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ア・カペラ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2012/06/03 06:22 UTC 版)
ア・カペラ(イタリア語 : a cappella)は、簡素化された教会音楽の様式のこと。また、そこから転じて、教会音楽に限らず無伴奏で合唱・重唱・独唱を行うこと、またはそのための楽曲全般を指す。日本語では「アカペラ」、あるいはイタリア語の発音に近い「ア・カペッラ」、英語発音に近い「アーカペラ」と表記されることもある。
目次 |
クラシック音楽におけるア・カペラ
ルネサンス期のア・カペラ
ルネサンス音楽では、音楽家が教会を舞台にして、複雑で豪華な曲作りを競い合っていた。このため、宗教儀式なのか音楽会なのか分からない状態となり、また肝心な歌詞が聞き取りにくくなっていた。これを問題視したバチカンは、さまざまな教会改革(対抗改革・トリエント公会議)の一環として、教会音楽の簡素化にとりくんだ。こうして生まれたのがア・カペラ様式であり、それをになった代表的な音楽家がジョヴァンニ・ダ・パレストリーナである。事実、パレストリーナの曲は、それ以前の曲よりも平易で歌いやすいものが多い。イタリア語のa cappella(ア・カペラ)は、英語のin chapelに相当し、「聖堂で」「聖堂において」という意味の副詞句である。これが形容詞句・名詞句化して、教会音楽の1つの様式を指すようになった。
ア・カペラ様式の特徴は、
- 曲の全体または一部がポリフォニーとなっている。
- 簡素で、歌詞の聞き取りが容易である。
- 複数のパートからなり、無伴奏または、歌のメロディーをなぞる程度の簡単な伴奏をつけて歌う。
というものである。広義のア・カペラは1と3、あるいは、単に3を満たす教会音楽をさす。
以上の定義から、必ずしも「ア・カペラ=無伴奏」とは限らない。しかしながら、ルネサンス合唱曲は、伴奏がつけられるとしても、楽譜は無伴奏の形で書かれているものが多い。ダウランドの作品のようにタブラチュアの形で伴奏譜がついている楽曲もあるものの、世俗曲は伴奏を即興的につけるのが普通であり、宗教曲は上記3の理由から、なおさら楽譜に伴奏パートを記す必要がなかった。こうした事情から、いつしか「ア・カペラ様式=無伴奏合唱」というイメージが一般に浸透し、さらには教会音楽以外の無伴奏合唱や無伴奏ボーカルアンサンブルを指す言葉として「ア・カペラ」が広く使われるようになった。近年では無伴奏での独唱をア・カペラと呼ぶ場合もあるが、このような用法は本来のア・カペラの意味からはかなり乖離していると言える。
正教会における無伴奏合唱
正教会においては、基本的に聖歌に伴奏をつけることが禁じられており、無伴奏合唱の形態をとる。そのため、チャイコフスキーやラフマニノフ、フリストフといった、器楽曲の面でも才能を発揮した作曲家達も、無伴奏合唱で正教会の聖歌を作曲した。無伴奏声合唱という意味ではこれもア・カペラと言えるが、正教会内では「ア・カペラ」の語を使うことはまれである。
ピッチの調節には音叉が広く用いられるが、もっぱら神品の声に合わせてピッチの基準とすることも多い。そのため、楽譜に指示された調を転調して歌うこともしばしば行われる。
ポピュラー音楽におけるア・カペラ
ポピュラー音楽における「ア・カペラ」はもっぱら、小人数グループでの無伴奏合唱のことを指す。1980~90年代にかけて、アメリカのポピュラーアーティスト達がこのようなア・カペラのスタイルに注目するようになり、テイク6、ボーイズIIメンなどのコーラス・グループが人気を得た。楽曲は聖歌に限らず、R&B、ジャズ、ロック、ポップスなど様々なジャンルの音楽が取り入れられた。また2009年から2011年にかけて、アメリカNBCにおいて、ア・カペラグループのコンテスト番組「The Sing-Off」が放送された。
日本ではスターダスト・レビューや山下達郎、チキンガーリックステーキなどが早くからア・カペラを自らの音楽に取り入れていた。2000年頃には早稲田大学のア・カペラサークル出身のゴスペラーズが人気を得て、ア・カペラが一般に知れ渡るようになった。また2001年からフジテレビのバラエティ番組「力の限りゴーゴゴー!!」において、学生によるア・カペラのコンテストを行う「ハモネプ」というコーナーが放送されて人気を博した。「ハモネプ」に出演したRAG FAIRなどのいくつかのグループはプロデビューを果たした。近年では各地にア・カペラサークルが誕生しており、特に大学のア・カペラサークルでは100人を超えるものも珍しくないが、その中からclearance、KOBE BOYSなどの大学サークル出身のプログループも誕生している。
ポピュラー音楽のア・カペラでは、クラシックの和声的、対位的な構成だけでなく、ジャズ・ハーモニーによる構成をともなうことも多い。またクラシックの合唱とは異なり、マイクの使用を前提とするため、声でパーカッション効果を出したり(ボイスパーカッション、ヒューマンビートボックス)、トランペットやギターなどの楽器の音を真似るなど、様々な表現手法を用いることができる。また山下達郎のように自分の声を多重録音することによって1人でア・カペラの作品を作ることも可能となっている。
ア・カペラを演奏する際には、伴奏がある場合とは異なりピッチの調節が大きな課題となる。演奏前にピッチパイプや音叉などで音をあわせるが、それ以降のピッチのずれは蓄積していくため、演奏者には正確な音感が求められる。
- 日本の主なア・カペラ・グループ
- 海外の主なア・カペラ・グループ
- テイク6
- ボーイズIIメン
- Rockapella
- VOX ONE
- The Real Group
- バックストリート・ボーイズ
- 東方神起
- 1 ア・カペラの概要
- 2 関連項目
ア・カペラに関連した本
- 練習方法・楽譜アレンジ・ボイパこれ1冊! アカペラ・パーフェクト・ブック 〈CD付〉 ドレミ楽譜出版社
- アカペラ (新潮文庫) 山本 文緒 新潮社
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