エノク語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/22 10:22 UTC 版)
エノク語(エノクご)あるいはエノキアン(英: Enochian)は、16世紀後半ジョン・ディーと霊視者エドワード・ケリーの日誌に記録されている天使の言語とされるものである。彼らはそれは天使により啓示されたものだと主張していたが、現代の一部の魔術研究者は人工言語と見なしている。
- ^ Churton, Tobias (2002). The Golden Builders. Signal Publishing. ISBN 0-9543309-0-0
- ^ Deborah Harkness, John Dee's Conversations with Angels, 16-17.
- ^ 現在では豊富なコレクションが英国図書館にある。特にSloane MSS 3188, 3189と3191、Cotton Appendix XLVIを参照。以上すべてのスキャン画像がオンラインで見られる:http://www.themagickalreview.org/enochian/mss/.
- ^ 英国図書館のMS Sloane 3189である。
- ^ The angel Nalvage, cited in Casaubon ed., A True and Faithful Relation…, p. 77
- ^ The angel Illemese, cited in Casaubon ed., A True and Faithful Relation…, p. 199)
- ^ See Donald Laycock, "Enochian: Angelic language or mortal folly?", 19-64 in The Complete Enochian Dictionary. Also Egil Asprem, "'Enochian' Language: A proof of the existence of angels?" in Skepsis (13.12.2006), http://www.skepsis.no/marginalia/enochian_language_a_proof_of_t.html.
- ^ Laycock, "Enochian: Angelic language or mortal folly?", p.33.
- ^ Laycock, 43.
- ^ Ibid.
エノク語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/02/15 08:32 UTC 版)
ケリーの「天使」たちは特別な「天使語」またはエノク語なる言語で通信することがあった。ディーとケリーはこの言語を天使から与えられたものだと主張していた。現代の暗号解読者の中には、この言語はケリーが作ったものだと主張する者もいる。例としてはドナルド・レイコックの著作が挙げられる。ディーが詐欺の被害者だったのかそれとも共犯だったのかについては良く分からない。この先例及びヴォイニッチ手稿とジョン・ディーとのロジャー・ベーコンを通じた怪しい関係によって、ケリーはこの手稿をルドルフ2世を騙すために捏造したのではないかと疑われている。 天使語は、ケリーが水晶玉の中に見たと主張していた天使達によって口述されたと考えられている。天使達はクロスワードパズルのようだが升目は字で満たされた複雑な表の中に、文字を打ち出したと言われる。各々の天使語の最初の三分の一は逆向きに、続く三分の二は前方に向かって打ち出された。最初の部分と続く部分の間の語法に重要な誤りや食い違いはない。 英訳は打ち出されたわけではないが、ケリーによると天使の口から出てきた小さな帯状の紙に現われたという。 ケリーがこの言語を捏造したという説の理由は、天使語が英語のただの逐語訳であるという点である。このことは全ての場合にあてはまるわけではないが、その他に見るものが苛立たせられるような出典となる言語的証拠がある。例えばTelocvovimという天使語の単語は「堕ちた者」と注釈されているがこれは実のところドイツ語のような、二つの天使語の複合語である。これはteloch(死)とvovin(竜)の複合形であってすなわちTelocvovimは文字通りに訳すると「死の竜」を意味し、どちらも明らかにルシファーに関係している。しかしケリーもディーもこのことを発見または言及したことはなかったようである。 ケリーによる捏造説に対する主張の反論には、天使語の英訳がケリー自身の著作の英語とは大きく異なる文体で書かれているというものがある。この文章の非常な質の高さはケリーの著述家としての平凡な能力を超えている。このことから、ケリーが様々な原典から素材を剽窃した可能性が起こってくる。しかしながら似たような原典が浮上したことはない。 ディーは三つの理由から口述された天使語による資料を重視した。第一にディーは天使語が真の「異言」の文字化されたものだと考えていたからであり、またそれゆえディーはケリーが自分の想像でしゃべっているのではなく本当に天使と対話しているのだと信じていた。第二に天使達は天使語が実際にはヘブライ語の原型であって、神とアダムが対話した、つまり最初の言語であったと主張していた点である。第三に天使語の資料は、ディーが信じるところでは多くの秘密、特に賢者の石に関する鍵を握る強力な天使達を呼び出す一連の呪文の形をとっているということである。
※この「エノク語」の解説は、「エドワード・ケリー」の解説の一部です。
「エノク語」を含む「エドワード・ケリー」の記事については、「エドワード・ケリー」の概要を参照ください。
固有名詞の分類
- エノク語のページへのリンク