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エレベーター

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2012/05/28 14:26 UTC 版)

(アウフツーグ から転送)

エレベーターホール(展望エレベーター)
名古屋港ポートビル)
クリスタルエレベーター
(名古屋港ポートビル)
シースルーエレベーター
倉吉パークスクエア

エレベーター(米:Elevator, 英: Lift)とはや荷物を載せた箱を垂直(または斜め・水平)に移動させる昇降機である。日本では、人が乗れない荷物専用のものはリフトと呼ぶことが多い(英語では英米ともリフトを dumbwaiter と呼ぶ。建築基準法でもかつてはそう記載されたが、dumb が卑語であるためか、small freight elevator[小荷物専用昇降機]に変更されている)。

目次

歴史

エレベーターはすでに紀元前から存在し、アルキメデスロープ滑車で操作するものを開発していた。中世ヨーロッパでも、滑車を用いた巻上機があり、一部で利用されていた。17世紀に入ると、釣り合い錘(カウンターウェイト)を用いたものが発明された。

19世紀初頭には、水圧を利用したエレベーターがヨーロッパに登場し、工場などで実際に使用された。また1835年蒸気機関動力として利用したものが現れた。ただし、水力や蒸気機関を用いたエレベーターは、非常に速度が遅く、安全性の問題があった。

これに解決の糸口を与えたのは、アメリカエリシャ・オーチス (Elisha Graves Otis、1811-1861) である。彼は、1853年ニューヨーク万国博覧会において、逆転止め歯形による落下防止装置(調速機、ガバナマシン)を取り付けた蒸気エレベーターを発表した。オーチスは、来場客の面前で、吊り上げたエレベーターの綱を切ってみせ、その安全性をアピールした。

また水力式や蒸気機関式は、冬季に水が凍結すると運行に支障が出たが、1889年に電動機式のエレベーターの開発以降、電気の供給安定とともにエレベーターの動力源として電動式が主流となった。

電動式エレベーターは制御機構の高度化と建物内の高速な垂直方向の流通アクセス性の向上により、超高層建築物の建設の追い風をもたらした。

特に1920年代にはアメリカ・ニューヨーク市のマンハッタン地区でクライスラービルをはじめ、世界一のビルの高さを競うまでに新築超高層ビルの建設ラッシュが起き、超高層ビル建設の動きはのちに世界的に広がった。

用途種別

一般に、エレベーターとは、建築基準法第34条で規定される「昇降機」の一種別である。なお、この「昇降機」は建築基準法施行令第129条の3により、「エレベーター」、「エスカレーター」、「小荷物専用昇降機」の大きく3種類に分けられている。

建築基準法で規定される「エレベーター」には以下の用途種別が定められている。

乗用
専ら人の輸送を目的とするもの。マンション公団住宅、オフィスビル、商業施設、一戸建て住居などに設置されている。特に住戸内のみを昇降するエレベーターでかご床面積が1.1m2以下のものは、ホームエレベーターという。また、マンション等では、かご内にトランクが設置されており、寝台やストレッチャー等の利用するときに使用される。
人荷用
人及び荷物を輸送することを目的とするもの。法規上の取扱いは乗用と同じ。
寝台用
主として病院で用いられ、寝台やストレッチャーに載せた患者を輸送することを主目的としている。
荷物用
専ら荷物を輸送する目的のためのもの。荷扱者又は運転者以外の利用は不可。なお、労働安全衛生法で規定される「簡易リフト」にも、建築基準法で規定される「エレベーター」若しくは「小荷物専用昇降機」の規定が適用される。
自動車運搬用
専ら駐車場に設置され、自動車を輸送することを目的とするもの。人だけが乗ることは禁じられている。

