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ピューマ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2011/12/29 04:33 UTC 版)

(アメリカライオン から転送)

ピューマ
生息年代: Middle Pleistocene–0
Mountain lion.jpg
ピューマ Puma concolor
保全状況評価
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
Status iucn3.1 LC.svg
地質時代
新生代第四紀更新世中期イオニアン(en)- 完新世サブアトランティック(*
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
上目 : ローラシア獣上目 Laurasiatheria
: ネコ目(食肉目) Carnivora
亜目 : ネコ亜目 Feliformia
: ネコ科 Felidae
亜科 : ネコ亜科 Felinae
: ピューマ属 Puma
: ピューマ P. concolor
学名
Puma concolor
(Linnaeus1771)
シノニム
Felis concolor
和名
ピューマ
英名
Cougar
Puma range.png
ピューマの生息分布図。元々は北米の東部と中部にも分布していたが、それらの地域では人間によって駆除された。

ピューマ学名Puma concolor英語名:Cougar)は、南アメリカ大陸のほぼ全域と北アメリカ大陸の広域に生息する、ネコ目(食肉目)- ネコ科の大型肉食性哺乳類の一種(1)。ネコ亜科- ピューマ属2種中の1種。

新生代第四紀更新世中期イオニアン(en)に出現したと考えらる。北は北米大陸のロッキー山系最北端から南は南米大陸南端のパタゴニア平原までを平地から標高3,900mの高地まで、湿地の森林地帯から砂漠地帯までと非常に広い範囲の多様な環境に適応し生息している。今日の北アメリカでは、場所によって絶滅あるいは絶滅の危機に瀕しており、保護活動も行われている。

目次

呼称

分類学上、本種をピューマ属とせず、ネコ属の下位に置いて「ピューマ亜属」とする学説もあり、その場合の学名はシノニムとしての Felis concolor である。

属名 Puma や英語での通俗的異名[1] puma (プーマ)の語源を辿ると、スペイン語名を経ているが、そもそもの由来は南米ペルーエクアドルに暮らす先住民族ケチュアの言語でのその名 puma に源流がある。

種小名 concolorconcolor、コンコロル)はラテン語で「同じ色の」「1色の」の意。英語での呼称はほかに、標準的英語名である cougar (クーガー。ポルトガル語経由で、トゥピ語[en]名かグアラニー語名起源とされる)を始めとして、mountain lion (マウンテン・ライオン、「山ライオン」)や American lion (「アメリカライオン」)がある。また、北アメリカでは単に lionpanthercatamount (カタマウント)などと呼ばれる場合もある。もちろん、lion、panther、catamount は一般にはそれぞれライオンヒョウ、ネコ科の野生動物(山の猫)を指す英語名である。

生物的特徴

形質

頭蓋骨の写真
ピューマの足の裏

ネコ科の中では、ヒョウライオンなどのヒョウ亜科ではなく、イエネコを含むヤマネコと同じネコ亜科に属し、ネコ亜科では最大級の大きさである。オスは体長(頭胴長)約1- 1.8m、体重約65- 100 kgに達し、メスは一回り小さい。成獣の体は黄褐色の毛で覆われ、無紋、耳の縁と長い尾の先だけが黒い。幼獣は体中に黒~黒褐色のヒョウのような斑紋があり、尾には黒い輪があるが、これらは成長とともに消えていく。敏捷で瞬発力に優れ、高さ4 m、幅12 mほどの跳躍した記録が残されている。なお嗅覚が鋭い。また、ネコ科の大型肉食獣の中では特に眼球が大きく、視力が高い。寿命は野生のもので12年ほど、飼育下では25年程度。

基本的に単独行動であり、オスでは平均の広さ250 km2(半径 9 km の円)程度の縄張りを持つとされる。比べ、メスの縄張りは狭く面積はその半分から3分の1程度となる。ただし、縄張りの広さは環境に左右され、餌が豊富で条件がよい地域ではオスの縄張りが1頭当り25 km2(半径3 kmの円)程度の地域もあるという。主にネズミリスウサギアライグマナマケモノなどの小型哺乳類や、鳥類爬虫類魚類バッタなどの昆虫を食べ、シカなどの大型哺乳類やヤマアラシを捕食する場合もある。狩りの方法は、地面に伏せて獲物に忍び寄り、後ろや物陰から瞬発力を利用して一気に飛びかかるというもの。獲物の行動を止めるため、顎や喉笛に食いついたり、獲物を転倒させて、腹部に食いついたりもする。捕食された動物の中には、飛びつかれた際の衝撃による骨折が死因のものも見つかっている。

