シクロブタジエン
シクロブタジエン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/12 23:58 UTC 版)
1,3-シクロブタジエン (1,3-cyclobutadiene) は分子式が C4H4 と表される、4員環に2個の二重結合を持った有機化合物である。最も小さいアヌレン([4] アヌレン)である。赤外分光法により基底状態では長方形の構造であることが確認されている。シクロブタジエンは理論計算[1]や置換シクロブタジエンの分光分析[2]と結晶学的研究[3]に基づいて、長方形/非平面の基底状態と正方形の励起三重項状態の対の間の平衡状態にあると考えられている。シクロブタジエンは交互に並んだ単結合と二重結合を持っているが、ヒュッケル則[4]を満たしておらず平面構造は三重項の不安定な反芳香族分子であると予測されている。一部のシクロブタジエン-金属化合物は安定である。これは金属原子が系にもう2電子を与えることが原因であると考えられる(シクロブタジエンジアニオン種のπ電子数は6個となりヒュッケル則を満たすため芳香族性を示し安定となる[5])。一重項状態への平面、長方形歪みはヤーン・テラー効果が原因である[6]。テトラ-tert-ブチル置換シクロブタジエンはX線結晶構造を決定するのに十分安定であり、この分析によって歪んだ非平面幾何構造と分子中のC–C二重結合が通常よりも長い(観測値1.464 Å、期待値1.34 Å)ことが明らかにされた[3]。
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- 1 シクロブタジエンとは
- 2 シクロブタジエンの概要
- 3 関連項目
シクロブタジエン
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シクロブタジエンは、古典的教科書で見られる反芳香族化合物の例である。シクロブタジエンは従来、平面、環状であり、4n共役π電子系を持つと理解されていた。 しかしながら、シクロブタジエンが真に反芳香族であるかには長年疑問が呈されており、近年の発見は反芳香族ではないことが示唆されている。シクロブタジエンは非常に不安定であり、これは当初反芳香族性によるものであるとされていた。しかしながら、シクロオクタテトラエンなど類縁の4n π電子系を持つ分子にはこれ程の不安定化はなく、シクロブタジエンの場合は他の要因によるものであることが示唆されている。シクロブタジエンに見られる極端な不安定化は角歪みやねじれ歪み、パウリ反発の組み合わせによるものであることが明らかにされている。 また、シクロブタジエンの形状は正方形ではなく、長方形である(2本の単結合と2本の二重結合)ことが明らかになっている。これはシクロブタジエンが非局在化したπ電子を持っていないことを意味する。
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