のハナバチ類を圧迫して減少させていることが確認されており、これらのハナバチ類と共進化して受粉を依存している固有植物への悪影響が懸念されている。
キイロスズメバチもオオスズメバチと同様にニホンミツバチなどの巣を襲撃する。主に帰巣する個体や集団から偶然離れた個体を狙って巣の周囲を滞空飛行していることが多い。このような巣では、ニホンミツバチが巣口周辺に多数集まって警戒態勢をとり、キイロスズメバチがおよそ15cm以内に近づくと、最も近くの個体を始点として、腹部をそり上げながら翅を震わすウェーブが起こり、集団全体がブーン、ブーンという断続的な羽音をたてる。このような大集団のすぐ近くでの狩りは、キイロスズメバチにとっても大変危険なものであるため、必要以上に集団に近づかないよう非常に注意深く行動するのが観察される[要出典]。首尾よく働き蜂を捕獲できると、次の瞬間には獲物を抱えたまま非常な速さでその場を飛び去り、高い木の枝など、集団から十分に離れた場所まで運んでから改めて噛み砕く。逆に、ほんのわずかでも捕獲に手間取った場合には、それに気付いたニホンミツバチの集団に一斉に襲いかかられ、蜂球の内部で蒸し殺されてしまうことも多い。
クロスズメバチは生きた昆虫だけでなく、カエルやヘビ、さらには人間が食べる焼魚やゆで卵も巣に持ち帰ることが知られている[1]:160。
- ニホンミツバチの巣をおそうキイロスズメバチと、防衛するニホンミツバチ
天敵
天敵は捕食者として、野鳥、クマ[6]、ムシヒキアブ、ヒト、オオカマキリ、オニヤンマなどのトンボ、クモなど、寄生者として菌類、線虫[7]などである。生活史を通してみると、捕食寄生者が多い昆虫には珍しい寄生虫であるネジレバネ(スズメバチネジレバネ)等がある。ネジレバネに寄生された働きバチはやや長生きして冬を越すようになり、むしろネジレバネに合わせた生活史をとるようになる[6]。
幼虫の捕食寄生者としてはカギバラバチ科のハチが挙げられる。カギバラバチは葉に卵を産み、それを蛾などの幼虫が食べ、さらにそれがスズメバチの巣に持ち帰られて幼虫のエサとなり、寄生が始まる[6]。オオハナノミ科の甲虫にもこの習性がある。
スズメバチ類の巣にはしばしばベッコウハナアブ類の幼虫が寄生し、営巣盛期には排泄物や巣の下部に廃棄された成虫や幼虫の死体を摂食している。これが、晩秋の巣の衰退期になると巣の上部に侵入し、生きた幼虫をも捕食し成長する。また、朽木の中に越冬室を掘って冬眠中の新女王蜂は、しばしばコメツキムシ科の甲虫の幼虫によって捕食される。アリもまた天敵であり、特に営巣初期でハチが少ない時に襲われると巣を放棄することもある。そのため、数頭の女王バチが共同で営巣を始めることもある[6]:58。
鷹の一種であるハチクマは、スズメバチの巣を攻撃し、巣盤を持ち帰り、幼虫とさなぎをひな鳥の餌としている[6]。ハチクマの攻撃を受けたスズメバチは、クモの子を散らすように逃げ惑い、毒針を用いた防御行動を起こさないという(ハチクマの体毛越しには針が届かず、攻撃が効かない)。
ヒトは、スズメバチを巣ごと駆除したり、食用として幼虫やさなぎを採集する。クマは巣を破壊し、中の幼虫やさなぎを食い荒らす。
また、おなじスズメバチ類の中でも捕食―被食の関係がある。オオスズメバチは生殖個体である雄蜂や、養育期には他のスズメバチの巣を頻繁に攻撃する。また、チャイロスズメバチはキイロスズメバチ等の初期段階のコロニーを襲撃して乗っ取る社会寄生を行う。
生活史
性別や女王蜂、働き蜂の決定は基本的にはミツバチと同じようなものである。ハチ目の共通の性質として未受精卵はオス蜂に、受精卵はメス蜂になる。したがって、女王蜂が精嚢から精子を取り出す、もしくは取り出さないによって性別を決定している。働きバチはすべて雌である。
また、女王蜂になる卵と働き蜂になる卵は同じで、幼虫時代に食べさせられた餌によって地位が決定される。
女王蜂は8-12月頃に羽化すると(種により差がある[1]:54)、終齢幼虫から栄養液を十分摂取した後に巣を離れる。雄蜂と交尾した後は一切摂食せず、朽木などに越冬室を掘り、その中で冬眠に入る。
翌年の春、冬眠から覚めた女王蜂は営巣を開始する。巣材収集や幼虫の餌の狩猟は主に働き蜂の役割であるが、働き蜂が誕生するまでは女王蜂が単独で行い、また働き蜂誕生後もある程度の規模に巣が大きくなるまでは、働き蜂らと共に巣の維持や狩猟をこなす。
