ろくぶんぎ座とは? わかりやすく解説

ろくぶんぎ‐ざ【六分儀座】

読み方:ろくぶんぎざ

南天の小星座獅子座(ししざ)と海蛇座(うみへびざ)との間にあり、4月下旬午後8時ごろ南中する学名 (ラテン)Sextans

六分儀座の画像

ろくぶんぎ座

分類:星座/神話


名称:ろくぶんぎ座(六分儀座)
学名:Sextans
小分類:南半球
構成する主な星雲星団恒星:―
神話主な登場人物:―
日本観測できる時期:2月6月の約5カ月
見ごろ季節:春(20時正中は4月下旬)

昔、天体観測用いたり星の位置を調べて船の位置を知るのに使われた「六分儀」という器具星座見立てたものです。星の並びは扇を開いたような形をしており、六分儀似てます。しかし星座小さい上、構成する星が4等星ばかりと暗いので、実際には見つけにくいでしょう17世紀ポーランド天文学者ヘヴェリウス作りました

1.見つけ方ポイント
春の南の空に昇る星座です。うみへび座前半分のあたり、アルファ星コル・ヒドレからちょっと東へ目を向けてみると、4等星と5等星が作るのような形をした星の集まりが見つかります。それがろくぶんぎ座ですが、なにぶん暗いため見つけにくいでしょう

2.神話内容について
ろくぶんぎ(六分儀)というのは、昔、星の高さや星と星との間の角度測るのに使われ器具のことです。天文観測に使う他に、船乗りたちが航海中に星の位置を調べて自分たちの船の位置調べるのに使いました。ですから、神話とは関係ありません。この星座は、17世紀ポーランド天文学者ヨハンネス・ヘヴェリウスが、1690年作ったものです。「ろくぶんぎ」の名は、彼が愛用していて火事失った六分儀記念したものだといわれます

3.同じ時期見え星座について
春の南の空に昇る星座で、春の星座たちと一緒に見ることができます。まず北にはしし座、西にはかに座ふたご座こいぬ座を見ることができます。また南にはうみへび座ポンプ座らしんばん座などがあり、東にはおとめ座の他、からす座コップ座を見ることができます

4.主要都市での観測について
春の南の空に昇る星座で、日本全国星座全体地平線の上に姿を現します。しかし暗い星が多いので形を探すのは難しいかもしれません。

参考文献:「星座クラブ沼澤茂美著(誠文堂新光社)、「星のポケットブック」(誠文堂新光社)、「星座天体観測図鑑藤井旭著(成美堂出版)、「星座夜空四季小学館学習百科図鑑、「星座博物館・春」、「同・夏」、「同・秋」、「同・冬」、「同・星座旅行瀬川昌男著(ぎょうせい)、「星空ガイド沼澤茂美、脇屋奈々代著(ナツメ社)


ろくぶんぎ座

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/27 07:52 UTC 版)

ろくぶんぎ座
Sextans
属格 Sextantis, Sextansis
略符 Sex
発音 英語発音: [ˈsɛkstənz]、属格:/sɛksˈtæntɨs/
象徴 六分儀
概略位置:赤経  09h 41m 04.87s -  10h 51m 13.90s[1]
概略位置:赤緯 +6.43° - −11.66°[1]
広さ 313.515平方度[2]47位
主要恒星数 3
バイエル符号/
フラムスティード番号
を持つ恒星数
28
系外惑星が確認されている恒星数 2
3.0等より明るい恒星数 0
10パーセク以内にある恒星数 1
最輝星 α Sex(4.49
メシエ天体 0
流星群 ろくぶんぎ座昼間流星群[3]
隣接する星座 しし座
うみへび座
コップ座
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ろくぶんぎ座(ろくぶんぎざ、六分儀座、Sextans)は現代の88星座の1つ。17世紀末に考案された新しい星座で、六分儀がモチーフとされている[1][4]しし座の南、天の赤道上に位置している。明るい星のない、目立たない星座である。

主な天体

恒星

2022年4月現在、国際天文学連合 (IAU) によって1個の恒星に固有名が認証されている[5]

そのほか以下の恒星が知られる。

  • α星:見かけの明るさ4.49等のA型巨星で4等星[8]。ろくぶんぎ座で最も明るく見える恒星。

星団・星雲・銀河

  • NGC 3115天の川銀河から約3160万 光年の距離にあるレンズ状銀河。紡錘状の形から「スピンドル銀河」の別名で知られる。パトリック・ムーア英語版がアマチュア天文家の観測対象に相応しい星団・星雲・銀河を選んだコールドウェルカタログで、53番に選ばれている[9]
  • ろくぶんぎ座A:天の川銀河から約430万 光年[10]局所銀河群の外縁部に位置する矮小不規則銀河[11]
  • ろくぶんぎ座B:天の川銀河から約450万 光年[12]、局所銀河群の外縁部に位置する矮小不規則銀河[13]

