アイデンティティーとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 人文 > 概念 > アイデンティティー > アイデンティティーの意味・解説 

アイデンティティ

別表記:アイデンティティー
英語:identity

「アイデンティティ」とは、「自分自分であると自覚すること」「連続性のある自己認識を持つこと」「自分価値他者認められること」などを意味する表現である。わかりやすく言えば自分何者であるのかを認識して他者区別できる状態である。

アイデンティティは、日本語では「同一性」と訳されることが多い。たいていの場合は「セルフ・アイデンティティ(自己同一性)」を指す意味で「アイデンティティ」の語が用いられている。

「セルフ・アイデンティティ(自己同一性)」は、心理学社会学分野において「一貫した自己自我意識」を指す語である。自己同一性は「自分何者であるのか」という問い象徴される。そして、状況時期などによって変わることのない「自分自分である」という自己認識として確立される帰属意識などもアイデンティティの確立に密接に関わる

アイデンティティ(identity)は英語に直接由来する語であり、本来は「同一であること」「本人であること」といった意味を基本とする言葉である。「身元」「素性」という意味合いもある。

ちなみにidentity動詞形である identify は「同一である(他ではない)と確認する」「本人であることと確認する」といった意味で用いられる

コンピューティングの分野では「対象一意識別できる」ように付与されるデータを「識別子」というが、この識別子英語ではidentifierという。

アイデンティティ

別表記:アイデンティティー
英語:identity

「アイデンティティ」とは・「アイデンティティ」の意味

「アイデンティティ」とは・「アイデンティティ」の意味は、「自己同一性」「主体性」「個人根幹」または、「本人証明身分証明」である。

心理学および哲学においては、自我同一性自我不変性自我連続性と定義付けられているアイデンティティだが、その定義は抽象的であるため大枠捉えられることが多い言葉だ。そのため、一般的に用いられるシーン多岐にわたる。アイデンティティは「個人自分自身」という意味合い用いられるケースが最も多い。加えて自己の持つ立場合わせて使用されている。例えば、妻としての自分医師としての自分教師生徒としての自分どのように使われている。

さらには自己が持つ権利主張や、自己築き上げてきた誇り表現するという意味まで含んでいる。具体的には、「研鑽積んできた人間である。」「人権持った個人である。」などだ。このようにアイデンティティとは、第3者に対して自分自身とはどのような人物であるかを説明する意味まで持つ言葉だ。しかし、本来アイデンティティは自分自身に対して示す言葉であり、個人相手主張する言葉ではない。そのため、一般的に用いられている用途厳密にいえば正し使い方ではない。

基本的にアイデンティティは個性オリジナリティ)という意味を持っている言葉ではない。個性とは、他の何者に対して自分自身表現する言葉であるため、比較対象があってこそ個性という言葉成り立つ。しかし、アイデンティティは何かと比較するという意味合い一切なく、あくまで自分に対して使用する、いわば自己完結している言葉なのだ。

同一性という意味があるアイデンティティは、人生において不変的なもの、つまり外部事象によって変化するものではない。例えば、人生において積み重ねてきた努力学歴、または資格職種などはアイデンティティとは異なる。さらには結婚出産様々な経験から学んだこと、または苦悩喜びの中から変化していった自分人格などはアイデンティティには該当しない人間年月によって外見人格肩書などが変化していくが、これら個人における可変的な事象はすべてアイデンティティとは言えないのだ。

このように、アイデンティティとは厳密に言うと非常に意味合い限定的な言葉である。しかし、一般的には個人積み重ねてきた可変的な事象個性なども含んだ幅広い意味で用いられることがほとんどであるため、多義的用いることは間違いであるというわけではない。

アイデンティティとは、20世紀において用いられるようになった比較新し言葉である。その由来20世紀活躍した発達心理学者であるエリク・エリクソン氏であり、アメリカにおいては最も有名な精神分析家としても著名な人物だ。エリク・エリクソン氏は、成長過程において様々な種類差別直面し苦悩してきたことが後の思想形成精神分析学繋がってきていると言われている。また、エリク・エリクソン氏が初めてアイデンティティという言葉用いたときは、多義的動的な幅広い概念として捉えられていた。