働き蜂は7月頃から羽化を始め、9月から10月にかけて集団の個体数が最大になる。種や気候によっても異なるが、例えばオオスズメバチでは一つの巣で数百匹規模にまで増える。働き蜂の個体数が最大になる少し前から、次世代女王蜂候補の育成が始まる[6]:36。なお、巣の女王蜂が死ぬと働き蜂が代わりに産卵するようになるが、働き蜂は未受精なのでオスしか生まれず、オスは働き蜂にならないためコロニーは遠からず滅びる[1]:196。次世代女王蜂候補は結婚のため巣を離れるまで働かないのが基本だが、何らかの原因で働き蜂が減少すると、働き蜂として働き始める。この場合、女王として蓄えた脂肪を消費してしまうため、オスが交尾しようとしなくなり、女王となることはなくなる[1]:208。
雄蜂は次世代女王蜂候補より少し早い9-11月頃に生まれる。雄蜂は子孫を残すためだけの存在であり、全く働かない。ただし、同じスズメバチ科のアシナガバチの仲間では幼虫に餌を運ぶ等の行動が痕跡的にだが見られることがある。
繁殖期になると若い女王蜂候補が巣から飛び立ち、雄蜂も交尾のために一斉にその後を追う。大半は天敵に捕食されるか力尽き、交尾に成功するのはこの中のごく一部である。無事に交尾に成功したオスも間もなく死亡し短い生涯を終える。
元の女王蜂はほとんどの場合女王蜂候補の巣立ち前に死に、働き蜂と雄蜂は基本的には越冬しない。つまり、越冬するのは女王蜂候補のみである。女王蜂候補は朽木の中などで越冬する[1]:42。例外としてネジレバネの寄生した働き蜂は、労務に加担せず、越冬も行う。
巣の構造
スズメバチの巣は、基本的にはアシナガバチのそれに似たものである。材料は枯れ木からかじり取った木の繊維を唾液のタンパク質などで固めたもので、一種の紙のようなものである。この材料を使って管を作ったものが巣の構成単位で、その中に卵を産み、幼虫が孵化し成長するにつれ部屋を拡大延長する。幼虫がさなぎになると蓋をされ、羽化して成虫が脱出すると巣の役目は終了する。
このような巣を平面的に外側へ追加して、円盤状になったものを柄をもって木の枝などからぶら下げたものがアシナガバチの巣であるが、スズメバチの場合、この巣の周りを同じ材質でできた外被と呼ばれるもので覆う[1]:52。外被は保温材としての働きの他、アリなどを防ぐ防壁としての機能がある。外被を作らないアシナガバチでは、巣の柄の部分にアリが避ける物質を塗りこれを防ぐ。このように外被のある構造なので、スズメバチの巣は出入り口が一つであり、巣の形からも他のハチと見分けることが可能である。
女王蜂が最初に作る巣には、働き蜂が誕生して大きく成長した巣には見られない特徴が見られることがしばしばある。例えばコガタスズメバチの初期巣はトックリを逆さにぶら下げたような形をしており、口の部分が出入り口になっている。また、クロスズメバチ類などでは巣の基質への付着部がねじれた三角形の板になっていて弾力で衝撃を吸収するようになっている。やがて働きバチの誕生に伴い、次第に巣は拡張され、それにつれて女王蜂が単独で作った巣に固有の特徴も失われていく。
巣盤はアシナガバチのような1段ではなく、その下に新たに追加され、数段の巣盤が互いに柱で結びついた形となり、外被も球形になってゆく。囲いは巣材を採集する働き蜂の個体ごとに、異なる枯れ木や朽木、樹皮などの採取場所を持つ。同じ個体は同じ場所から繰り返し材料を持ち帰ることが多い。材料はアゴで食いちぎり、唾液と混ぜて数ミリメートルのボールにして持ち帰る。何個体もの働き蜂が持ち帰ったボールを一部ずつを魚のうろこが成長するように塗ってゆき、個体ごとに持ち帰る材料が異なるため、色違いのうろこ模様に彩られる[6]:51。
大きなものでは一抱えもあるようなサイズとなる。この外被は働き蜂の造巣活動によって次第に皿状に湾曲したうろこを重ねたように空隙を抱えながら厚くなっていき、優れた保温効果を持つようになる。さらに、働き蜂は、ある程度厚くなった外被の内側の巣材を削り取ってさらにタンパク質などを含んだ唾液で練り直し、より強靭な巣盤の材料として内部の営巣部の拡張を行う。
多段式に重なる巣盤を結合する支柱はさらに強度を要する。幼虫がさなぎになるときに口から絹糸を吐いて巣室をふさぎ、繭を形成するが、支柱の建設に携わる働き蜂は、さなぎが羽化した後に不用になったこの繭の絹糸をかみ砕いてほぐし、内側から削り取った外被、及び唾液と練り混ぜて、支柱の素材とする。
こうして次世代の新女王蜂や雄蜂が養育される時期には巣は巨大なものに成長するが、日本のような温帯では、秋の終わりになると巣外で交尾し越冬する新女王蜂を除き全てのハチが死に絶えるので、巣は空き家となる。