由来と歴史

17世紀末にポーランド生まれの天文学者ヨハネス・ヘヴェリウスによって考案された[4]。ヘヴェリウスの死後の1690年に妻によって出版された著書『Prodromus Astronomiae』に収められたと星表『Catalogus Stellarum』と星図『Firmamentum Sobiescianum』に Sextant Uraniæ という名称で記載されたのが初出である[4]。「最後の肉眼観測者」[14]と称されることもあるように、ヘヴェリウスは六分儀を用いた肉眼観測で天体の正確な位置観測を行っていた。しかし、1679年9月26日に起きた火災により、ヘヴェリウスは愛用の六分儀を含む観測機器や書籍の多くを失ってしまった。Sextant Uraniae は、この火災で失われた六分儀を偲んで考案されたものであり[4]、文芸を司る女神ムーサの1柱で天文を司るウーラニアーの六分儀とされた[15]。ヘヴェリウスは、しし座うみへび座の間の12個の星を Sextans Uraniæ に充てたことについて『Prodromus Astronomiae』の中で「しし座とうみへび座は共に火の星座であり、六分儀も炎で苦しめられたため」としている[16]

その後、イギリスの初代王室天文官ジョン・フラムスティードが編纂し、死後の1725年に出版された星表『大英恒星目録 (Catalogus Britannicus)』や1729年に出版された星図『天球図譜 (Atlas Coelestis)』では「Uraniæ」の部分が除かれて、Sextans と短縮された[4][17]。この短縮された Sextans という星座名は、イギリスの天文学者フランシス・ベイリーが編纂し彼の死後1845年に刊行された『The Catalogue of Stars of the British Association for the Advancement of Science』でも採用された[4]。その一方で、1801年に出版されたドイツの天文学者ヨハン・ボーデの天文書『ウラノグラフィア』では原型の Sextans Uraniæ が使用されるなど[18]、天文学者によってまちまちであった。

1922年5月にローマで開催されたIAUの設立総会で現行の88星座が定められた際にそのうちの1つとして選定され、星座名は Sextans、略称は Sex と正式に定められた[19]。新しい星座のため星座にまつわる神話や伝承はない。

現在のろくぶんぎ座の星に付されているバイエル符号風のギリシア文字の符号は、アメリカの天文学者ベンジャミン・グールド1879年に刊行した『Uranographia Argentina』で付したものである[4][20]。グールドは明るいものから順に、5つの星にαからεまでの符号を付している[20]

中国

古今図書集成に描かれた星宿。ろくぶんぎ座の星は左下の星官「天相」に置かれた。

ドイツ人宣教師イグナーツ・ケーグラー英語版(戴進賢)らが編纂し、清朝乾隆帝治世の1752年に完成・奏進された星表『欽定儀象考成』では、ε星と17番星の2星が、二十八宿の南方朱雀七宿の第四宿「星宿」にある星官「天相」に配されていた[21]

呼称と方言

日本では、明治末期には「六分儀」という訳語が充てられていたことが、1910年(明治43年)2月刊行の日本天文学会の会報『天文月報』第2巻11号に掲載された「星座名」という記事でうかがい知ることができる[22]。この訳名は、1925年(大正14年)に初版が刊行された『理科年表』にも「六分儀(ろくぶんぎ)」として引き継がれた[23]。戦後の1952年(昭和27年)7月に日本天文学会が「星座名はひらがなまたはカタカナで表記する」[24]とした際に、Sextans の日本語の学名は「ろくぶんぎ」と定められ[25]、これ以降は「ろくぶんぎ」という学名が継続して用いられている。

これに対して、天文同好会[注 1]山本一清らは異なる訳語を充てていた。天文同好会の編集により1928年(昭和3年)4月に刊行された『天文年鑑』第1号では星座名 Columba に対して「六分儀」の訳語を充てていた[26]が、1931年(昭和6年)3月に刊行した『天文年鑑』第4号からは、星座名を Sextans Uraniae、訳名を「天の六分儀」と紹介し[27]、以降の号でもこの星座名と訳名を継続して用いていた[28]

