NATO《北大西洋条約機構》(なとー《きたたいせいようじょうやくきこう》)
1949年に資本主義諸国が集まって北大西洋条約を結んだ。現在では、アメリカをはじめ、カナダ、ドイツ、フランス、イタリア、イギリスなど北大西洋の周辺諸国を中心に、合計19か国が加盟している。
もともと、アメリカを中心とするNATOは、ソ連(当時)の主導のもとで社会主義諸国が集まって組織されたワルシャワ条約機構 (WTO) と対立し、戦後の冷戦構造をなしていた。条約の核心部分は、NATO加盟国の一部が武力攻撃を受けた場合、すべての加盟国に対する攻撃とみなし、報復攻撃ができるとした「集団的自衛権」の発動にある。
ところが、1989年の冷戦終結宣言を受けて、1991年にはワルシャワ条約機構が消滅した。NATOは東方陣営を敵視することをやめ、テロリズムや人権抑圧、民族的・宗教的な対立などを新たな脅威認識としている。最近では、1999年のユーゴスラビアに対する空爆など、地域紛争に関わることが目立っている。
アメリカの集団的安全保障の枠組みには、NATOのほかにも、南北のアメリカ大陸で組織する米州機構 (OAS)や、オーストラリアとニュージーランドで組織する太平洋安全保障条約 (ANZUS) などがある。
(2001.09.19更新)
【北大西洋条約機構】(きたたいせいようじょうやくきこう)
英:North Atlantic Treaty Organization. (NATO)/仏:Organisation du Traité de l'Atlantique Nord(OTAN)
「北大西洋条約」に基づき、北アメリカ及びヨーロッパ諸国によって結成された軍事同盟。
加盟国の一部が武力攻撃を受けた場合、全加盟国で国連憲章第51条で認められている集団的自衛権を行使し、攻撃した国に報復を可能とする事を主旨とする。
明らかに冷戦を意識した条約であり、ワルシャワ条約機構(1955~1991)など社会主義諸国を仮想敵国としてきた。
そして冷戦が終結し、ソ連が崩壊した現在では旧ワルシャワ条約機構加盟国の大半がNATOに加盟し、テロリズムや人権抑圧・宗教的対立への対策機関へと変遷しつつある。
今や白色テロの推進機関と化している、という非難も一部ではある。
「欧米社会の代弁者」という役割の関係上、中東・アジア・アフリカとの間に走る亀裂は大きい。
設立の経緯
第二次世界大戦終結後、冷戦が始まり、東欧諸国の共産圏が西欧諸国にとって大きな脅威となった。
1948年、アメリカの意向を受けてイギリス・フランス・ベルギー・オランダ・ルクセンブルクの5カ国の間で「ブリュッセル条約」が締結され、「ブリュッセル条約機構」が発足。
経済的、社会的及び文化的協力ならびに集団的自衛のための条約で、後のNATOの基盤となる。
同年、アメリカ上院議会は対西欧防衛協力を明確に打ち出した「バンデンバーグ決議」を採択。
西欧方面の軍事同盟条約へ参加する条件を明らかにした。
そして翌1949年、ブリュッセル条約にアメリカ・カナダ・ノルウェー・デンマーク・アイスランド・ポルトガル・イタリアが新たに参画。
改訂された「北大西洋条約」が締結され、条約機構も「北大西洋条約機構」として再編された。
加盟国
- 原加盟国(1949年~ 12カ国)
アメリカ・イギリス・フランス・ベルギー・オランダ・ルクセンブルクカナダ・ノルウェー・デンマーク・アイスランド・ポルトガル・イタリア - 1952年(2カ国)
ギリシャ・トルコが加盟。 - 1955年 (1カ国)
西ドイツが加盟。 - 1981年 (1カ国)
スペインが加盟。 - 1990年(1カ国)
旧東ドイツが事実上NATOに編入。(直後に東西統一) - 1999年(3カ国)
ハンガリー・チェコ・ポーランドが加盟。 - 2002年 (7カ国)
エストニア・ラトビア・リトアニア・スロバニア・スロベニア・ブルガリア・ルーマニアが加盟。 - 2009年 (2カ国)
アルバニア・クロアチアが加盟。
組織構成
- 北大西洋理事会(NAC:North Atlantic Council)
加盟国28カ国の代表で構成されるNATOの最高意思決定機関。
軍事を除く各種問題の協議を行っている。
閣僚レベルでは慣例により年に2回開催され、首脳レベルで「NATO首脳会合」として開催されることもある。
閣僚レベルでも首脳レベルでも会の議長を務めるのはNATO事務総長である。 - 防衛計画委員会
軍事問題に関する審議を行う。 - 軍事委員会
任期制の委員長と各加盟国の参謀総長クラスの将官により構成される。 - 核計画グループ
核問題に関する審議をする。
機関・部隊
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