ただしこれは日本の場合であり、冬のない熱帯地方では1つの巣に数十匹の女王、数百万匹の働き蜂を抱える巨大な巣に成長する場合もある。長年、学者の間でもスズメバチは単雌で巣を作ると信じられていたが、1980年代の松浦誠などの研究により、多雌の巣があることが明らかになった[1]:126[6]:183。非常に稀な例であるが、温帯でもキイロスズメバチの2匹の雌によるコロニーが見つかることがある[6]:182。
毒
スズメバチ類は強烈な毒を持つものが多く他者への攻撃性も高い、非常に危険な蜂である。他のハチと同様に、毒針、毒嚢、毒腺は生殖器が変化した物で、刺すのは雌だけである[8]。女王蜂も毒針こそ持つものの攻撃性は低く、刺すことはほとんどない。雄は毒針を持たないので刺すことは無いが、威嚇のため刺す姿勢だけは取る[6]:48。
毒針の構造
毒針は、鋸状の細かい刃が密生した2枚の尖針が刺針の外側を覆うという構造をしており、この尖針が交互に動くことにより、皮膚のコラーゲン繊維を切断しながら刺さっていく。ミツバチと違い一度刺しても自身が死ぬことはない。刺針の鋸状の刃は、ミツバチのような「かえし」状の粗大なものでなく、皮膚のコラーゲン繊維に引っかかって抜けなくなることはないため、毒液が残っている限り何度でも刺してくる。
また、毒液は刺して注入するだけでなく、空中から散布することもある。散布された毒液は警報フェロモンの働きをし、仲間を集めて興奮させるため、集団で襲ってくる。特別な装備がなければ早急にその場から離れるのが望ましい。
防護服を着ていても刺される場合があるほか、呼吸孔から顔へ毒液を飛ばす場合もある。目に入ると失明するほか、皮膚に触れると炎症を起こす。
成分とメカニズム
毒液は様々な微量の生理活性物質の複雑な混合物であり、別名「毒のカクテル」と呼ばれる[9]。各成分の比率や組成は、種毎に異なっている[10]。
- ヒスタミン - 炎症作用を持つ
- 神経毒(セロトニン、アセチルコリン)- 量が多いと呼吸不全や心停止の原因となる
- ペプチド(ホーネットキニン、マストパラン、マンダラトキシン、ベスパキニン) - アナフィラキシーショックの原因となる
- タンパク質(細胞膜を分解するホスホリパーゼ、タンパク質を分解するプロテアーゼ) - これもアナフィラキシーショックの原因となる
これらの毒物質の多くは人を含む動物の免疫系や神経系に関係した情報伝達物質でもあり、毒液に含まれる動物組織の構成物質を分解する酵素によって消化、破壊された組織を通じて、速やかに皮下組織に拡散、さらには血管系を通じて全身を巡り、免疫系や神経系の情報処理機構を攪乱。それによって激しい痛みや免疫系の混乱による急性アレルギー反応(アナフィラキシーショック)などを引き起こす。
刺されないための注意
スズメバチ類は巣の防衛行動をもつため、巣から10m以内に近づくと警戒行動をとり接近者の周囲を飛び回る。その時点で静かにその場を離れることで大事には至らないケースが多い。蜂の接近に驚いて声高に騒いだり、はたき落そうとしたりすると蜂が興奮して大変危険である。
次の段階としてスズメバチは左右の大顎を噛み合わせて打ち鳴らし、「カチカチ」という警戒音を出し威嚇してくる。これは最後の警告の段階であり、それでもその場から立ち去らないと、仲間の蜂を呼び寄せて集団で攻撃してくる。
オオスズメバチやキイロスズメバチは巣への接近者を突然攻撃してくる場合があるので、近寄るのは大変危険である。特にオオスズメバチは多くのスズメバチ類が基本的に自らの巣のみを防衛するのに対し、夏季には、クヌギなどの樹液の浸出部を、樹液を成虫の餌とするため同じ巣のメンバーで占拠した場合、自らの巣と同様に浸出部を防衛行動の対象とする。また秋季には、集団攻撃によってミツバチや他種のスズメバチの巣を襲撃し、反撃するその成虫を根絶やしにした後、それらの巣から幼虫やさなぎを自分たちの幼虫の餌として搬出するという行動をとるが、行動中はそれらの巣もまた自らの巣と同様に防衛行動の対象とするので、危険である。
さらにオオスズメバチが他種のスズメバチの巣を襲う秋季も、多くのスズメバチ類がオオスズメバチへの警戒態勢を強めて巣の防衛行動を強く活性化させていることから、注意を要する。
