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はだしのゲンの登場人物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2012/04/26 12:55 UTC 版)
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当記事では中沢啓治自身による原爆の被爆体験を元にした漫画、『はだしのゲン』(Barefoot Gen)の登場人物について解説する。なお、映像化などが行われた際のキャストについては、親記事を参照。
注意:以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています。免責事項もお読みください。
目次 |
登場人物について
はだしのゲンは全10巻であるものの登場人物の入れ替えが激しく、1巻から10巻まで全巻に登場している人物は主人公のゲンだけ[1]でそれ以外は皆無である。原爆投下後の広島の惨状について触れるシリアスなストーリー作品であるためにゲンの肉親や身内は途中で死んでいるケースが多く、原爆投下もしくはその原因で死んだ人物は進次・英子・大吉・君江・松吉・夏江・光子であり、栄養失調で死んだのは友子、そして殺害された人物はムスビである[2]。第一部・第二部に登場して最後までその後の所在が確認されていない人物は浩二・昭・隆太・勝子・雨森・朴・伝次郎・竜吉・倉田・政・秀である。作中で昭和天皇の戦争責任論について言及する人物はゲン・大吉・君江・勝子・太田・横道・義眼の男性である。
ゲンの同居するメンバーは1巻では家族だったが、2巻の原爆投下により母親と友子だけとなり、3巻では隆太が加わり途中で別れ、そして昭と浩二と再会したものの友子と死別し、7巻の君江の死まで生き残った兄弟と暮らしてたがそれぞれの目標のために別れ、9巻以降は原爆孤児の隆太と勝子、後に死亡するムスビと夏江と同居する事となる。一方原爆孤児の隆太は4巻でゲンと別れて以降隆太軍団とヤクザ生活を送り、ヤクザの世界から縁を切った後に松吉を養父代わりとしさらに夏江も加わったが両者共々死亡し、最終的にはゲン・隆太・ムスビ・勝子の4人のメンバーで同居する事となる。
登場人物紹介で触れる実在の人物は顔が登場する影響ある人物であり、名前だけ登場の人物(例:『トルーマン』『アイゼンハワー』)や、また顔が出ても作中に影響がない人物(例:『山本富士子』『吉田茂』)ついては本項では触れない。
中岡家
- 中岡 元(なかおか げん)
- この作品の主人公。通称「ゲン」。中岡家の第四子・三男。登場時は国民学校(小学校)2年生。以後は小学校4年生、中学校1年生、中学卒業後の順に章立てが成されていく。お調子者だが、根は真面目な性格。原爆投下の際に女性に呼び止められた事により建物の塀の影に入っていたため、熱戦の直撃を受けず奇跡的に助かった。原爆症の影響で直後に脱毛してしまうが後に再び生え揃った。原爆で父・姉・弟を亡くしながらもたくましく生きていく。特技は絵画と浪曲と読経。また、浪曲を朗々と詠み上げたり、英語の歌や、お経を短期間で習得しており、記憶力にも優れている。ケンカも強く、相手の股間への頭突きや手足への噛み付きが必殺技。劇中のケンカでは同年代相手ではほぼ負け知らずで、「鍛え方が違う」と相手に度々言うほどの修羅場をくぐっている。身なりは常に小学校・中学校時代の制服と帽子を被り、下駄の絵付け職人の息子にもかかわらず「はだしの主人公」なのだが、下駄を履く描写は被爆前に若干と、被爆後、頭髪が生える同時あたりからは、ほぼ下駄姿で定着し(はだしの時もある)、卒業後は高校進学せずに中卒なので制服はなく帽子を脱ぎ髪をのばし、服装もカジュアルに、足元はスニーカーとなる。はだし以上に、ほぼ一貫しての腕まくりが特徴である。