アイデンティティは、ラテン語で「同じ」という意味を持つ「イデム(idem)」が語源となり誕生した言葉だ。語源からも分かるように、人間根幹を成す魂は生まれたときから命が尽きるまで同一であり変わることがないそれこそがアイデンティティの本質である。一般的にアイデンティティは、第二次反抗期と言われる10代半ば時期確立する考えられている。自分自身何者であるか、現在置かれている立場において自分どのように周囲から認識されているのかを考え始めるのがこの時期だ。

自我意識芽生えることにより、社会学校、親や家族価値観自分価値観の相違苦悩するため反抗期として表面化する子供の殻を脱ぎ捨て新たな大人自分成長するとき、いわばアイデンティティが確立する第二次反抗期人生において大きな過渡期でもあるのだ。

アイデンティティと似た言葉に「アイデンティティ・クライシス」がある。アイデンティティ・クライシスとは、「アイデンティティの危機」という意味で、自己同一性保てなくなる、または認識できなくなる混乱した心理状態を表す。アイデンティティクライシスは、第二次反抗期から青年期にかけて陥りやすく、「自分将来どのような人間になるのか」「自分にはどのような仕事ができるのだろうか」「本当に自分目指しているものは何なのだろうか」というように将来自分自身迷い生じることが発端となる。肉体的に大人ありながら現実的に大人同じよう活動できていない自分自身に対して空虚感や不安が積み重なりアイデンティティ・クライシスへと繋がっていくのだ。

そのほか類義語には、「パーソナリティ」「インディビジュアリティー」「パーソナルアイデンティティ」などがある。これらの言葉はすべて個性という意味を持っているため、厳密に言えばアイデンティティとは異な言葉だ。多様性重要視されると共に、アイデンティティは「自分軸」という意味合い用いられることも増えてきた。自分軸とは、自分価値観周囲影響受けて左右されることがなく、自分の内なる気持ち正直に物事捉えそして考えることを言う。

それは決してわがままという意味ではなく自分根幹を成す魂に対して忠実に生きるという意味だ。様々な人とかかわりながら社会の中で自己形成していく中で、自分軸を確立して生きること決し容易ではないが、人生においてとても有意義なことでもあるのだ。

「アイデンティティ」の使い方・例文

「アイデンティティ」の使い方例文は、一般的に自分自身個性」「自分軸」という意味合い用いられることが多い。例えば、「アイデンティティを確立するのが難し時代である。」「自分のアイデンティティを生かして有意義な仕事がしたい。」「アイデンティティを確立したために、私の人生は大変豊かで実り多きものであった。」「周囲価値観揺さぶられることなく自分のアイデンティティを大切にして生きてゆきたい。」「アイデンティティは自分自身作り上げるものだ。」などである。

その他には、「一本映画見たらアイデンティティを揺さぶられた。」「相手によって態度が変わる同僚は、まさにアイデンティティが崩壊していると言えるだろう。」「私はボランティア社会貢献するようになり自分のアイデンティティを見出せようになった。」「歴史文化人種紐解きその国のアイデンティティを分析する。」「企業としてのアイデンティティを確立したことで大きな販促効果があり、一躍大きな成長遂げることができた。」などもある。

また、アイデンティティとは苦悩表現する場合にも用いられることが多く、「青年期はアイデンティティが確立されずに周囲意見翻弄され苦難の日々続いていた。」「自信持って子育てしてきたけれども、次第に子どもとの意思疎通が困難となり自分のアイデンティティが分からなくなってしまった。」「彼女がアイデンティティクライシスした理由は、度重なる病気苦しめられ未来が見いだせなくなったためである。」「自分のアイデンティティが分からずどのような仕事付いた良いのか分からない。」などである。


