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お盆
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2012/05/20 19:30 UTC 版)
(お盆休み から転送)
お盆(おぼん)は、太陰太陽暦である和暦(天保暦など旧暦という)の7月15日を中心に日本で行なわれる、祖先の霊を祀る一連の行事。
目次 |
由来
一般に仏教の行事と認識されているが、仏教の教義だけでは説明しづらい部分も多い。江戸幕府がキリシタン発見のために行った檀家制度により、庶民の先祖供養に仏教行事の「盂蘭盆」(うらぼん)が習合して現在の形が出来たとされる[1]。
仏教用語の「盂蘭盆」の省略形として「盆」(一般に「お盆」)と呼ばれる。盆とは文字どおり、本来は霊に対する供物を置く容器を意味するため、供物を供え祀られる精霊の呼称となり、盂蘭盆と混同されて習合したともいう説もある。現在でも精霊をボンサマと呼ぶ地域がある。
盆の明確な起源は分かっていないが、1年に2度、初春と初秋の満月の日に祖先の霊が子孫のもとを訪れて交流する行事があった(1年が前半年と後半年の2年になっていた名残との説がある)が、初春のものが祖霊の年神として神格を強調されて正月の祭となり、初秋のものが盂蘭盆と習合して、仏教の行事として行なわれるようになったといわれている。日本では8世紀ごろには、夏に祖先供養を行うという風習が確立されたと考えられている。地方や、佛教の宗派により行事の形態は異なる。
また、お盆時期の地蔵菩薩の法会は「地蔵盆」と呼ばれ、(天道)大日如来のお盆は大日盆といわれる。
お盆は成句(イディオム)して使われることもある。「盆暮れ(ぼんくれ)」などと時季を指す言葉としての使用や、「盆と正月が一緒に来たよう」という"とても忙しいこと"または"喜ばしいことが重なること"のたとえ(慣用句)としての使用がそれである。
ぼに
名称に「ぼに」がある。『蜻蛉日記』上巻応和二年に「十五、六日になりぬれば、ぼになどするほどになりにけり」とあり[2][3]、徳島県指定無形民俗文化財「津田の盆踊り」[4]は、津田の盆(ぼに)踊りとされ[5][6]や阿波弁[7]、岡山弁[8]、備後弁[9]など各方言にある。また、『宇津保物語』11巻初秋(内侍督)に「御ぼにどもは例の数候ふや」とあるようにお盆の供養布施物のこともさす[2][3]。
日付
伝統的には、旧暦7月15日に祝われた。日本では明治6年(1873年)1月1日のグレゴリオ暦(新暦)採用以降、以下のいずれかにお盆を行うことが多い。
- 旧暦7月15日(旧盆) - 沖縄・奄美地方など
- 新暦7月15日(もしくは前後の土日) - 東京・横浜の旧市街地、函館、金沢など
- 新暦8月15日(月遅れの盆。2.を主に祝う地方では旧盆とも)
- その他(8月1日など)
明治6年(1873年)7月13日に旧暦盆の廃止勧告が山梨県や新潟県などで行われたこともあり、1.は次第に少数派になりつつあり、基本的に3.(月遅れのお盆、旧盆)がもっぱらである。現在の報道メディアでは、多数派である8月中旬(3.)を「お盆」と称するため[10]、「お盆」というと月遅れのお盆を指すことが全国的になりつつある。沖縄県では現在でも1.の旧暦による盆が主流である。そのため、お盆の日程は毎年変わり、時には9月にずれ込む[11]。なお、旧暦での盆を旧盆というが、一部の地方を除いて通常、新暦での盆は新盆[12]とは言わない。新盆(にいぼん)は別の意味となる。
岐阜県中津川市付知町、中津川市加子母は8月1日である。東京都小金井市、府中市、調布市などの多摩地区の一部も8月1日である。
全国的な風習
盆の概念は日本全国に広まっているため、その行事の内容や風習は地方それぞれにさまざまな様式がある。必ずしも定まったものでないが、全国に比較的広まっている風習として次の様なものがある。
釜蓋朔日
