日田祗園の曳山行事

国指定文化財等データベース

日田祗園の曳山行事

名称：	日田祗園の曳山行事
ふりがな：	ひたぎおんのひきやまぎょうじ
種別1：	風俗習慣
保護団体名：	日田祗園山鉾振興会
指定年月日：	1996.12.20(平成8.12.20)
都道府県(列記)：	大分県
市区町村(列記)：	日田市隈地区・竹田地区・豆田地区
代表都道府県：	大分県
備考：	７月２０日過ぎの土・日曜日
解説文：	大分県西部の日田市の祇園祭りには、毎年つくり替えられるヤマ(山鉾)と呼ぶ作り物が曳き廻される。現在は、隈地区の隈町（一丁目・二丁目）・大和町、竹田地区の川原町・若宮町、豆田地区の御幸【みゆき】通り・上町・港町・中城町の八基と、隈地区の青壮年有志によって平成二年に製作された全高一〇メートルの平成山鉾一基の計九基がでる。 　祇園祭りを行う神社は、隈地区の隈八坂神社、豆田地区の豆田八坂神社、竹田地区の若宮神社であり、日田祇園はこの三社の祇園祭りの総称である。若宮神社は若八幡とも呼ばれ、祇園社を合祀している。日田祇園は新暦七月二十日過ぎの土・日曜日に開催される。 　祭りの準備は「小屋入り」と呼ばれる山鉾の建造から始まり、日田祇園の二日前の木曜日には、各町内ごとに山鉾が巡行してお披露目を行う流れ曳きが行われる。また、隈地区では一週間前の日曜日に「神輿洗【みこしあら】い」を行う。 　祭礼日の昼間の山鉾巡行を「本曳き」という。隈・竹田地区では、祭りの初日、それぞれの山鉾が「町内押し」といって、各町内を巡行した後、隈地区の山鉾は隈八坂神社、竹田地区の山鉾は若宮神社前に納める。続いて、御神幸行列に従って山鉾が巡行する。隈地区と竹田地区の山鉾は、隈八坂神社と若宮神社双方の御神幸行列に加わって巡行するが、隈八坂神社の御神幸が一日目とすると二日目は若宮神社の御神幸となり、一年ごとに御神幸日を交代する。御神幸が終わると、各山鉾ごとに地元町内などを巡行する。 　夜には「晩山【ばんやま】」を行う。山鉾の背部に垂らした「見送り」をはずし提灯を下げる。この提灯をつけた山鉾を提灯山鉾【ちようちんやま】という。一日目は隈地区の平成山鉾が札の辻まで巡行する。二日目は隈地区と竹田地区の山鉾四基が札の辻に次々に走り込み、山鉾の前部を揚げて気勢を上げる。 　日田祇園の山鉾は、多層人形山車の一種で曳山である。人形は歌舞伎の名場面を題材とし、地元の人形師が製作する。一部の屋形等を除いて、人形と飾りは毎年新調する。山鉾の台車には囃子方が乗る囃子台があり、その上部に人形と屋形を設置する舞台が置かれている。山鉾の背後には見送りと呼ばれる懸幕を垂らし、台車の高欄【こうらん】の下部に緋羅紗【ひらしや】のミッチキ（水引）を引き回す。見送りは緋羅紗地に金糸などで鷲・虎・麒麟【きりん】・鳳凰【ほうおう】・唐獅子などの刺繍を施した華麗な懸装品で、幕末から明治期に製作されたものである。 　江戸期から明治初期にかけて、山鉾はしだいに巨大化し、明治十七年には高さ一〇・五メートルの山鉾が登場した。明治三十四年に日田水力電気会社が電柱を立てて架線したので、一時山鉾巡行ができなくなったが、大正十三年に山鉾の高さを五メートルから六メートルにして巡行を再開するようになった。平成二年、平成山鉾の新造にともなって、隈・竹田両地区の電線の高架工事が実施され、両地区の既存の四基の山鉾も全高八メートルまで大型化した。 　日田祇園は、北部九州に拡がる博多うつしと呼ばれる博多祇園（舁山【かきやま】・飾り山）の系統をひかず、日田型祇園山鉾とも呼べる独特な山車を建造する。この日田型祇園山鉾は、大分県九重町恵良【えら】、福岡県吉井町・田主丸【たぬしまる】町など日田市の周辺に伝播し、独特な文化圏を形成している。

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