アイデンティティー【identity】

読み方:あいでんてぃてぃー

自己環境時間変化かかわらず連続する同一のものであること。主体性自己同一性。「—の喪失

本人まちがいないこと。また、身分証明


アイデンティティー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/15 00:45 UTC 版)

アイデンティティー、又は、アイデンティティ




「アイデンティティー」の続きの解説一覧

アイデンティティー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/23 08:56 UTC 版)

ホイテ」の記事における「アイデンティティー」の解説

放送のほとんどで、タイトル音楽前にh-e-u-t-eモールス信号風の音が鳴る。1998年にこの演出タイトル音楽統合されドットダッシュはもはや区別できない2009年7月17日新たにバーチャルスタジオ使用開始し再設計されたグラフィックスや、タイトル演出スタジオ統合について特集した

※この「アイデンティティー」の解説は、「ホイテ」の解説の一部です。
「アイデンティティー」を含む「ホイテ」の記事については、「ホイテ」の概要を参照ください。


アイデンティティー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/24 00:32 UTC 版)

氷と炎の歌のテーマ」の記事における「アイデンティティー」の解説

自分が誰なのか、そして何をもって自分自分なのかと言う疑問は、シリーズ顕著なテーマであり、シリーズが進むにつれてその傾向はさらに強くなる視点人物たちは、名前を変え、章のタイトル中においてさえその名前は変えられてしまう。アリア・スタークが最も良い例であり、キングズランディングからブレーヴォスに行く間に、アリー、ナイメリア、ナンソルティー、〈運河〉などと名前を変えている。マーティン次のように語る、「アリアはいくつもの異なアイデンティティ経験する、そしてブレーヴォス行き、その地の〈顔のない男たち〉の究極目標誰でもない者になることであり、服を着替えるようにアイデンティティ着替えることである」。 名前を変えるのはアリアだけではない。その姉のサンサ・スタークはアレイン・ストーンのアイデンティティーを身につけるティリオン・ラニスターヨロ、そしてヒューガー・ヒルの名前で旅をする。キャトリン・スタークはレディ・ストーンハート(〈石の心〉)となる。『竜との舞踏』のシオン・グレイジョイの章の名前は、リーク(くさや)、ウィンターフェルプリンス返り忠ウィンターフェル幽霊となるが、最後にシオンに戻る。マーティンは語る、「アイデンティティーはシリーズ全体、特に第五部で扱うテーマだ。何をもって我々は我々なのか?生まれなのか?血なのか?世界における地位なのか?もっと我々の中身に近いものなのか?人の価値だとか、記憶だとか」。

※この「アイデンティティー」の解説は、「氷と炎の歌のテーマ」の解説の一部です。
「アイデンティティー」を含む「氷と炎の歌のテーマ」の記事については、「氷と炎の歌のテーマ」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「アイデンティティー」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

アイデンティティー

出典:『Wiktionary』 (2021/08/08 07:44 UTC 版)

表記揺れ

語源

名詞

  1. 同一性独自性
  2. 自己認識身分証明

発音(?)

ア↗イデ↘ンティティー

「アイデンティティー」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



アイデンティティーと同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「アイデンティティー」の関連用語

アイデンティティーのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



アイデンティティーのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
実用日本語表現辞典実用日本語表現辞典
Copyright © 2024実用日本語表現辞典 All Rights Reserved.
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
独立行政法人国立国語研究所独立行政法人国立国語研究所
(c)2024 The National Institute for Japanese Language
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのアイデンティティー (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのホイテ (改訂履歴)、氷と炎の歌のテーマ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Text is available under Creative Commons Attribution-ShareAlike (CC-BY-SA) and/or GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblioに掲載されている「Wiktionary日本語版(日本語カテゴリ)」の記事は、Wiktionaryのアイデンティティー (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、Creative Commons Attribution-ShareAlike (CC-BY-SA)もしくはGNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2024 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2024 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2024 GRAS Group, Inc.RSS