オストワルト法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/05 08:11 UTC 版)
アンモニアを白金触媒の存在下で 900 ℃ 程度に加熱すると一酸化窒素が得られる。この反応においては触媒とアンモニアの接触時間が重要であり、接触時間が長いとアンモニアと一酸化窒素とが反応して窒素が生成されてしまう。触媒にはこのほかに CuO-MnO2 系や、Fe2O3-Bi2O3 系などの金属酸化物触媒も、かつては用いられたことがあったが、触媒活性で劣っていたり、反応中に触媒が微粉化してしまうため、現在では、白金に 10 % ほどのロジウムを加えた金網状の触媒が用いられている。白金-ロジウム触媒を用いた際には反応温度 800 °C、接触時間 0.001 秒の反応条件で一酸化窒素への転化が起こり、その収率は 95 – 98 % である。そのほかに粘土によっても酸化に成功した事例もあるが、収率は半分以下である。 4 NH 3 + 5 O 2 ⟶ 4 NO + 6 H 2 O {\displaystyle {\ce {4NH3 + 5O2 -> 4NO + 6H2O}}} 一酸化窒素は自発的に空気中の酸素と反応し二酸化窒素となる。空気酸化によるこの工程での収率はおよそ 50 % であり、純粋な酸素を用いて酸化させることでその収率は 62 % まで向上する。 2 NO + O 2 ⟶ 2 NO 2 {\displaystyle {\ce {2NO + O2 -> 2NO2}}} 二酸化窒素を水(温水)と反応させると硝酸と一酸化窒素が発生する(一酸化窒素は最初のサイクルに戻る)(冷水との反応は「二酸化窒素」を参照)。常圧で反応させた場合は硝酸の濃度が低いため、ポーリング式硝酸濃縮法と呼ばれる方法を用いて硝酸濃度が 98 %になるまで濃縮が行われる。また、10 気圧 (106 Pa) ほどの圧力を加えて反応させる高圧法を用いれば、濃縮の必要なく直接 98 %の硝酸が得られる。 3 NO 2 + H 2 O ⟶ 2 HNO 3 + NO {\displaystyle {\ce {3NO2 + H2O -> 2HNO3 + NO}}} 全体として、 NH 3 + 2 O 2 ⟶ HNO 3 + H 2 O {\displaystyle {\ce {NH3 + 2O2 -> HNO3 + H2O}}} 窒素酸化物は大気中でもこのような反応を起こし、酸性雨の原因の一つとなる。ただし僅かなレベルであれば植物の栄養源となる。
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