- 尊敬する相手は両親。父母の死後も回想シーンに幾度か登場しており、その言葉により励まされ成長していく。初恋の相手は中尾光子であり、当初は光子が犬猿の仲の重蔵の娘と知って落胆したが、自分が書いた光子の似顔絵を隆太が見せる事で仲介し、それにより2回もデートしたが、光子は原爆症で急死してしまう。
- 思想は戦時中、父親の強い刷込を基に、なおかつ戦争直後における悲惨な体験から、天皇制や軍国主義をその元凶と信じている。戦争を憎んでいるために、戦争を美化したりする者に対しては厳しく、大人に対しても鉄拳制裁を加える事がある。アメリカに対しても原爆投下以外に進駐軍兵士の横暴さや被爆者を食い物にする組織を目撃した影響などから良く思ってない。一方、父親の影響と朴との交流で、当時差別の対象となっていた朝鮮人に対しては蔑視が無い。ただし戦前編の描写で朝鮮人を侮辱した歌を歌って大吉に殴られたり、原爆投下直後にはあまりの原爆被害の悲惨さに兵士に向かって「戦争に勝ってアメリカをやっつけてくれ」と言う描写も見られる。
- 物語の殆どは生きることに精一杯だったが、中学生の頃から画家を目指すようになり、最後は未来を切り開くために東京に旅立つ。なお、幻となった続編の構想では、フランスで絵の修業をすることになっていた[3]。
- モデルとなった人物は作者本人。原爆が投下された時、頬に釘が刺さったというエピソードがあった。
- 中岡 大吉(なかおか だいきち)
- ゲンの父親。下駄の絵付け職人。京都で蒔絵と日本画の修行をして広島に帰り、君江と見合い結婚した。「踏まれても踏まれても真っ直ぐ伸びる麦のように強くなれ」とゲンら兄弟に言い聞かせて育てた。戦時中から「日本は負ける」「朝鮮人を馬鹿にするな」と叫び、戦争に強く反対していた為、特高警察に連行され激しい暴行を受ける。また、町内で開催される竹槍訓練に酩酊状態で参加したり、放屁する等全くやる気が無く、そのことを指導官や町内会長らから指摘されても「こんなもので戦っても銃で攻撃されたら皆殺しにされるだけで無駄なこと」「日本は他の国と仲良くしなければならない」等と言い放ち途中で抜け出した。この一件が原因で指導官や町内会長を激怒させただけでなく、町内の住民ほぼ全員を敵に回してしまう。実写版では、日頃の反戦的な態度に加え、戦意高揚のためのプロパガンダアートを描くことを拒否した過去(映画版)や、左翼系の劇団と関わりがある疑い(テレビ版)などの背景が付与されている。このため、自分はもとよりゲンら家族までが周囲から様々な迫害を受けたが、決して自分の節を曲げる事は無かった。君江も呆れるほどの頑固者であったが、寧ろ何の飾り気の無い素の姿に君江を含め家族全員は支持そして尊敬していた。そんな不憫な家族を思い予科練に行くと決めた浩二に反対したが、最後は浩二に対し生きて帰ることを願いながら万歳三唱で送り出した。原爆投下の際に英子・進次ともども自宅の下敷きになり、家族を見捨てる事をためらうゲンに対し、強く生きることを諭しながら焼死した。物語の早い段階で死亡したが、ゲンの生き方に最も強い影響を与えた人物であり、回想シーンや遺骨や幻影の形で死後も作中に頻繁に登場する。
- モデルとなった人物は作者の父。
- 中岡 君江(なかおか きみえ)
- ゲンの母親。優しく芯の強い女性である。夫の大吉の志を理解しつつも、子供達までもが非国民扱いを受ける事を苦悩し、戦争を恨む。原爆投下の際は、2階のベランダで洗濯物を干していた最中で、屋根の影に入っていたため熱線を浴びず、風圧で吹き飛ばされたが家屋の下敷きにならずに助かった。作品冒頭の時点で既に身重であり、原爆の猛火の中で末娘の友子を産み落とす。未亡人となりゲン達を抱えて艱難辛苦、辛酸を舐めるが、ゲンの大きな心の支えであり、 隆太や隆太の仲間からも慕われる。1948年に吐血し、隆太の活躍で手に入れた金で入院する。そこで、余命4カ月を宣告を受けるが本人には知らされずに退院し、自宅療養する。1949年、大吉との新婚旅行先であった京都への旅行中に吐血、病院へ行くも、ゲンたちに看取られ客死する。火葬後は放射能の影響で遺骨らしい遺骨が残らなかった。死因は原爆症による胃癌であった。母の骨が残らなかったのは作者の実体験を元にした話であるが、実際の中沢の母は60歳まで生きたとされている(1966年死去)。