香水や黒い服もスズメバチを興奮させるおそれがあるので、夏・秋に山や森に行く場合は香水や黒い服を控えるべきである。というのも、香水には、しばしばスズメバチ類の警報フェロモンと同じ物質が含まれているからである。特に多くの果物にも含まれている2-ペンタノールは、オオスズメバチの場合最も活性が強いとされている。また、黒い服は、スズメバチ類がしばしば幼虫やさなぎの捕食者として攻撃標的とするからである。ヒトを含む大型哺乳類の弱点が黒色部分(眼や耳孔など)であることから、黒色あるいは暗色部分を識別することによって攻撃行動を活発化させる行動特性を刺激すると考えられている[要出典]。実際、スマトラのヤミスズメバチは人の目を狙って刺しにくることが多く、刺された場合には失明することも多い[1]:18また、防護服などは概ね白いが、だからといって白い服なら安全というわけではない。例えば夜になると白い服でも積極的に攻撃されることがあり、これは色のコントラストを識別してのものと考えられる[11]。また、興奮したスズメバチは、昼間に白い色でも攻撃する(黒い色のものをより攻撃する)[6]:102。
また、バーベキュー等アウトドアでの飲食する場合に散見されるのは、飲み残しや飲んでいる最中に一時手を離して放置された清涼飲料水やアルコール飲料の缶内にスズメバチが潜り込み、再度飲もうとする時などに口などを刺される事故である。スズメバチは成虫の活動に必要な糖分を求めてビールや缶チューハイと呼ばれる一連のアルコール飲料や、各種清涼飲料水に誘引されるので、飲まないときはクーラーボックスにしまう、飲み終わった缶は水ですすぐ、缶入り飲料を避けるなどスズメバチを寄せ付けないよう注意を払う必要がある。
屋内においてスズメバチが1匹飛び回っている場合、蝿や蚊などのスプレー式殺虫剤で駆除することも可能だが、弱って息絶えるまでに長時間かかるうえ激しく飛び回るので数秒間、ある程度の距離(1-2m)をとり直接数秒間噴霧した直後は室内を完全に締め切り、弱って動きが全くなくなるまで現場を離れることで被害を大幅に避けることが可能である。
また、腹部のみの死体でも触ると反応して刺してくることがあるので、注意して扱う必要がある。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o 松浦誠『社会性ハチの不思議な社会』どうぶつ社、1988年
- ^ 寺澤芳雄編「英語語源辞典」、研究社、1997年のwasp, hornetの項
- ^ 山中元編著「英語-日本語-ラテン語 語源辞典」、国際語学社、2009年
- ^ 相良直彦 (1989). きのこと動物. 築地書館, pp. 27-30. ISBN 4-8067-2334-7.
- ^ オオスズメバチの「警報フェロモン」の成分を突き止めた、小野正人、MATSUNAGA Waki、環境goo、2010/04/17閲覧
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w 『スズメバチ 都会進出と生き残り戦略 増補改訂版』
- ^ スズメバチ女王を不妊化させる線虫が発見された。スズメバチの女王を不妊化する寄生線虫を世界で初めて発見(独立行政法人 森林総合研究所)
- ^ 『身近なムシのびっくり新常識100』
- ^ ハチの豆知識千葉中央博物館
- ^ パターン分析によるチャイロスズメバチとキイロスズメバチおよびモンスズメバチの毒嚢抽出成分の比較衞生動物 Medical entomology and zoology 44(4) pp.307-313 19931215 日本衛生動物学会
- ^ 学んで安心 スズメバチ
- ^ アレルギー対策について (PDF) 厚生労働省
- ^ わが国における蜂刺症 The Topic of This Month Vol.18 No.8(No.210)国立感染症研究所
- ^ ヒメスズメバチ Vespa tropica の刺傷によるアナフィラキシーショックの一例衞生動物 Medical entomology and zoology 28(3) pp.281-284 19770915 日本衛生動物学会
- 1 スズメバチの概要
- 2 刺された場合の対処法
- 3 利用
- 4 おもな種類
- 5 関連項目
チャイロスズメバチと同じ種類の言葉
| スズメバチに関連する言葉 | キオビホオナガスズメバチ スズメバチ チャイロスズメバチ ヒメスズメバチ ニッポンホオナガスズメバチ |
| バチに関連する言葉 | テガミバチ キオビホオナガスズメバチ チャイロスズメバチ ヤマトフタスジスズバチ キボシアシナガバチ |
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