現代の中国では六分儀座[29]: 六分仪座)と呼ばれている。

脚注

注釈

  1. ^ 現在の東亜天文学会

出典

  1. ^ a b c The Constellations”. 国際天文学連合. 2023年1月29日閲覧。
  2. ^ 星座名・星座略符一覧(面積順)”. 国立天文台(NAOJ). 2023年1月1日閲覧。
  3. ^ 流星群の和名一覧(極大の日付順)”. 国立天文台(NAOJ) (2022年12月31日). 2023年3月31日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g Ridpath, Ian. “Sextans”. Star Tales. 2023年1月29日閲覧。
  5. ^ Mamajek, Eric E. (2022年4月4日). “IAU Catalog of Star Names (IAU-CSN)”. 国際天文学連合. 2023年1月29日閲覧。
  6. ^ "HD 86081". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2023年1月29日閲覧
  7. ^ Approved names”. Name Exoworlds. 国際天文学連合 (2019年12月17日). 2020年1月5日閲覧。
  8. ^ "alp Sex". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2023年1月29日閲覧
  9. ^ Frommert, Hartmut (2006年8月22日). “The Caldwell Catalog”. SEDS Messier Database. 2023年3月23日閲覧。
  10. ^ "Sex A". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2023年3月23日閲覧
  11. ^ 松村武宏 (2021年8月6日). “輝く星々で満たされた宇宙の宝石箱 “ろくぶんぎ座”の矮小不規則銀河”. sorae.info. 2023年1月29日閲覧。
  12. ^ "Sex B". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2023年3月23日閲覧
  13. ^ 松村武宏 (2021年5月4日). “小さくたって立派な銀河。ろくぶんぎ座の矮小不規則銀河「ろくぶんぎ座B」”. sorae.info. 2023年1月29日閲覧。
  14. ^ ヘベリウス”. 天文学辞典. 日本天文学会 (2021年3月14日). 2023年1月29日閲覧。
  15. ^ 原恵『星座の神話 - 星座史と星名の意味 -』(新装改定版第4刷)恒星社厚生閣、2007年2月28日、89-90頁。ISBN 978-4-7699-0825-8 
  16. ^ Hevelius, Johannes (1690). “Catalogi Fixarum”. Prodromus Astronomiae. Gedani: typis J.-Z. Stollii. pp. 115-116. OCLC 23633465. https://www.e-rara.ch/zut/content/zoom/133607 
  17. ^ Flamsteed, John; Crosthwait, Joseph; Flamsteed, Margaret; Hodgson, James; Sharp, Abraham; Gibson, Thomas; Vertue, George; Catenaro, Juan Bautista et al. (1729). Atlas coelestis. London. p. 76. OCLC 8418211. https://archive.org/details/atlascoelestis00flam/page/n75/mode/2up 
  18. ^ Bode, Johann Elert (1801) (ラテン語). Joannis Elerti Bode Uranographia, sive astrorum descripto viginti tabulis aeneis incisa ex recentissimis et absolutissimis astronomorum observationibus .. Berolini: Apud Autorim. p. 49. OCLC 1191010743. https://www.e-rara.ch/zut/content/zoom/3341785 
  19. ^ Ridpath, Ian. “The IAU list of the 88 constellations and their abbreviations”. Star Tales. 2023年1月29日閲覧。
  20. ^ a b Gould, Benjamin Apthorp (1879). “Uranometria Argentina: Brightness and position of every fixed star, down to the seventh magnitude, within one hundred degrees of the South Pole; with atlas”. Resultados del Observatorio Nacional Argentino 1: 226-227. Bibcode1879RNAO....1....1G. OCLC 11484342. https://articles.adsabs.harvard.edu/pdf/1879RNAO....1D...1G#page=242. 
  21. ^ 大崎正次「中国の星座・星名の同定一覧表」『中国の星座の歴史』雄山閣出版、1987年5月5日、294-341頁。ISBN 4-639-00647-0 
  22. ^ 星座名」『天文月報』第2巻第11号、1910年2月、11頁、ISSN 0374-2466 
  23. ^ 東京天文台 編『理科年表 第1冊丸善、1925年、61-64頁https://dl.ndl.go.jp/pid/977669/1/39 
  24. ^ 『文部省学術用語集天文学編(増訂版)』(第1刷)日本学術振興会、1994年11月15日、316頁。ISBN 4-8181-9404-2 
  25. ^ 星座名」『天文月報』第45巻第10号、1952年10月、158頁、ISSN 0374-2466 
  26. ^ 天文同好会 編『天文年鑑』1号、新光社、1928年4月28日、4頁。doi:10.11501/1138361https://dl.ndl.go.jp/pid/1138361/1/7 
  27. ^ 天文同好会 編『天文年鑑』4号、新光社、1931年3月30日、4-9頁。doi:10.11501/1138410https://dl.ndl.go.jp/pid/1138410/1/12 
  28. ^ 天文同好会 編『天文年鑑』10号、恒星社、1937年3月22日、4-9頁。doi:10.11501/1114748https://dl.ndl.go.jp/pid/1114748/1/12 
  29. ^ 大崎正次「辛亥革命以後の星座」『中国の星座の歴史』雄山閣出版、1987年5月5日、115-118頁。ISBN 4-639-00647-0 

ろくぶんぎ座

出典:『Wiktionary』 (2021/08/16 03:03 UTC 版)

固有名詞

ろくぶんぎ ろくぶんぎざ

  1. 南天星座一つ六分儀にちなみ、1687年ヨハネス・ヘヴェリウスによって設定

関連語

翻訳


「ろくぶんぎ座」の例文・使い方・用例・文例

  • ろくぶんぎ座という星座
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