- モデルとなった人物は作者の母・君代。
- 中岡 浩二(なかおか こうじ)
- 中岡家の第一子・長男。登場時17歳。病理学の研究家を志していた。戦時中は家族が「非国民」として迫害されるのを撥ね返す為、海軍の予科練に自ら志願。軍隊の内部から戦争の悲惨さを実感し、また同胞の花田の自殺を訓練中の事故死として処理され、国の為に息子が死んだ事を喜ぶ花田の両親を見て、父の言っていたことが正しかったこと改めて知る。
- 戦場へ行く事なく終戦を迎え、広島に戻る。6巻の発言で特攻隊にいたようである。戦後は父亡き後の大黒柱として、家計のため鉄工所に就職する。後に高い給金に惹かれ景気の良い博多の炭鉱に出稼ぎに行く。後半は広島市近郊の工場に再就職し、広子という女性と結婚する。アニメ映画版には登場しない。
- モデルとなった人物は作者の長兄・浩平。
- 中岡 英子(なかおか えいこ)
- 中岡家の第二子・長女。国民学校5年生。主人公の美人で清楚な姉といった設定で、元々病弱だったゆえに学校の集団疎開には行けなかった。鮫島竜吉に金を盗んだなどとでっち上げられ、担任も「非国民の子供だから」などと言い分もろくに聞かず事実確認もせず文字通り身ぐるみ剥がされる身体検査をされた(同時に、ゲンも「戦争反対」の作文を書いたことで職員室に連行されている)。当然、このことを聞いた大吉は激怒し、学校に殴り込んで竜吉と担任を鉄拳制裁し(テレビドラマ版では竜吉は殴られていない)、竜吉が嘘を白状したことで英子の無実が晴れた。原爆投下の際に家の下敷きになり、焼死した。なお漫画版と実写映画版・テレビドラマ版では死に際して差異(ゲンが家に帰った時には既に亡くなっていた)があるが、作者の中沢の姉は原爆投下で柱に押し潰され即死状態だった[4]。
- モデルとなった人物は作者の姉・英子。
- 中岡 昭(なかおか あきら)
- 中岡家の第三子・次男。登場時は国民学校3年生。原爆投下時は、学校の集団疎開により広島県山県郡の山間部にいたため、原爆投下の難を逃れた。集団疎開の際にはあまりにひもじい生活のため、一度脱走を図っている。戦後は、中岡家の暮らしを支えるために家庭菜園をはじめとする食糧調達に勤しんでいた。浩二が博多に出稼ぎに行った後は、自分が父親・長兄の替りをつとめなければならない重圧からか、いささかヒステリックな言動が目立つようになる。戦争犯罪者や原爆の開発者に対し憎悪を露わにするゲン・浩二と違い、昭はそういった感情をあらわにする場面は無い。中学2年生のときに繊維問屋の商人を目指すため、大阪に旅立った。浩二と同様アニメ映画版には登場せず、また、テレビドラマ版にも登場しない。
- モデルとなった人物は作者の次兄・昭二。作者の話によれば疎開してた時、枕の中に入っていた大豆を食べ尽くしたことがあった。
- 中岡 進次(なかおか しんじ)
- 中岡家の第五子・四男。未就学児。推定年齢は4~5歳ぐらい。いつもゲンの傍にいて、ゲンの浪曲に合わせて踊るのが得意。食べ盛りでいつもお腹を空かせてはゲンと兄弟喧嘩になる。原爆投下の際に家の下敷きになり、ゲンがガラス屋の堀川から貰った模型の軍艦(ガラス屋のエピソードが割愛されたアニメ版ではゲンの手製となっている)を抱いたまま焼死した。
- テレビドラマ版では大吉に促され、軍艦マーチの替え歌を唄いながら焼死するエピソードになっている。作者の実体験では、家族の遺骨を掘り起こした際、弟の頭蓋骨を持った瞬間が脳裏にこびりついて、焼かれて死んだことを『殺すんだったらもっと楽に殺してくれと思った』と後に語っている。
