コリンズ級潜水艦とは? わかりやすく解説

コリンズ級潜水艦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/15 07:51 UTC 版)

コリンズ級潜水艦
洋上を航行する「ランキン」(2007年)
基本情報
建造所 ASC
運用者  オーストラリア海軍
建造費 10億オーストラリア・ドル
建造期間 1990年2月14日 – 2001年11月7日
就役期間 1996年7月27日 – 現在
建造数 6隻
前級 オベロン級
次級 アタック級
要目
排水量 浮上時: 3,051 トン
潜水時: 3,353 トン
長さ 77.8 m
7.8 m
吃水 6.8 m
推進器

1 × Jeumont Schneider 電動機
7,050 hp (5.25 MW)
3 × Hedemora/Garden Island型 V18B/14 ディーゼル
6,000 hp (4.42 MW)
3 × Jeaumont Schneider 発電機
5,630 hp (4.2 MW)
1 × 推進軸とスキューバックプロペラ

1 × Mactaggart Scott dm 43006 緊急時の油圧モーター
航続距離 9000海里 / 10 ノット (シュノーケル航行時)
11,500海里 / 10 ノット (浮上時)
400海里 / 4ノット (潜水時)
乗員 45人 (士官8人)
兵装

6 × 533mm発射管
US Mk48 ADCAP魚雷
UGM-84 ハープーン 対艦ミサイル
予備のMk48魚雷とハープーン - 計22基
魚雷の代わりに44基の機雷
対陸上攻撃用の巡航ミサイルと戦闘システムAN/BYG 1を装備
装備:

戦闘システム AN/BYG 1を基にしたレイセオン CCS Mk 2
レーダー

タレス水中システムズ GEC-マルコーニ・カリワラ,
トムソン・マルコーニ・ナラマ・トウド・アレイまたはアライドシグナル TB 23

ケルビン・ヒューズ I-バンド航法レーダー
ソナー タレス水中システムのscylla船首ソナー
特殊装備

タレス・オプトロニクス CK043 探索とCH093攻撃潜望鏡

無反響タイル装着
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コリンズ級潜水艦(コリンズきゅうせんすいかん Collins-class submarine)はオーストラリア海軍潜水艦の艦級。通常動力型潜水艦であり、潜舵は司令塔にある。

概要

設計はスウェーデン海軍の潜水艦を設計していることで知られるコックムス社で、本艦級はスウェーデン海軍のヴェステルイェトランド級等を参考にしている。ただし、それらスウェーデンの主力潜水艦に比べて2倍から3倍の排水量を有するほど大型化されており、搭乗する乗員数も増加している。

兵器や電子機器はイギリスアメリカ合衆国等多彩な国のものが採用されている。建造は南オーストラリア州アデレードオーストラリア潜水艦企業体で行われた。

オーストラリア海軍は本級の就役により、オベロン級6隻を順次、退役させている。

運用歴

2022年5月、オーストラリア海軍は検討中のLOTE(Life of Type Extension、近代化改修)の一環として、本級潜水艦にトマホーク巡航ミサイルをインテグレートする事を検討中であることを発表した。LOTE計画は2026年から2年ごとに1隻ずつ本級の近代化改修を行う計画であり、各種センサーの近代化及び動力・推進機関のオーバーホールが実施される。コリンズ級はVLSを装備しておらず、トマホークを装備する場合魚雷発射管発射タイプの導入とならざるを得ないが、魚雷発射管発射型のタクティカル・トマホークは英海軍アスチュート級原子力潜水艦に過去採用されたものの現在生産が終了しており、生産再開のためには多額の資金調達が必要になるとされ、オーストラリア海軍はインテグレート可能か調査中だと発表した[1]

2023年1月12日、元オーストラリア海軍長官だったマイケル・ヌーナン中将が、2022年6月23日に新兵募集広告撮影任務中の本級潜水艦に当時交際中の恋人を乗船させプロポーズを行い、潜水艦を「一晩のロマンチックなクルーズ」のための「エキサイティングなラブボート」に変え、「愛の潜水旅行」を楽しんだとして、「権力の乱用」であると非難されるスキャンダルが発覚した[2][3][4]。同長官は2022年9月に退官している。

評価

コリンズ級は設計の段階から様々な問題が指摘されており、導入後も技術的な問題やオーストラリア海軍の人員不足から運用に支障が生じるなどした。オーストラリアのメディアから厳しい批判をあびている。

コリンズ級は優れた潜水艦とは言えず、騒音は劣悪で、信頼性は低く、故障も頻発し、時には運用可能な潜水艦がわずか1隻という時すらあった[5]。オーストラリア国内では、コリンズ級の開発は「失敗」とする意見もある[6]

更新計画

2016年4月26日、ターンブル首相はコリンズ級に変わる新型潜水艦として、フランスシュフラン級原子力潜水艦の通常動力化(ブロック 1A)を選定したと発表した[7]

2021年9月15日、アメリカ、イギリス、オーストラリアの3カ国間によってAUKUSの創設が発表された。加えて、アメリカからオーストラリアに対し原子力潜水艦の技術供与も行われると発表した。このため、上記のフランスの技術支援により通常動力型潜水艦を導入する計画は破棄された[8]

同型艦

1996年から2003年にかけて6隻が就役した。艦名は歴代のオーストラリア海軍軍人の名前からとられたものである。

艦番号 艦名 起工 進水 就役
SSG 73 コリンズ
HMAS Collins
1990年
2月14日
1993年
8月28日
1996年
7月27日
SSG 74 ファーンコム
HMAS Farncomb
1991年
3月1日
1995年
12月15日
1998年
1月31日
SSG 75 ウォーラー
HMAS Waller
1992年
3月19日
1997年
3月14日
1999年
7月10日
SSG 76 デシャニュー
HMAS Dechaineux
1993年
3月4日
1998年
3月12日
2001年
2月24日
SSG 77 シーアン
HMAS Sheean
1994年
2月17日
1999年
5月3日
2001年
2月24日
SSG 78 ランキン
HMAS Rankin
1995年
5月12日
2001年
11月7日
2003年
3月26日

脚注

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