留萌のニシン漁撈とは? わかりやすく解説

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留萌のニシン漁撈(旧佐賀家漁場)用具

名称: 留萌のニシン漁撈(旧佐賀家漁場用具
ふりがな るもいのにしんぎょろう(きゅうさがけぎょば)ようぐ
種別 生産生業用いられるもの
員数 3,745点
指定年月日 1995.12.26(平成7.12.26)
所有者 留萌市
所有者住所 北海道留萌市
管理団体名:
備考 網および網関係用具、船および船関係用具沖揚げ・加工関係用具ニシン絞め製造関係用具修理関係用具施設経営関係用具
解説文: 留萌市北海道日本海岸の中程位置し面積二九二・七平方キロほどの市域有する主幹産業水産加工業で、往時にはニシン漁で栄え、現在でもニシン数の子生産全国半分以上占めている。
 北海道におけるニシン漁は早くアイヌの人々によって行われていた。北海道日本海岸のアイヌの人々は、ニシンをも「カムイ・チェップ(神の)」とよんでおり、同等に扱っている。和人によるニシン漁が産業の形を取るのは江戸時代入ってからである。慶長年間に入ると松前地方ニシン漁撈記録見られるようになり、寛文年間記録では西蝦夷地方からの水産物としてニシン数の子の名前が見え十七世紀中期にはニシン加工品商品となっていることがわかる。
 江戸時代初期ニシン漁は松前藩本領内に限られた十八世紀半ばには場所請負制度も確立して和人商人による大規模な漁場経営浸透する同時に西回り航路によって蝦夷地物産全国的な流通経済中に組み込まれた。こうしたなかで、十八世紀後半になると松前地方へのニシン回遊少なくなり、また、度重なる大飢饉影響により大量東北難民蝦夷地流入したこうしたこともあって、西蝦夷地におけるニシン漁場北上一途を辿ることとなった。そしてこれは、特に十九世紀になるとニシン利用広範な展開とともにさらに加速することとなって西蝦夷地日本海沿岸地方一帯ニシン漁場が拓かれていく。留萌におけるニシン漁もこうした背景のなかで開始された。
 留萌アイヌ名であるルルモッペに、場所請負人本格的に所を開設したのは、寛延三年一七五〇)の初代村山伝兵衛に始まる。村山伝兵衛没落後は、天明七年一七八七)には六代栖原角兵衛がこれに代わり以後代々栖原家の請負場所となった。しかし、この当時産物ニシンよりが主であったらしい。ルルモッペ場所でニシン漁が主役になるのは、天保十一年(一八四〇)にハママシケ(浜益)以北ニシン出稼ぎ許可されてからのようで、記録に残る留萌へのニシン出稼ぎ最初は、礼受【れうけ】に弘化元年一八四四)に入った佐賀平之丞である。平之丞は松前人別がないため、松前田中藤左衛門名義借りてカクダイ(因)を名乗り以後佐賀漁場として現在に至っている。
 ニシン漁は古く刺網によっていた。その後十九世紀前半には巻網一種である笊網【ざるあみ】という大網普及する。しかし、これは漁獲の際に騒音立てることから、音に敏感なニシン来遊妨げるという欠点をもっていた。嘉永三年一八五〇)歌棄【うたすつ】で佐藤右衛門が行成網【ゆきなりあみ】を始めると、その効率のよさから西蝦夷地では急速にこの行成網が普及した行成網は建網一種で、笊網の欠点を補うものであった。この時期には漁獲したニシンそのまま海中一時保存しておくための網や袋網・詰袋も発明され漁法の一層の進展をみた。次いで明治十年代になると行成網が改良され角網へと代わる角網ニシン捕獲するミアミ部分垣網に対して角に付け変えたもので、漁獲したニシン逃げにくく、また漁獲時に船が波に直角に向き安全に操業できるようにしたもので、その後はこの角網急速に普及するこうした網の材質は、はじめは麻製であったが、明治三十年頃から綿糸使用され始め大正初期にはそのほとんどが綿糸となった
 留萌地方ニシン角網一カ統に必要とされる平均的な人数は、船頭含めた漁夫三〇人、炊事二人帳場・陸廻りほか三人の計三五人と、そのほか臨時人夫二〇程度とされ、これで漁獲から身欠きニシン製造ニシン絞め製造まで行ったという。佐賀家の昭和十六年の記録では、大船一人、起船頭一人沖船頭一人一人、磯船乗三人、舳係一人胴の間一七人、岡廻兼監備一人飯炊二人帳場三人の計三一であった
 昭和慢性的な不漁のなか、北海道におけるニシン漁は、昭和二十四年からは一時期持ち直したが、昭和三十年の留萌での三一七石北海道全道での三六三一四石の漁獲最後に北海道沿岸ニシン漁は終焉迎えた留萌はしかしその後昭和三十一・三十二年に若干漁獲をみている。佐賀家でも三十二年にニシン漁を行っており、それを基に翌三十三年用のニシン魚群来遊備えて整えていた漁撈用具一式が本資料であり、当時用具類そのまま残った貴重な資料である。



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