- モデルとなった人物は作者の弟・進。
- 中岡 友子(なかおか ともこ)
- 中岡家の第六子・次女。1945年8月6日、原爆投下後間もなくして誕生。「友達がたくさんできるように」との願いをこめてゲンが名づけた。しかし栄養失調と原爆症の併発のため1年後(テレビドラマ版では1946年8月)に死去(単行本では1947年8月6日と誤記されているのもある)。実際に中沢の妹として、被爆直後に誕生しているが、実際には4か月後の12月に栄養失調で亡くなっている。
- モデルとなった人物は作者の妹・友子。
隆太軍団
- 基本的に原爆孤児集団であり、隆太が強いリーダーシップを執っている。2巻で初登場時のメンバーで死亡者も出ており、さらに窃盗により警察に捕まった事でみな別れ、ヤクザへの加入時に隆太と共に行動出来たのはムスビとドングリであり、最後まで一貫として隆太と行動したのはムスビである。同じ原爆孤児である大原夏江は隆太・ムスビ・勝子と共同生活するが、隆太とヤクザ生活を送っていないため「ゲンの人生に関わった人々」の項目で扱われている。8巻で隆太の原爆投下後の回想シーンの中に謎の女児が登場しており、さらにムスビの髪型が5巻以降の髪型であるために2・3巻と明らかに矛盾している。
- テレビドラマ版ではゲンが江波に向かう途中、隆太以外が警察に捕まった。
- 近藤隆太(こんどう りゅうた)
- ゲンの弟・進次と瓜二つの戦争孤児。登場時は国民学校1年生。原爆投下前は広島市水主町(かこまち、現:広島市中区加古町)に住んでいた。作中での活躍からゲンの弟と勘違いされがちだが、血もつながっていない全くの他人である。両親と3人暮らし。原爆が投下された時は、蝉が止まっていた木の陰にいたおかげで助かったが、父は木の枝に体を貫かれ即死、母は足を吹き飛ばされ隆太を逃がした後に焼死し、天涯孤独の身になる。その後、同じ境遇のムスビやドングリ達と出会い孤児窃盗グループのリーダー格となる。ある日隆太はゲンと君江の前に現れ米を盗み、進次が生きていると勘違いしたゲンは隆太を追いかけたが、そこで自分は進次でないと主張する。後に農家で食料を盗み警察に捕まりそうだったが、ゲンにより弟そっくりという理由で被害者にバイト代を払う事で警察行きをまぬがれ、その恩によりゲンを『あんちゃん』と呼び、さらに進次を失った君江の心の支えとなる。これ以降ゲンを慕い、以降は弟分として最後まで作品を牽引する名コンビ役を担っており、出番もゲンに次いで多い。
- 一時期は中岡家で実子同然に暮らす。しかし、ゲンを半殺しにしたヤクザの大場と三次を拾ってきた旧日本軍の拳銃で射殺してからはゲン達の前から姿を消し、岡内組の政に拾われ門下に入る。ヤクザの下働きを続けてきた為に、2年後のゲンとの再会時は更に不良に磨きがかかる。再びゲンと袂を分かとうとしたが、ドングリの死をきっかけに、勝子を連れ戻そうとする政と秀に発砲し負傷させ、ヤクザの世界と縁を切る。以後は家を仲間で手作りし、放浪していた元新聞記者・平山松吉を養父役に、勝子、ムスビと四人で生活する。日を置き、病いに倒れた君江の入院費を調達すべくヤクザから賭場荒らしを成功させるも、報復から逃れる為に警察に自首して感化院に入所。7ヶ月後、雨の日に火事を起こして感化院を親戚のおじへの報復を目論むノロと一緒に脱獄に成功した。ノロから譲り受けた財産を活用し、養父・平山松吉の小説の自費出版にこぎ着け、松吉の最期を看取った。また京都旅行にゲンと同行し君江の死を見届けた。窃盗、万引き、そして靴磨き、骸骨売り等から、夏江と勝子の仕立てた洋服をムスビと路上で売る事で商売の術を逞しく身に付けて行く。兄弟と別れたゲンが市の委託を受けた業者により家を撤去されそうになった際にゲンともに妨害し、再びゲンと同居する。最後は麻薬漬けにされて死んだムスビの復讐の為、単独でバー「マドンナ」のマスターとヤクザ2人を射殺して自首を決意したが勝子に止められて共に東京へ逃避行する。二人ともに運送トラックの荷台に乗っていた。
