球磨焼酎(くましょうちゅう)
熊本県球磨地方に産するコメ焼酎の総称。770年も他から侵されることなく続いた相良(さがら)藩は、その禄(ろく)高ニニ一〇〇石の小藩ながら隠(かく)し田が多く、優に一〇万石の実収があったといわれている。この豊かなコメが、当然に純米製球磨焼酎の原料となり、球磨川水系の純良な地下水はこれを助けた。さらに地元民の焼酎を愛する心は歴史的に極めて強く、銘酒球磨焼酎を育(はぐく)んできた。球磨地方のあちこちにとっくりの形をした飲み助の墓があるのはユーモラスにこのことを物語っており、現在でもこの地域での焼酎の消費率は、全酒類の45%と驚異的に高い。球磨焼酎は昔から特有のガラという酒器で直燗(じかがん)をして飲むのが習わしであった。アルコール度数も30度くらいのものであり、薄めて出すのは失礼とされた。また、度数が高かったことから杯も独特の小さなチョクでなければならなかった。このチョクで盛んに献酬を行う。作法として、お流れ頂載(ちょうだい)もあるのだが、むしろ、目下の者から目上の人に先にチョクを献上するのが礼儀とされる。貢物(みつぎもの)の一種であろう。差したチョクは、必す「重(かさ)ねて」といって二杯飲ませてから返杯を受けるのが習わしであるが、葬式や結婚式など二度とあってならない時は重ねない。現在は25度のお燗、お湯割り、ロックなどでも飲まれている。また、宴席での座興に、独特の球磨拳(くまけん)があり、宴たけなわとなればあちこちに指自慢の勝負が展開され、大声で賑やかである。昭和六〇年現在、32の製造業者で約11,000klを生産販売しており、銘柄の数は100に近い。
くましょうちゅうと同じ種類の言葉
焼酎に関連する言葉 | コーヒー焼酎(こーひーしょうちゅう) 若布焼酎(わかめしょうちゅう) 球磨焼酎(くましょうちゅう、くまじょうちゅう) 醪取焼酎(もろみとりしょうちゅう) 本格焼酎(ほんかくしょうちゅう) |
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