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さんぎょう-れんかんぶんせき ―げふれんくわん― 9 【産業連関分析】



OR事典

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産業連関分析

読み方:さんぎょうれんかんぶんせき
【英】:input-output analysis

概要

産業連関分析(投入産出分析)は, 国民経済計算勘定1つとして位置づけられ, 1つ地域内の, ある一定期間経済主体間の財貨サービス取引を表としてまとめた産業連関表(投入産出表)を利用して行う様々な分析総称している. 産業連関表は, 各部門によって生産された財貨サービス中間部門・最終需要および輸入との横の需給バランスと, 各部門への投入合計(=生産額)と中間投入・総付加価値の縦のバランスから成り立っている.


詳説

すべての経済活動相互依存関係にあり, 各経済主体間で財貨サービス生産, 投資, 消費, 輸出, 輸入の間で一連のサイクル構成している. 産業連関分析あるいは投入産出分析(input-output analysis)は, 国民経済計算勘定[2]の一つとして位置づけられ, 1つ地域(国, 複数の国あるいは, 県, 複数の県など)内のある一定期間経済主体間の財貨サービス取引を表としてまとめた産業連関表あるいは投入産出表(input-output table)を利用して行うさまざまな分析総称している. 産業連関分析は, ロシア生まれアメリカの経済学者レオンティエフ(Wassily W. Leontief)によって1937年発表され, 現在では発展途上国を含むほどんどの国で広く利用されている. 産業連関表基本形最後に示す表1のように表現される. ある年における産業部門1,2, \cdots ,n\,生産額をX_1,X_2, \cdots ,X_n\,とする. このとき, 表の横方向に, つぎのような産出需要バランス成立する. (記号の意味は表を参照)


\sum_{j=1}^{n}X_{i,j}+C_{i}+G_{i}+IP_{i}+IG_{i}+J_{i}+E_{i}-M_{i}=X_{i},\ \ \ i=1,2, \ldots ,n\,


一方, 表の縦方向に各産業投入とその生産合計の間につぎの関係が成立する.


\sum_{i=1}^{n}X_{i,j}+Y_{j}+O_{j}+D_{j}+T_{j}+N_{j}=X_{j},\ \ \ j=1,2, \ldots ,n\,


ここで, a_{i,j}=X_{i,j}/X_j\,とおくと, この値は産業j\,生産1単位に必要なi\,産業からの投入原単位を意味している. これを投入係数とよぶ. また{n}\times{n}\,行列A=(a_{i,j})\,投入係数表とよぶ. 投入係数表の各列は, その産業原材料構成であり, 生産技術構造を表わしていると考えられる. 最終需要F=C+G+IP+IG+J+E\,と定義すれば, 生産需要バランス行列ベクトルによる方程式表現すると( AX+F-M=X ) \,となる. この式をXについて解くと( X=(I-A)^{-1} (F-M) )\,求められる. なお, Iは単位行列である. 行列(I-A)^{-1}\,レオンティエフ逆行列とよぶ. この行列逆行列存在すればつぎのように展開することができる.


(I-A)^{-1} = I+A+A^2+ \cdots \,


第1項は直接需要による生産に, 第2項以降波及的間接需要による生産対応している. この式は産業構造相互関係通して最終需要波及的に連関していく様子示している.

さて, 産業連関表生産ベクトルX\,の各要素は非負でなければならないが, このための必要十分条件


|I-A| > 0\,


与えられる. これはホーキンス・サイモン条件と呼ばれている. この式が成立するための十分条件として次式のソロー条件が知られている.


\sum_{i=1}^{n}a_{i,j}<1,\ \ j=1,2, \ldots ,n\,


左辺投入係数j\,列の和であるからこの式は自動的成立する. それゆえ, 計算される生産X \,が非負であるという条件自然に成立している.

つぎに, B=(I-A)^{-1}\,とおくとB\,一つの列(j\,部門)の和はその列に対応する産業需要に1単位変化があった場合の, 全産業への影響を表していると考えることができる. そこで次式をj \,部門影響力係数と呼んでいる.


\displaystyle \sum_{i=1}^{n}b_{i,j}/\displaystyle \sum_{i=1}^{n}\sum_{j=1}^{n}b_{i,j}\,


一方, 行列B\,1つの行(i\,部門)の和はすべての需要部門に1単位変化があったときのi\,産業どれだけ影響を受けるかを表しており感応度係数と呼ばれている.


\displaystyle \sum_{j=1}^{n}b_{i,j}/\displaystyle \sum_{i=1}^{n}\sum_{j=1}^{n}b_{i,j}\,


産業連関表利用すれば生産額や環境影響予測など将来問題分析を行うことが可能になる. そのため投入係数予測が必要になる. しかしながら投入係数すべての要素個別予測することはデータの面からいって容易でない. そのためのさまざま工夫がされている. 投入係数予測法のうち, もっと基礎となる方法RAS法と呼ばれている手法である. この方法は, 現在の投入係数A\,に行単位, 列単位ごとに同じ乗数をかけることにより, 予測時点中間需要合計, 中間投入合計一致するように将来投入係数構成していく方法である. 具体的には逐次近似によって予測時点投入係数求めることができる.日本におけるRAS適用宮川ら [1] によって昭和41年に行われている. RAS法ベースとしてさまざまな投入係数予測法が開発されている. 一方, 過去経験によれば, 投入係数自体は必ずしも安定ていないことが多く, この意味ではRAS法による予測には基本的限界がある.


産業連関分析はほぼ確立された理論技術であり, 産業構造予測,地域経済問題分析, 公害環境問題分析,ライフサイクルアセスメントなどの分野で広く利用されている. 最近は県や都市産業連関表あるいは発展途上国産業連関表整備される一方で, 国際的経済相互関係分析する道具として活発に利用されている[4].


表1産業連関表
画像:sk-0204-c-d-07-1.png




参考文献

[1] 宮沢健一,『産業連関分析』(日経文庫), 日本経済新聞社, 1975.

[2] 齋藤光男, 『国民経済計算』(創文社現代経済学選書7), 創文社, 1991.

[3] 総務庁, 『昭和60年産業連関表総合解説編』, (財)全国統計協会連合会, 1992.

[4] 環太平洋産業連関分析学会編, 『産業連関-イノベーションI-Oテクニーク-』, 大蔵省印刷局.

「OR事典」の他の用語
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