- 前述のとおり、未成年でありながら5人もの人間を殺しているが、その内4人が敵討ちと関係のない人物である。
- プロ野球チーム「広島カープ」の熱狂的なファンで、好きな選手は白石勝巳。巨人や阪神などの大都市球団に強い対抗心を抱く。愛唱歌は東京ブギウギ。「人のものはワシのもの、ワシのものはワシのもの」という自己中心的なセリフをスリをやった後などに発する。裏社会での生活の影響で孤児狩りや警察の腐敗などゲンが知らない事も知っている。中沢自身は生真面目過ぎるゲンよりも 隆太を描く時が生き生きとして楽しく本当の自分の性格じゃないかと思うと語っている。アニメ版ではヤクザとの関わりは無く、ゲンと同じ学校にも通っている。
- 勝子(かつこ)
- 一歳下の隆太と共にいた原爆孤児の少女。両親は避難所で火傷により死亡した。登場時は10歳。ゲンとは同い年。顔の左半分と両手が火傷でケロイドになっており、そのため心無い人々に「オバケ」扱いされる。ケロイドを隠すため、常にほっかむりをしミトンの手袋を着用している。いつも閉じているがケロイド側の片眼の機能は有ると思われる。隆太とは恋仲で、共に物語終盤まで生き残った。ムスビの仇討ちのために3人のヤクザを殺した隆太の自首を止めさせ、隆太と共に東京へ逃げた。また原爆で傷を負わされたためかゲン同様に天皇を激しく嫌っている。性格は勤勉かつ器用で独創性もあり、養父・松吉から積極的に読み書きを教わり、後に合流した夏江と共に洋裁店を開く夢を切っ掛けに、裁縫技術だけではなくデザインセンスまでも独学で習得する。1950年頃からスカート姿として描かれることから、当時の日本の立ち直りが伺える。アニメ版では隆太ではなく政(アニメオリジナルキャラ)に付き慕っており、また頭にほっかむりをしていないなどキャラデザインも異なる。
- ムスビ(むすび)
- 本名は勝二(かつじ)。隆太と共にいた原爆孤児の一人。両親と弟と4人暮らしだったが原爆投下後、自分以外の家族は家の下敷きになり焼死した。警察に捕まった際にその追っ手から逃れた少年で、顔が三角形からムスビとあだ名されたと推測される(初登場時はムスビらしき少年が描かれているが名無しである)。前半は特徴の無い描かれ方だったが、隆太不在時のゲンとのコンビから存在感を増し、後半はハート柄のシャツを着るなど小粋に描かれ、総務、経理的な屋台骨を任される存在となる。10巻の発言で会社勤めをしているようである。隆太の広島カープ狂いに対し、巨人軍の一流選手を言い並べ隆太を冷やかすなど現実主義的描写が散見する。
- しかし、物語終盤にて女給にうかつに釣られて入店したバーのマスターに、総合ビタミン剤と偽られて麻薬(ヒロポン)を注射され麻薬中毒にされてしまい、隆太たちと洋裁店立ち上げのために貯めてきた郵便貯金60万円を使い果たしてしまった。薬物依存症に耐えきれず、うっかりゲンたちの前で麻薬を使おうとしてバレてしまう。居たたまれなくなって家を飛び出し、バーのマスター宅に麻薬を盗みにいったが見つかってしまい、内臓が破裂するほどの暴行を受けて川辺に投げ捨てられる。最後は、虫の息になりながらも隆太達のところに帰り着き、貯金のことなどを打ち明けるが、「金はまた貯めればいい」と自分を許してくれた皆に感激し、「ありがとう」と絞り出しながら息を引き取った。火葬後、ムスビの遺骨は中岡家の墓に納められた。アニメでは顔が全く違うキャラクターである。
- ドングリ(どんぐり)
- 隆太やムスビと共にいた原爆孤児の一人で、ムスビと共に警察の追っ手から逃れた少年。原爆投下前は紙屋町に住んでいた。初登場時と後ではかなり違ったタッチで描かれている。後に隆太とムスビと共にヤクザの鉄砲玉の仕事をしていたが、仕事中に竜造を射殺したが、その仲間に撃たれて死亡。
