国指定文化財等データベース |
上州の小正月ツクリモノ
| 名称: | 上州の小正月ツクリモノ |
| ふりがな: | じょうしゅうのこしょうがつつくりもの |
| 種別: | 年中行事に用いられるもの |
| 員数: | 737点 |
| 指定年月日: | 1994.12.13(平成6.12.13) |
| 所有者: | 群馬県(群馬県立歴史博物館保管) |
| 所有者住所: | 群馬県前橋市 |
| 管理団体名: | |
| 備考: | 神体・偶像類70点,祈願品類143点,削り掛け類309点,呪具類194点,削り掛け製作21点 |
| 解説文: | 一月十四日、十五日を中心とする小正月は、公的な行事を行う元旦中心の大正月に対し、民間の正月、または花正月などともよばれている。小正月は、新しい暦法が入る以前の古い正月の名残で、一月の満月の夜を一年の境にした時代の正月と考えられている。したがって、かつて民間では小正月のほうを重視したであろうことは、農耕儀礼に関係する種々の行事や呪法【じゆほう】、禁忌【きんき】などがこの期間に集中することからも想像される。 上州(群馬県)では、大正月の門松に対して、小正月には削【けず】り花(削り掛け)を飾る。小正月には、農作物の豊凶の占い、豊かな実りを予祝【よしゆく】する行事、果樹の豊作や子孫繁盛の祈願、病気や災厄【さいやく】を除【よ】けるといわれるドンドン焼きなど数多くの行事があり、それに伴う儀礼用具である。上州では、これらの製作物をツクリモノという。 若木を迎える「山入り」は、正月二日から十二日の間に行われるが、ツクリモノを作る日は、十一日から十四日に集中する。また、小正月には、「成木責【なりきぜ】め」「鳥追い」「悪魔払い」「オミタマサマ」「水祝い(嫁たたき)」などの行事が付随する。関連して一年の災厄をはらう火祭り「ドンドン焼き」も各地に見られる。 上州の小正月のツクリモノは、村の道祖神【どうそじん】をはじめとして、家の中の神棚や仏壇、台所のカマ神、蚕室、玄関に飾り、その他の場所としては、門、便所、堆肥場、畑などがある。これらのツクリモノの多くは、わずか数日のうちに処分されるのが通例である。例外としてのこされるものでも、一年後の小正月にはドンドン焼きの火で燃されるか、二十日正月には処分されることがほとんどである。 群馬県では、昭和三十二年の旧県立博物館開館以来収集を開始したが、同四十七、四十八年および六十一年から平成二年まで五年間の前後二度にわたり本格的なツクリモノの調査・収集を重ね、その結果を数冊の報告書にまとめて刊行してきた。さらに記録映画を制作するとともに、企画展を開催して内外に紹介してきた。一方、収集品は、二、五〇〇点を数え、そのなかから「削り掛け」を中心に二〇〇件四六三点を有形民俗文化財として県指定し、保護に努めてきた。 本収集品は、県指定を含む七三七点で、内容により、神体・偶像類、祈願品類、削り掛け類、呪具類、削り掛け製作用具、の五項目に分類した。 神体・偶像類には、まずドウソジンの木像がある。村によってはドウロクジンとよぶ所もある。ヌルデの木の皮を削ったところに男神と女神それぞれの顔を描いたものが多い。正月十四日に作り、床の間や神棚に飾ったその夜ドンドン焼きで燃されるが、石像の道祖神に納める所もある。木像を作っているのは、ほとんど県西北部の吾妻【あがつま】郡に集中している。一地域に集中しているにもかかわらず、そのなかで燃え差しを石像に納める所、戸棚に一年間祀っておく所、一月二十日に岩穴に納める所があるなど、習俗のばらつきが見られる。セッチンビナは、いわゆる便所神である。利根郡だけに行われる習俗で、男女一組の紙人形を十四日の夜作り、翌日の朝便所の壁に貼りつける。セッチンビナを作るのは女性の役目で、これを祀ると腰から下の病気を患うことがなく、また産神としてお産が軽くなると信ぜられた。赤ん坊のセッチン参り、厄年の人のセッチン参りやンバ供えなど、便所神をめぐる種々の習俗の報告もある。そのほか神体類として、サクオトコ・サクオンナという男女二体の木像がある。サクダイショウ(作大将)とよぶ地域もある。これらは、道祖神に似て男女一組を作り、カマ神に供えられるが、最後はドンドン焼きの火で燃してしまう。カカシガミは一体で、木を削ってもとは顔を描いたが、近年は「案山子【かかし】神」の文字を書いたものが多く、翌年の小正月まで神棚に祀られたり、最後はドンドン焼きで燃されたり、正月がすむと畑際に持って行き、石の上に置いたりした。 祈願品類は、その年の農作物の豊かな実りを祈る、いわゆる予祝行事と関連して、まず農家の大切な農道具の雛型を作る。県西部の西毛【せいもう】地方では、同じ農具の雛型を二個ずつ作り、ヒモで結んで正月飾りの竿にかけて供える例が多いが、吾妻郡では藁束に農具類をさし込んでカマ神に供える。種類は家によって多少の差があるが、エンガ(鋤【すき】)・テンガ(鍬)・開墾鍬・鎌・鉈・鋸・肥桶・臼・杵・槌・小槌・灰掻き・火吹き竹・熊手・クリル棒・穂打ち棒・藁打ち杵・梯子・背負い子などで、カマ神様の棚に一年間供える。作男作女や後出の福俵と同様にカマ神にお供えするのは、田植え時の苗束を供える例にも見られるように、家の神としてのカマ神が作神としても尊崇されているからである。 |
重要有形民俗文化財のほかの用語一覧
| 信仰に用いられるもの: | 高岡御車山 黒石の十三塚 |
| 年中行事に用いられるもの: | 七夕人形コレクション 上州の小正月ツクリモノ |
| 民俗知識に関して用いられるもの: | 久賀の石風呂 尾崎の石風呂 山香の石風呂 |
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