カーチス・ルメイとは? わかりやすく解説

カーチス・ルメイ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/09 15:24 UTC 版)

カーチス・エマーソン・ルメイ英語: Curtis Emerson LeMayカーティス・ルメイ[1]1906年11月15日 - 1990年10月1日)は、アメリカ合衆国陸軍軍人空軍軍人。最終階級は空軍大将第二次世界大戦中は第20空軍隷下の第21爆撃集団司令官に赴任し、東京大空襲を指揮。1957年7月から1965年2月まで第5代空軍参謀総長を務め、在任中はキューバ危機の間にキューバのミサイルサイトの爆撃を呼びかけ、ベトナム戦争の間に持続的な北ベトナム爆撃キャンペーンを求めた。


注釈

  1. ^ 戦後、前任者のヘイウッド・ハンセル准将はルメイとの交代は精密爆撃から無差別爆撃への政策転換の結果と話したが、実際はハンセルのころから無差別爆撃の準備を進めており、実験的に実行もしており、無差別爆撃の方針についてルメイは基本的にハンセルの戦術を踏襲している[10]。一方で1945年1月3日アーノルドの参謀総長で民家焼夷攻撃論者のローリス・ノースタッド英語版少将の名古屋空襲で焼夷弾による無差別攻撃を命じたにも拘らず、ハンセルは従来の工場攻撃に重点を置き、焼夷弾爆撃は一部の機体に試行的に実施させたに過ぎなかったことが、ルメイへの交替を決心させる契機となったという意見もある。ルメイも当初は工場爆撃を主とする考え方に与する立場であったが、ノースタッドの命令を忠実に実行する意思は持っていた[11]
  2. ^ この点は南北戦争時の海への進軍その後の北上進撃アメリカ連合国の盟主だったジョージア州サウスカロライナ州を壊滅させ、南部人を震え上がらせた、同じオハイオ州出身で北軍のウィリアム・シャーマンの戦争の考え方を踏襲している[18][要文献特定詳細情報]。ただし、陸上の物流の主役であった国鉄を始めとする鉄道網に対してはルメイの他陸軍航空隊が明確に主目標に据えたことはほとんどなく、組織的な鉄道網攻撃として実施したのは1945年8月15日の岩国機関区に対する爆撃が唯一であった[19]。また、第21爆撃集団は当時日本国内で数地区に集中していた炭田への集中爆撃も実施しなかった[11]
  3. ^ 浦は返礼として翌年アメリカ空軍からレジオン・オブ・メリット勲章を授与されている。
  4. ^ この叙勲は様々な俗説を生み、アメリカの無差別殺戮に謝罪も賠償も要求しないことを形にしろとジョンソン大統領が要求したとする説[37][要文献特定詳細情報]橋本登美三郎官房長官が小泉防衛長官と叙勲決定を主導したとする説[38]池田勇人前首相が叙勲決定を行ったとする説。元航空幕僚長の源田実参議院議員が推薦などを行ったとする説。しかし推薦・選考・決定・全ては行政(内閣)で行われ、池田や源田は参加していない[31][39]