ピューマは広い縄張り且つ単独行動の種であるため、生息地域に人間が住んでいる場合でも見かけることは少ない。これまでにおいて人間への直接被害は多くないが、人間の子供、屋外で飼育しているペット家畜などは襲われないよう注意されている。

下位分類と分布

フロリダパンサー
ピューマのフロリダ亜種。米国、フロリダパンサー国立野生動物保護区にて撮影。

ピューマは非常に広い範囲に生息しており、地域により形態的特徴が異なっている。北中米・南米併せて20- 30種類程度の亜種に分類される場合が多い。亜種の分類には非常に異同が多い。

北米では、1900年代に入り、米国の多くの州でピューマが害獣指定され、狩猟による駆除が行われたことから、ほとんどの地域で個体数が激減した。特に、東部と中部ではピューマはほぼいなくなった。1970年代までにはこの指定は解除されたが、それまでにカナダから米国東部(ニューイングランド地方からテネシー州まで)に広く分布していた北アメリカ東部亜種(ペンシルベニア亜種、学名:P. concolor couguar、英名:Eastern cougar)や、米国中部(五大湖西岸からカンサス州まで)に分布していた北アメリカ中部亜種(ウィスコンシン亜種、学名:P. concolor schorgeri、英名:Wisconsin cougar)はほぼ絶滅したと考えられている。また、米国南部(ルイジアナ州から東側、フロリダ州まで)に分布していた北アメリカ南部亜種(フロリダ亜種、学名:P. concolor coryi、英名:Florida panther)がフロリダ半島の湿地帯の森林にわずかに残されており、厳重な保護下に置かれている。この結果、北アメリカで確実にピューマが分布している地域は、カナダ西部から米国西部、メキシコにかけての西海岸寄りの一帯だけになっている。西部諸州でも狩猟によってピューマは激減し、さらに1980年代まで狩猟(ゲーム・ハンティング)の対象動物ではあり続けたため、西部のいくつかの亜種(カリフォルニア亜種、学名:P. concolor californica など)も、一時分布が限局され、個体数の減少が深刻になったときもあったが、1990年代以降は個体数と分布がかなり回復傾向にある。なお北アメリカ東部で稀に目撃される個体は、ペットが野生化したものの可能性が高く、上記亜種とは関連しないと考えられている。

中米では、ニカラグアからパナマにかけて分布している中央アメリカ亜種(コスタリカ亜種、学名:P. concolor costaricensis、英名:Costa Rican puma)が絶滅の恐れのある種に指定されている。保護区内での個体数は比較的安定しているものの、増加の傾向は見られていない。一方、南米では、殆どの地域にピューマが生息しており、21世紀に入り、絶滅の恐れがある地域および亜種はない。種の学名と同じ亜種名 concolor を持つ原名亜種は、ブラジル亜種(学名:P. concolor concolor、英名:Brazilian puma)で、ベネズエラからブラジル北部に分布する。

ピューマは、ベルクマンの法則にしたがう種として知られている。カナダ西部のブリティッシュコロンビア州に生息する北アメリカ北西部亜種(学名:P. concolor missoulensis)や、南アメリカ最南端に生息するパタゴニア亜種(学名:P. concolor patagonica)などの体格は、赤道地方の亜種の倍近い大きさがある。ベルクマンの法則の通常の解釈では、その理由は体の容積と表面積との関係で、寒い地域では体からの熱を奪われるのを防ぐため、体の容積に対して表面積が小さくなるように体が大型化するというものだが、ピューマの場合には、その原因は餌の違いではないかという指摘もある。なお、ピューマのうち、北アメリカ東部亜種・北アメリカ南部(フロリダ)亜種・中央アメリカ(コスタリカ)亜種の3亜種は、ワシントン条約で国際間の取引が禁止されている。


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  1. ^ 分類学上の「異名(シノニム)」と区別すること。


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