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三省堂 大辞林

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ひゃく 2 【百】

(1)数の名。一〇の一〇倍。もも。

(2)多くのもの。たくさんあること。
「―の説法も及ばぬ」
(3)一〇〇歳。
「お前―までわしゃ九十九まで」
(4)百文。〔金銭証書などでは大字の「佰」を用いる〕
» (成句)百に一つ
» (成句)百も承知
» (成句)百も承知二百も合点

百】

「百(ひやく)」の意。「五―((いお))」「八―((やお))」などと用いられ、現代では「お」と発音される。

もも 1百】

(ひやく)転じて、非常に数の多いことを表す。名詞の上に付けても用いられる。
「―に千(ち)に人は言ふとも/万葉 3059」「―日(か)」「―夜」「―千鳥


物語要素事典

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★1.百日待つ。

仮名手本忠臣蔵10段目「天河屋」  お園は夫天河屋義平から離縁され、さらに賊に髪を切られて尼姿にされる。髪がもとどおり伸び、義平とふたたび夫婦になれるまでには、百日待たねばならない→〔髪〕2a

三国遺事巻1「紀異」第1  熊と虎が、「人間になりたい」と神に願う。神が「(よもぎ)とにんにく)を食べ、百日間日光を見なければ人間になる」と告げる。熊は言われたとおり物忌みして二十一日人間女になるが、虎は物忌みができず、人間になれなかった。

長谷草子御伽草子)  中納言長谷雄は鬼と双六をして勝ち、美女を得る。「百日過ぎてからうちとけ給え」と鬼は告げるが長谷雄は待ちきれず、八十日あまりたった時女を抱く。たちまち女はになって流れ失せた〔*百日待てば→〔絵〕1cの『太平広記』のごとく、女は生身人間となるはずだった〕。

百夜通い→〔九十九〕1a・1b・1c。

★2.百年待つ。

眠れる森の美女ペロー)  王女紡錘で手を刺し百年間眠る。百年たって王子訪れ、ちょうど魔法のとける時が来ていたので、王女目覚め王子を見つめて「あなたでしたの。ずいぶんお待ちしましたわ」と言う〔*いばら姫グリム)KHM50には、この言葉はない〕。

夢十夜夏目漱石)第1夜  女が「もう死にます。また逢い来ますから、私の墓の傍に坐って百年待っていて下さいと言う。「自分」はの上坐り、日が昇り沈むのを「一つ二つ」と数えて、待ち続ける。長い年月がたって、「だまされたではなかろうか」と思い始めた時、墓石の下から青い伸び白百合花が咲く。「自分」は花弁接吻し、百年たったことに気づく

★3a.百物語何人かが集まって怪談語り合う最後の百話目に到れば怪異が起こるという。

諸艶大鑑井原西鶴)巻2-5百物語に恨が出る」  夜、女郎たちが百物語をして、人喰い婆や産女など百以上の怪談語り合うが、何事も起こらなかった。しかし話題が、騙し捨てた男たちのことになった時、彼らの霊が現れて、女郎たちに恨み言を述べた。一人女郎が「皆さん揚屋勘定残りはどうしてくれます」と言うと、霊は消え失せた。

百物語森鴎外)  豪商飾磨屋が百物語の会を催し二十人以上の客が集まる。「僕」も誘われて出かけ、三十歳ほどの飾磨屋を見て、彼も「僕」同様に人生傍観者であることを知る。雇われ噺家怪談が始まる前に「僕」は帰ったが、飾磨屋も怪談途中芸者連れて二階上がり、寝てしまった〔*飾磨屋も「僕」も怪談最後まで聞かず、結果的怪異避けたことになる〕。

武道伝来記井原西鶴)巻5-4火燵もありく四足の庭」  大雪の積もった冬の夜武士たちが百物語をする。話が進むにつれ、次第に皆緊張顔色も変わる。最後の百話目になった時、縁側不気味な音がするので恐る恐る見ると、炬燵が庭を走って行った→〔見間違い〕2。

*→『百物語』(杉浦日向子)。

★3b.中・近世西欧百物語。百は完璧数と見なされた。

エプタメロンナヴァール)  温泉地での保養帰途洪水で足止めされるなどした貴族貴婦人男女五人ずつが、十日毎日午後に牧場木陰に集まって、一人一日一話、本当にあった話だけを語り合う十日たてば百の物語ができるはずだった〔*ただし、第8日第3話の前置きまでで中断されており、未完である〕。

