空中権
建物が、その敷地に対して許可された容積率を上限まで使用しなかった場合に、周囲の敷地に譲渡される余剰分の容積率のこと。東京駅丸の内駅舎において特例的に取引されている。
建物の容積率は、建築基準法および都市計画に従って決定される。床面積が容積率を上回る建物は建築できない。そのため高層ビルなどの高さが制限されることになる。
2006年に、戦時中に空襲を受けて損傷していた東京駅丸の内駅舎を戦前の姿に復元するプロジェクトが発足した。その復元にかかる費用捻出の手段として、空中権の取引が利用された。
東京駅丸の内駅舎は、当初の3階建ての姿に復元しても、敷地が使用できる容積率の5分の1程度を使用するにとどまるとされる。生じた余剰容積率は周囲の超高層ビルの容積率を増やす権利として取引された。
JR東日本が空中権の売却により捻出し、東京駅丸の内駅舎の復元工事にかけた総工費は、およそ500億円といわれている。
空中権(くうちゅうけん)(Transferable Development Rights)
建築物を建てる場合、その土地にどれだけの床面積のものを建てられるかは指定された容積率で決まる。東京駅周辺の一部の地域では、容積率を譲渡する形で空中権がやり取りされている。
低層ビルを建設するなど、あらかじめ指定された容積率を使い切らずに余らせた場合、その残りの容積率を隣接地に転売することができる。あたかも空間を利用する権利があるように見えることから、空中権というようになった。
東京都は2002年、国が創設した特例容積率適用区域制度の対象に東京駅周辺の地域を指定し、比較的広い範囲で空中権の取引を認めた。その区域内では低層の東京駅が利用しない空中の容積率を別の場所に譲渡して使うことができる。
現在、このような空中権の取引ができるのは東京駅周辺だけで、それ以外には存在しない。
(2004.12.27掲載)
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