- ラッキョウ(らっきょう)
- 隆太やムスビと共にいた原爆孤児の一人。坊主頭が特徴(元からだったのか、原爆症が原因なのかは不明)。ある農家から芋を盗んで逃げる途中に追ってきた百姓に頭を殴打され、「梅干しが食べたいよ…」と言い残し死亡。
- カッチン(かっちん)
- 隆太やムスビと共にいた原爆孤児の一人で、ムスビと共に警察の追っ手から逃れた少年。両親と兄、姉と5人暮らしだったが原爆投下後、自分以外の家族は家の下敷きになり焼死した。、盗みに侵入した進駐軍駐屯地から逃走中に銃撃を受け負傷、ゲンの手当を受けるも出血多量で死亡した。アニメでは農家から芋を盗む際に逃げ遅れ、棒で殴られ崖から転落し、死亡する。最期は政や仲間たちによって、彼の実家の跡地に葬られた。
- タヌキ(たぬき)
- 隆太やムスビと共にいた原爆孤児の一人で、ムスビと共に警察の追っ手から逃れた少年。ゲンに隆太がヤクザの二人組を殺した事を伝えたが、その後の行方は不明。
- 信平(しんぺい)
- 隆太やムスビと共にいた原爆孤児の一人。警察の追ってから逃げるのを失敗したのか、ムスビ達との再会した時にはいなかったので、その後の行方は不明。
- 明夫(あきお)
- 隆太やムスビと共にいた原爆孤児の一人。信平同様、警察の追ってから逃げるのを失敗したのか、ムスビ達との再会した時にはいなかったので、その後の行方は不明。
- もう一人の原爆孤児(もうひとりのげんばくこじ)
- 隆太やムスビと共にいた原爆孤児の一人で、名前は不明で、いつのまにかいなくなったのでその後の行方は不明。
- 政(まさ)
- アニメに登場するオリジナルキャラクター。闇市では名の知れた浮浪児たちの頭的存在で「アニキ」と呼ばれている。ムスビたちを従えている。浮浪児たちの収容所から脱獄した過去があり、収容所の恐ろしさも知っている。学校の授業を密かに覗いていた勝子を「浮浪児の来るところじゃない」と叱った先生に対し「好きで浮浪児になったわけじゃない」と怒り、ナイフで殺そうとするが、ゲンに阻止される。その後、暴行されていた浮浪児たちを助けたことで警官に追われていたゲンたちを助けた。アニメでは、ペニシリンのことなどをゲンに教えるなど情報通。また、造船所に鉄くずを盗みに行く時もゲンたちと同行した。未成年だがタバコを吸っている。学校に通っていれば中学一年くらいの年齢。アニメ版では隆太はヤクザになっておらず、その代わりのキャラクターといえる。なお、アニメ版では隆太はヤクザと関わっておらず、ゲンと同じ学校に通ってはいるが、度々授業をサボり、闇市に行くなど、不良っぽい少年という設定になっている。
- ^ キャラクターの造形としては、進次と隆太も全巻に登場している
- ^ ラッキョウ・カッチン・ドングリは隆太の仲間であるもののゲンとの行動はしていないので身内に含まれない
- ^ “「はだしのゲン」の作者、中沢啓治さん(70)が視力の衰えで漫画家を引退”. 読売新聞. (2009年9月15日)
- ^ 中沢はこの光景を実際には見ておらず、立ち会った中沢の母が姉に呼びかけても返答がなかったので即死だったのだろう、と母から伝えられている。
- ^ a b 朝日新聞 昭和34年(1959年)7月13日2面
- ^ 単行本4巻の元と雨森の喧嘩時に発言した野村のセリフより。
- ^ 教育史料出版会 中沢啓治「はだしのゲン 自伝」より
- ^ もっとも、「青い山脈」の作詞家西条八十と歌手藤山一郎も戦時歌謡を多く出していた。
- ^ 実際にはアインシュタイン自身はマンハッタン計画に参加しておらず、原爆開発で携わったのはアメリカ大統領フランクリン・ルーズベルトにナチスに先を越されぬよう米国も原爆開発を急ぐよう嘆願した手紙に署名したことだけである。