『サン・ヌーヴェル・ヌーヴェル』  十五世紀ブルゴーニュフィリップ善良殿下廷臣三十数人が、艶笑譚など百編の物語語り合った。それらは筆録され、書物の形になって、殿下献上された。

神曲ダンテ)  ダンテは、古代ローマ詩人ヴェルギリウスに導かれて地獄煉獄訪れ永遠の恋ベアトリーチェに導かれて天国に昇る。『神曲』は、「地獄篇」全三十四歌・「煉獄篇」全三十三歌・「天国篇」全三十三歌、合わせて百の物語から成っている。

デカメロンボッカチオ)  フィレンツェペスト流行し、人々は町を捨て避難する。郊外別荘にこもった七人の若い貴婦人三人青年紳士が、一人一日一話、十日間に渡って合計百話の物語語り合う

★4a.お百度参り祈願成就のために、社寺境内一定距離を百回往復する。

江戸生艶気樺焼えどうまれうわきのかばやき山東京伝)  仇気屋艶二郎色男評判立ていために自分から父親に願って勘当してもらう。そして芸者七~八人雇い、「艶二郎さんの勘当が許されますように」と、浅草観音お百度参りをさせる。芸者たちは、「十度参りくらいでいいのさ」などと話し合う。

夢十夜夏目漱石)第9夜  明維新前後のこと。侍である父が、ある夜、出かけたまま帰らない。若い母が三歳の子供を背負い、父の無事を祈って弓矢の神の八幡宮毎夜通いお百度を踏む。しかし、その時すでに、父は浪士によって殺されていた。こんな悲しい話を、夢の中で母から聞いた。  

★4b.百日参り

古本説話集下-66  比叡山貧僧鞍馬寺百日参り、「清水へ行け」との夢告を得る。清水寺百日参ると「賀茂に行け」との夢告がある。僧は賀茂神社百日参り、ようやく「御幣紙・打撒の米を取らせよう」との夢告を得る〔*宇治拾遺物語6-6に類話〕→〔箱〕3。

諸艶大鑑井原西鶴)巻7-4反故尋て思ひの中宿」  遊女井筒自分捨てて身を隠した男を恨み谷中七面(ななおもて)明神百日参りをして、百本の針で毎日指の血をしぼり、道の芝草を赤く染めて祈る。井筒と男はいったん縒りを戻すが、男はまた逃げ出し、やがて井筒生霊取り殺される。

伏せ長者伝説  貧しい男が「金持ちになりたい」と願い、七キロ離れ湯山横谷毘沙門天百日参りをする。帰りには境内小竹一本ずつ持ち帰り、庭に植えて満願の日を待つ。九十九日目の夜、毘沙門天が「願いを叶えよう。ただし小竹はすべて返せ」と夢告するので、男は小竹返し詫びる。その後まもなく男は大金持ちになる(愛媛県松山市)→〔長者2a

百日詣でをして子を授かる→〔申し子〕1の『太平記』巻3「主上御夢の事」。

★5.百人の子供。

封神演義10回  易の卦によれば、西伯姫昌(周の文王)には百人の子があるはずのところ、百人目がなかなか生まれない。西伯が殷都朝歌赴く途次将星出現を告げる雷雨があり、古墓の傍ら泣く赤子が見つかる。「これこそ将星である」と西伯は考え赤子を第百子として認知する。

*→〔出産〕6の『マハーバーラタ』第1巻「序章の巻」。

*→〔一夫多妻〕の『王様と私』(ラング)のシャム王には、百人上の子供があった。

★6.百枚原稿用紙

十六歳日記川端康成五月五日  十六歳の「私」は、七十五歳の祖父看病しつつ、原稿紙を百枚用意して日記を書く。日記百枚になるまでに祖父死にはしないかと不安を覚え、また、日記百枚になれば祖父は助かる、という気持ちもする〔*三十ほど書いたところで祖父病状悪化し、五月二十四日祖父は死ぬ〕。

百日日照り百人舞い→〔雨乞い〕2の『義経記』巻6 「静若宮八幡宮参詣の事」。

*百の谷があると、龍や大蛇が住む→〔九十九〕4の九十九谷の伝説

百本の刀を一晩作る→〔時間3a妖怪刀鍛冶伝説

*百の目を持つ怪物アルゴス→〔眠り5aの『変身物語』(オヴィディウス)巻1。






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