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つばさ (映画)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2012/03/29 16:47 UTC 版)

つばさ』(Wings)とは1927年パラマウント製作のアメリカ映画サイレント映画)である。第1回アカデミー賞において初の最優秀作品賞と技術効果賞(当時)を受賞した唯一のサイレント映画であり、『グランド・ホテル』(1932)と『ドライビング Miss デイジー』(1989)と並び作品賞をもらいながら最優秀監督賞にはノミネートされなかった3本中の1本である。また1997年、米国連邦議会図書館がアメリカ国立フィルム登録簿に新規登録した作品の1本である。

この映画は空中戦映画の先駆的な超大作として映画史上に名高い作品である。

1920年代中頃からハリウッドでは航空機を扱った映画が隆盛の気配を見せ、第一次世界大戦における航空機の活躍をきっかけに航空熱が高まり技術の進捗と共に長距離飛行その他いろいろな試みが盛んになったという社会的な現象の反映であるが製作面からでも第一次世界大戦のパイロットたちの中には地方巡業の曲乗り飛行で生活する者も現れ、彼らを活用することで空中アクションの見せ場の撮影が充実したことが一因でもある。『つばさ』は1927年8月13日ニューヨークでプレミア公開されたが、この年の5月リンドバーグが大西洋横断に成功し航空機熱はいやが上にも高まり、記録的な興行成績を挙げるに至った。

原作はジョン・モンク・サウンダース(ちなみに彼の妻はフェイ・レイであった)。米国陸軍航空隊航空学校の出身で戦後は新聞記者を経て作家になり、パラマウントに出入りするうちにこの原作が採用された。以後、航空映画の原作者(『空行かば』(1928)、『暁の偵察』(1930)、『最後の偵察』(1931)など)として活躍するが会社がこの原作を買ったのは空中戦をはじめとして大々的にスクリーン上に展開するという企画にふさわしい内容だったからだと言われている。

監督にはパラマウントで都会的な秀作の小品を連発していたウィリアム・A・ウェルマンが起用された。他に航空関係の監督が同社にいなかったためだと言われている。ウェルマンは第一次世界大戦のヨーロッパで米国の志願者だけで編成されたラファイエット空軍に参加し、活躍した経歴を持っていたのである。物語の骨子だけ見るとこれは青春もののパターンで戦争が生み出す悲劇の一端に触れているものの反戦がテーマとはいかず、甘いロマンスに重点が置かれている。特に地上の戦闘シーンや空中撮影など、同じ第1次世界大戦を扱った後の『突撃』(1957)や『ロング・エンゲージメント』(2005)顔負けの迫力でさえある。それとは対照的にクララ・ボウが登場する場面は戦場シーンさえもコメディになってしまっている。

パウエル役のチャールズ・ロジャーズとデヴィッド役のリチャード・アーレン(彼自身も第一次世界大戦中実戦パイロットであった)は当時のパラマウントの2枚目役者であった。またボウは当時のいわゆるモダン・ガールで売り出し、後の『あれ』(1927)では"it"ガールと呼ばれる位、セクシュアルで一大センセーショナルを生み出したパラマウントを代表する女優の1人になった。またエキストラ出身のゲーリー・クーパーが見習い飛行士の1人として1カットだが非常に印象的な場面で登場し、この作品の後に航空映画で大いに売り出すことになる。






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