非常用エレベーター

建築基準法(第34条2項)により、地上からの高さが31m以上あるか、または地上11階以上(一部のマンションでは16階以上)の建築物には、一般用のエレベーターのほかに、非常用エレベーターの設置が義務付けられる。これは災害発生時に高層建築では消防隊が階段を上がって救出に向かうことが困難なためであり、専用運転に切り替えられる装備をもつ。

非常用エレベーターは、火災等で商用電源が遮断されても運転できるよう非常電源ディーゼル発電機など)から電気が受けられ、電線も普通の火災で焼けないよう耐火電線を用いて配線する。機械室なしタイプは認められていない。またかつては他の一般用エレベーターよりも速度が遅い仕様が多かったので(現在は60m/minが下限)、乗用として使用されることはほとんどなく、通常時は荷物輸送やビルメンテナンス要員・警備員の移動に用いられてきた。そのため用途種別はほとんどの場合「人荷用」となっており、最近の一部を除き一般客の目に触れないように設置されることが多い。

なお、非常用エレベーターは設置されている建物の全ての階に停止でき、かつ全階のエレベーターホールにはかご位置を知らせるインジケーターを設置しなければならず、エレベーターホールも防火戸等によりを完全に遮断することができる構造が必要である。乗場には非常用エレベーターを示すプレート(赤文字で「非常用エレベータ」、その下に最大定員と積載荷重を記載する)を掲示しなければならない。定員は最低で17名(積載荷重1,150kg)と定められている。消防隊専用の装備としてかご呼び戻しボタン(主に1階か避難階に設置され、押すと他のかご内及び、乗場の呼びを全て解除し呼び戻しボタンのある階へ直行する)、一次消防・二次消防切り替えスイッチ(建物管理者や警備員から鍵を借り、このキースイッチを操作すると消防隊専用に切り替わる)がある。

一次消防運転では乗場呼びが無効になり、一種の専用運転となる。二次消防運転では乗場の戸閉検出装置が無効となり、かご又は乗場の扉が閉まらない状態であっても走行可能になるが、速度は最高でも90m/minに制限される。

建築基準法が適用されない昇降機

歩道橋等に設置されているエレベーター
建築物に設置されず、交通の用に供されるエレベーターは、建築基準法の規定が適用されない。
鉄道施設内に設置されるエレベーター
一般的に改札内に設置されるエレベーターは建築基準法が適用されない。
艦載機用
英空母イラストリアスのエレベーター
第二次世界大戦から現代まで長い間空母に装備されている艦載機を乗せるためのエレベーター。
艦載機や各種のミサイル爆弾も同時に搭載するためにとても丈夫で面積・荷重ともに大きい。

  1. ^ エレベーターは地階に据え付けた7.5馬力のモーター1基に対し、M字状にロープで連結したかご2機を同時に運転し、1階か8階だけに止る独自の構造をしていたが故障が多く、のちに撤去された。
  2. ^ 自動車のバンパーと同義。
  3. ^ 時折、エレベーターのドアを閉じさせまいと手足をドアに挟む者がいるが、安全スイッチを押さない限り手足はドアに挟まれてしまうので注意したほうがよい。
  4. ^ ウォークスルー式でない通常ドアの機種では後方が確認できるように室内(かご内)に大きながついている。
  5. ^ 2011年には東京メトロの駅にてワイヤーが全て切れてエレベーターが落下する事故が起きている。
  6. ^ ただし、調速機ロープが同時に切断された場合は例外である。
  7. ^ エレベーター部品供給停止のお知らせ 三菱電機ウェブサイト
  8. ^ 部品供給停止のお知らせ 日立製作所ウェブサイト
  9. ^ 「エレベーターの保守管理等に関する実態調査」の結果について 国土交通省2009年7月7日報道発表資料
  10. ^ 一般国道4号本宮町万世地内「万世地下歩道エレベ-タ-」事故原因の調査結果及び安全装置の改善について-国土交通省東北地方整備局
  11. ^ 社団法人 日本エレベータ協会|昇降機百科|エレベーターの歴史・変遷


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