クロームモリブデン鋼とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > クロームモリブデン鋼の意味・解説 

クロムモリブデン鋼

(クロームモリブデン鋼 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/02 09:11 UTC 版)

クロムモリブデン鋼(クロムモリブデンこう: : chromium molybdenum steel、CRMO)は、に極僅かのクロムモリブデン等を添加した低合金鋼の一種である。略してクロモリ: chromoly)とも呼ばれる。

クロムモリブデン鋼は非常に優れた強度重量比を有しており、溶接が容易で、標準の機械構造用炭素鋼 (ASTM 1020、JIS S20C) と比較してかなりの強度と硬度を有している。クロムモリブデン鋼はクロムを含んではいるが、ステンレス鋼に見られる腐食耐性を持つには十分な量ではない。

クロムモリブデン鋼 (SAE 4130) の応用例としては、構造管自転車フレーム、銃のレシーバー、クラッチ及びフライホイールの部品、ロールケージなどである。

JISによる分類

クロムモリブデン鋼の識別は先立つ記号「SCM」で行う。

JIS G4053 機械構造用合金鋼鋼材

  • SCM 415
  • SCM 418
  • SCM 420
  • SCM 421
  • SCM 425
  • SCM 430
  • SCM 432
  • SCM 435
  • SCM 440
  • SCM 445
  • SCM 822

JIS G4052 焼入性を保証した構造用鋼鋼材(H鋼)

  • SCM 415H
  • SCM 418H
  • SCM 420H
  • SCM 430H
  • SCM 435H
  • SCM 440H
  • SCM 445H
  • SCM 822H

JIS G3441 機械構造用合金鋼鋼管

  • SCM 415TK
  • SCM 418TK
  • SCM 420TK
  • SCM 430TK
  • SCM 435TK
  • SCM 440TK

JIS G3509-1 冷間圧造用合金鋼-第1部 線材

  • SCM 415RCH
  • SCM 415HRCH
  • SCM 418RCH
  • SCM 418HRCH
  • SCM 420RCH
  • SCM 420HRCH
  • SCM 425RCH
  • SCM 425HRCH
  • SCM 430RCH
  • SCM 435RCH
  • SCM 435HRCH
  • SCM 440RCH
  • SCM 440HRCH
  • SCM 445RCH
  • SCM 445HRCH
  • SCM 822RCH
  • SCM 822HRCH

米国SAEによる分類

合金組成(重量%)[1]
SAE グレード % Cr % Mo % C * % Mn % P (max) % S (max) % Si
4118 0.40–0.60 0.08–0.15 0.18–0.23 0.70–0.90 0.035 0.040 0.15–0.35
4120 0.40–0.60 0.13–0.20 0.18–0.23 0.90–1.20 0.035 0.040 0.15–0.35
4121 0.45–0.65 0.20–0.30 0.18–0.23 0.75–1.00 0.035 0.040 0.15–0.35
4130 0.80–1.10 0.15–0.25 0.28–0.33 0.40–0.60 0.035 0.040 0.15–0.35
4135 0.80–1.10 0.15–0.25 0.33–0.38 0.70–0.90 0.035 0.040 0.15–0.35
4137 0.80–1.10 0.15–0.25 0.35–0.40 0.70–0.90 0.035 0.040 0.15–0.35
4140 0.80–1.10 0.15–0.25 0.38–0.43 0.75–1.00 0.035 0.040 0.15–0.35
4142 0.80–1.10 0.15–0.25 0.40–0.45 0.75–1.00 0.035 0.040 0.15–0.35
4145 0.80–1.10 0.15–0.25 0.43–0.48 0.75–1.00 0.035 0.040 0.15–0.35
4147 0.80–1.10 0.15–0.25 0.45–0.50 0.75–1.00 0.035 0.040 0.15–0.35
4150 0.80–1.10 0.15–0.25 0.48–0.53 0.75–1.00 0.035 0.040 0.15–0.35
4161 0.70–0.90 0.25–0.35 0.56–0.64 0.75–1.00 0.035 0.040 0.15–0.35
* 合金の炭素組成 (%) はSAE仕様書番号の末尾2ケタで表されている。
力学特性
材料 条件 引っぱり強度 [psi (MPa)] 降伏強度 [psi (MPa)] 伸び in 2" [%] 硬さロックウェル
4130 低温延伸英語版—焼きならし[2] 85,000–110,000 psi (590–760 MPa) 70,000–85,000 psi (480–590 MPa) 20–30 B 90–96
4142 熱間圧延焼きなまし[2] 90,000–100,000 psi (620–690 MPa) 60,000–70,000 psi (410–480 MPa) 20–30 B 90–95
低温延伸—焼きなまし[2] 105,000–120,000 psi (720–830 MPa) 85,000–95,000 psi (590–660 MPa) 15–25 B 96–100
4150 熱間圧延—焼きなまし[2] 90,000–110,000 psi (620–760 MPa) 65,000–75,000 psi (450–520 MPa) 20–30 B 90–96

その他の特性

クロムモリブデン鋼の重要な特性の一つは、表面の浸炭により表面硬化英語版することである。材料の核はバルク特性を保持するが、外側は顕著に硬化し摩耗や裂けを減らすことができる。この特性によりクロムモリブデン鋼は、歯車ピストンピン英語版クランクシャフトに非常に適した材料である[1]

脚注

  1. ^ a b Central Steel & Wire Company Catalog (2006-2008 ed.), p. 246 . 註: 棒状製品についての数値。プレート、シート、チューブ状のものについてはわずかに異なる。
  2. ^ a b c d Central Steel & Wire Company Catalog (2006-2008 ed.), p. 260 .



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「クロームモリブデン鋼」の関連用語

クロームモリブデン鋼のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



クロームモリブデン鋼のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのクロムモリブデン鋼 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS