エコマネー
環境がテーマの愛・地球博(愛知万博)が05年9月に閉幕して1年以上がたちました。現在、愛知県など自治体や中部経済界を中心にポスト万博の取り組みが活発に進められています。万博の理念、成果を継承、発展させ、次なる地域振興につなげるさまざまな活動の中から、身近な環境活動として万博会場で話題となったEXPOエコマネー(※注参照)の輪も広がりを見せています。
名古屋市は、2月1日からエコ商品などと交換できるEXPOエコマネーのサテライト会場を新たに市内2カ所に開設すると発表しました。場所は環境学習センター(名古屋市中区)とリサイクル推進センター(同)。これで会場は金山地区のアスナル金山とあわせて3カ所となりました。
スーパーのレジ袋を辞退したり、環境学習への参加など環境活動をポイントに換算し、環境グッズを購入したり、植樹活動へ寄付したりできる同事業。2006年12月からは、これまで万博協会からEXPOエコマネー事業の運営を任されてきたNPO法人エコデザイン市民社会フォーラムが、中部経済産業局、愛知県、名古屋市などの協力を得て新たな事業として実施しています。愛知万博は計画段階から開発か環境保護かで揺れ、会場予定地が変更されるなど紆余(うよ)曲折がありました。こうした経緯からも、ポスト万博の取り組みを通じて、環境万博の理念が後世に引き継がれることが望まれます。同事業は継承法人による全国展開が検討されているとのことです。
愛知県刈谷市に本社がある株式会社デンソーは、2006年12月18日からデンソーエコポイント制度の運用を開始しました。このエコポイント制度(通称:DECO(デコ)ポン)はEXPOエコマネー事業の理念や仕組みを最大限に活用したデンソー独自の制度で、デンソー社員とその家族を対象に1万人の利用を目指すとのこと。企業としては先駆的な取り組みといえます。
具体的にはゴミ拾いなどの環境関連ボランティア活動や環境家計簿の記入、エコ商品の購入など、参加者の環境に配慮した行動に対して会社がエコポイントを発行するもので、貯まったポイントは、環境にやさしい商品との交換や、地域の環境活動への寄付に利用できます。またこの制度は、EXPOエコマネー事業のポイントと互換性があり、同事業の普及に貢献できることでしょう。
現在、全国のさまざまな地域で多くのエコマネーが導入されていて、その数は100近くにもなるといわれています。しかしエコマネーはあくまでもその地域内での通貨。
そういった点からも、多くの企業がエコマネー事業を推進することが期待されます。
注:
EXPOエコマネーは、2005年3月25日から9月25日まで、愛知県(瀬戸市、豊田市、長久手町)で開催された2005年日本国際博覧会(愛・地球博)で協会事業のひとつとして実施された、人と地球にやさしい環境通貨の実験事業。
エコマネーは、1997年頃、通商産業省生活産業局サービス産業課長(当時)加藤敏春氏が提唱された考え方で、さまざまなボランティア活動に対して支払われる地域通貨のこと。エコノミー(経済)とエコロジー(環境)がコミュニティー(共同体)の中で流通するお金(マネー)「エコミュニティーマネー」を略した造語。国が発行するお金に対して、地域住民の中でのみ通用するお金(地域通貨)。
お金(現行の貨幣制度)では表現しにくい価値。例えば、奉仕(サービス)したり、受けたり、感謝の気持ちを伝えたり。人と人との交流を促進し、お互いが支え合うことがエコマネーのねらいといえるでしょう。
写真はデンソー エコポイント制度 DECOポンのホームページ
(掲載日:2007/01/26)
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