出典

  1. ^ 木下昌明. “ドイツ映画『ドレスデン、運命の日』「大空襲」―62年が経過して 日本で「訴訟」ドイツで「映画」”. 木下昌明の映画の部屋・第22回. レイバーネット公式ホームページ. 2021年8月3日閲覧。
  2. ^ a b c d e Air Force Link: Curtis Emerson LeMay”. 2012年12月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年6月19日閲覧。 アメリカ空軍公式サイト
  3. ^ E.バートレット・カー『戦略・東京大空爆 一九四五年三月十日の真実』光人社、1994年、[要ページ番号]頁。ISBN 4-7698-0699-X 
  4. ^ ドキュメンタリーを撮ったエロール・モリス英語版監督による引用。The Fog of War: Eleven Lessons from the Life of Robert S. McNamara, Documentary Film, 2003「One of the commanders was Curtis LeMay-Colonel in command of a B-24 group. He was the finest combat commander of any service I came across in war. But he was extraordinarily belligerent, many thought brutal. He got the report. He issued an order. He said, 'I will be in the lead plane on every mission. Any plane that takes off will go over the target, or the crew will be court-martialed.' The abort rate dropped overnight. Now that's the kind of commander he was.」
  5. ^ ドキュメント原爆投下 1980, p. 119
  6. ^ ドキュメント原爆投下 1980, p. 124
  7. ^ Haulman, Chapter Over the Hump to Matterhorn p.5
  8. ^ 荒井 2008, p. 128
  9. ^ a b ドキュメント東京大空襲 2012, p. 136
  10. ^ 荒井 2008, pp. 128–129
  11. ^ a b 青木慶一「国鉄運賃問題の一考察」『政策月報』、自由民主党、1966年4月、doi:10.11501/1385433ISSN 0582-4400 服部卓四郎『大東亜戦争全史』第10章を参照して述べられている。)
  12. ^ 荒井 2008, pp. 136–137
  13. ^ ドキュメント原爆投下 1980, pp. 151–152
  14. ^ ドキュメント東京大空襲 2012, p. 142
  15. ^ 荒井 2008, p. 136
  16. ^ 荒井 2008, p. 139
  17. ^ 富山市空襲については中山伊佐男著『ルメイ・最後の空襲』桂書房に詳しい。青木慶一も同市が民家焼失率で全国一(99パーセント)となったことを指摘している。
  18. ^ ロナルド・シェイファー著、深田民生翻訳「アメリカの日本空襲にモラルはあったか―戦略爆撃の道義的問題」草思社
  19. ^ 服部卓四郎は著書『大東亜戦争全史』第10章で「アメリカ空軍が鉄道に対する本格的攻撃を延引したことは、日本のために真に僥倖であった。巨大な本土決戦兵力と、軍需品の展開が出来たのも、戦時産業活動で国民生活を辛うじて支え得たのも、実にそのためであった。戦後になってからアメリカ爆撃調査団は、空軍のこの戦略的過失を鋭く指摘している」と述べている
  20. ^ 鬼塚英昭『原爆の秘密』 国内篇(昭和天皇は知っていた)、成甲書房、2008年、117頁。ISBN 978-4-88086-233-0 
  21. ^ カーチス・E.ルメイ、ビル・イェーン『超・空の要塞 B-29』朝日ソノラマ〈新戦史シリーズ 37〉、1991年、[要ページ番号]頁。ISBN 4-257-17237-1 
  22. ^ 荒井 2008, pp. 136, 139
  23. ^ ドキュメント東京大空襲 2012, pp. 62–63
  24. ^ ドキュメント原爆投下 1980, pp. 368–369
  25. ^ ドキュメント原爆投下 1980, p. 375
  26. ^ 鈴木敏明『原爆正当化のアメリカと「従軍慰安婦」謝罪の日本』展転社、2006年、17頁。ISBN 4-88656-291-4 
  27. ^ 荒井 2008, p. 190
  28. ^ a b c 朝日新聞夕刊昭和39年12月7日
  29. ^ a b 朝日新聞夕刊昭和39年12月4日
  30. ^ 「昭和39年12月15日47回衆議院 外務委員会 1号 総理府事務官賞勲局長岩倉規夫政府委員の答弁」、総理府賞勲局監修『栄典事務手続き 第4次改定版』96-97頁
  31. ^ a b 総理府賞勲局監修『栄典事務手続き 第4次改定版』96-97頁
  32. ^ 「昭和39年12月15日47回衆議院 外務委員会 1号 総理府事務官賞勲局長岩倉規夫政府委員の答弁」、昭和39年12月07日47回 衆議院 予算委員会 8号
  33. ^ 昭和39年12月15日47回衆議院 外務委員会 1号 総理府事務官賞勲局長岩倉規夫政府委員の答弁
  34. ^ 勲一等、「親授」せず 編集委員 上別府 保慶”. 西日本新聞me (2018年5月17日). 2023年9月3日閲覧。
  35. ^ 昭和39年12月07日47回 衆議院 予算委員会 8号、昭和39年12月15日47回衆議院 外務委員会 1号など
  36. ^ 昭和39年12月07日47回 衆議院 予算委員会 8号
  37. ^ 高山正之『変見自在 マッカーサーは慰安婦がお好き』
  38. ^ 『軍縮問題資料』308号2006年7月43頁
  39. ^ 国立公文書館「(外国人叙勲)アメリカ合衆国空軍大将カーチス・イー・ルメイへ勲一等に叙し旭日大綬章を贈与するについて」請求番号分館-01-039-00・平3総00673100件名番号007、作成部局賞勲局年月日昭和39年12月04日
  40. ^ ドキュメント原爆投下 1980, p. 465
  41. ^ ドキュメント原爆投下 1980, p. 466


「カーチス・ルメイ」の続きの解説一覧




固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「カーチス・ルメイ」の関連用語

カーチス・ルメイのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



カーチス・ルメイのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのカーチス・ルメイ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS