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フォールト-トレランス 5 6 [fault tolerance]

システム構成において信頼性安全性向上させるために、起こりうる可能性のある過失をあらかじめ想定してシステムのなかに組み込んでおくこと。


OR事典

日本オペレーションズ・リサーチ学会日本オペレーションズ・リサーチ学会

フォールトトレランス

読み方:ふぉーるととれらんす
【英】:fault tolerance

概要

システム一部故障発生しても, 全体としてはそれに耐える様な特性のこと, あるいは, その様な特性実現するための設計運用アプローチのことをいう. フォールトトレランスの特性は, 故障が起こることは不可避であるという立場にたち, 冗長構成, 誤り検出, 誤りマスク, 再構成, 一貫性回復などの技術をあらかじめシステム導入することで実現される. フォールトトレランスと対峙する概念フォールトアボイダンスがある.

詳説

信頼システム実現するための伝統的手法のひとつは, システム構成する個々要素信頼性向上させることであり, これはフォールトアボイダンス (fault avoidance) とよばれる. 一方, いかに構成要素信頼性が高くとも, 故障本質的避けられないものであるという前提に立ち, それらの要素またはシステムに, 故障耐え得るような特性持たせようとする手法研究されてきた. この高信頼手法フォールトトレランス (fault tolerance) である. 本項では, フォールトトレランスの概念その実手法について述べる.

故障発生しても, システム機能に全く支障きたさないことが, 理想的なフォールトトレランスの特性であるが, 機能低下システムのある範囲だけに留める{フェイルソフト} (fail soft) や, 安全な状態で機能停止するフェイルセーフ (fail safe) などの特性まで含めてフォールトトレランスという. この様な広い意味でのフォールトトレランスは, コンピュータシステム普及とともに重要視されるようになり, 現在, フォールトトレランスは, 主としてコンピュータシステムの耐故障技術として認識されている.

ラプリエ (J. C. Laprie) は, フォールトアボイダンスとフォールトトトレランスを包括するディペンダビリティ (dependability) という統一的概念提案した [1, 2, 3]. それは, 「コンピュータシステムディペンダビリティとは, 実行された仕事 (service) がどの程度正しく行われているかを明らかにするための品質 (quality) を示すものである」として定義された. 図1 に, ラプリエの提案した概念と用語の枠組を示す.


図1:ディペンダビリティの概念と用語の枠組
図1:ディペンダビリティ概念と用語の枠組



ディペンダビリティ阻害する要因として, フォールト (fault) , 誤り(errors), 障害 (failures) の3つが示されている. フォールト (または故障) とは, システム機能損失不具合などの原因をいい, 従来故障概念に, ソフトウェアバグオペレータ操作ミスまで含めた広い意味の用語として定義される. そして, フォールト表面化してシステム内部不具合が生じることを誤りという. また, その誤りが, システム外部ユーザ等に認識されたとき障害となるのである [1]. 階層的なシステムでは, これらの用語の関係は再帰的であることに注意したい. 例えば, あるサブシステム発生した誤りは, そのサブシステム外部との接点において障害として認識されるが, 同時にその障害は, サブシステムを含むシステム全体にとっての誤りもたらすフォールトでもある. なお, これらの用語の定義は, フォールトトレランスの研究分野では広く認知されているが, 日本工業規格 JIS X 0014 (信頼性, 保守性及び可用性) 等の定義とは異なることを付け加えておく.

さて, フォールトトレランス技術とは, 誤り障害として認識されるまえに, それを検出してマスク (または隠蔽) する技術 (masking), あるいは, マスクできない場合でもその影響できるだけ狭い範囲限定し, 速やかに常状態へ回復させる技術であるといえる. この様な特性は, 基本的に何らかの冗長性 (redundancy) を導入することで得られる. 冗長化対象となる計算機資源は, ハードウェア, ソフトウェア, 時間の 3 つに分類できる [2]. ハードウェアソフトウェア冗長化多くは, 同一構成要素複数個用いることで実現され, 時間についての冗長化は, ひとつの要素を使って同じ処理を繰り返すことで実現される.

誤り検出するためには, 例えば, 対象となるハードウェア二重化冗長構成して結果照合したり, 誤り検出のための冗長符号を用いたりする. そして, その誤りマスクするために, TMR (triple modular redundancy) や N\, バージョンプログラミングなどの多数決冗長方式が用いられる. これらの冗長性は, 静的冗長 (static redundancy) と呼ばれる.

誤りマスク失敗して障害発生すれば, システム回復技術 (recovery techniques) が適用される. まず, 例え待機冗長方式によって, 障害認められたハードウェア交換するなどの再構成が実行され, 続いてシステム論理的一貫性回復するために, ロールバック等のソフトウェア冗長が用いられる. これら障害回復のための冗長性は, 動的冗長 (dynamic redundancy) とよばれる.



参考文献

[1] J. C. Laprie, "Dependable Computing and Fault Tolerance: Concepts and Terminology," Digest of Papers FTCS-15, (1985), 2-11.

[2] 当麻喜弘監修, 向殿政男編集, 『コンピュータシステムの高信頼技術入門』, 日本規格協会, 1988.

[3] 向殿政男編集, 『フォールト・トレラント・コンピューティング』, 丸善, 1989.

[4] 南谷崇, 『フォールトトレラントコンピュータ』, オーム社, 1991.







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