1日を釜蓋朔日(かまぶたついたち)といい、地獄の釜の蓋が開く日であり一般的に1日からお盆である。この日を境に墓参などして、ご先祖様等をお迎えし始める。地域によっては山や川より里へ通じる道の草刈りをするが、これは故人が山や川に居るという文化に則り、その彼岸からお還りになる故人が通りやすいように行う。 また、地域によっては言い伝えで『地獄の釜の開く時期は、池や川などの水源にはむやみに近付いてはならない』というものもある。
七夕、棚幡
7日は七夕であるが、そもそも七夕は棚幡とも書き、故人をお迎えするための精霊棚とその棚に安置する幡(ばん)を拵える日であり、その行為を7日の夕方より勤めたために棚幡がいつしか七夕に転じたともいう。7日の夕刻から精霊棚や笹、幡などをご安置する。 なお、お盆期間中、僧侶に読経してもらい報恩することを棚経(たなぎょう)参りというが、これは精霊棚で読むお経が転じて棚経というようになった。
迎え火
13日夕刻の野火を迎え火(むかえび)と呼ぶ。以後、精霊棚の故人へ色々なお供え物をする。 地方によっては、「留守参り」をするところもある。留守参りとは、故人がいない墓に行って掃除などをすることをいう。御招霊など大がかりな迎え火も行われる。
送り火
16日の野火を送り火(おくりび)と呼ぶ。京都の五山送り火が有名である。 15日に送り火を行うところも多い(奈良高円山大文字など)
また、川へ送る風習もあり灯籠流しが行われる。山や川へ送る点は、釜蓋朔日で記したとおり故人が居るとされるのが文化的に山や川でありそのようになる。
なお、故人を送る期間であるが、16日から24日までであり、お迎え同様に墓参などをして勤める。
佛教では普通お盆は1日から24日を指す。 これは、地獄の王は閻魔王であるが、その王と対になるのが地蔵菩薩であり、24日の地蔵菩薩の縁日までがお盆なのである。(因に(天道)大日如来の大日盆はその縁日に則って28日である。)
盆踊り
15日の盆の翌日、16日の晩に、寺社の境内に老若男女が集まって踊るのを盆踊りという。これは地獄での受苦を免れた亡者たちが、喜んで踊る状態を模したといわれる。夏祭りのクライマックスである。旧暦7月15日は十五夜、翌16日は十六夜(いざよい)すなわち、どちらかの日に月は望(望月=満月)になる。したがって、晴れていれば16日の晩は月明かりで明るく、夜どおし踊ることができた。
近年では、場所は「寺社の境内」とは限らなくなっており、また宗教性を帯びない行事として執り行われることも多い。典型的なのは、駅前広場などの人が多く集まれる広場に櫓(やぐら)を組み、露店などを招いて、地域の親睦などを主たる目的として行われるものである。盆の時期に帰郷するひとも多くいることから、それぞれの場所の出身者が久しぶりに顔をあわせる機会としても機能している。
なお、新しく行われるようになった盆踊りは、他の盆踊りとの競合を避けるために、時期を多少ずらして行われることも多い。これは、新興住宅地などでは、「盆の最中は帰郷しており、参加できない者が多数いる」などの事情も関係しているものと思われる。また、宗教性を避けて「盆踊り」とは呼ばないこともある。しかしそれらが「盆踊り」の系譜に連なるものであることは否定しがたい。 また、同様のものとして彼岸の時期に行なわれるものを「彼岸踊り」と呼称する地域(関東~近畿一の一部)も存在する。
初盆・新盆
また、人が亡くなり49日法要が終わってから次に迎える最初のお盆を特に初盆(はつぼん)または新盆(しんぼん、にいぼん、あらぼん)と呼び、特に厚く供養する風習がある。これも地方によって異なるが、初盆の家の人は門口や仏壇、お墓に白一色の盆提灯を立てたり、初盆の家の人にそういった提灯を贈ったりして特別の儀礼を行ない、また初盆以外の時には、模様のある盆提灯やお墓には白と赤の色が入った提灯を立てたりする。
- ^ 監修 神社本庁教学研究所 『神道いろは』 神社新報社、東京都渋谷区代々木1-1-2、2004年4月1日、第4版、126ページ。ISBN 4-915-265-99-4。
- ^ a b デジタル大辞泉
- ^ a b goo辞書
- ^ 徳島県指定無形民俗文化財 「津田の盆踊り」
- ^ 盆踊り(上)地元の宝 有志が保存 徳島新聞
- ^ 盆踊り(下) 伝統の調べ 次世代へ 徳島新聞
- ^ 阿波弁講座セミの呼び方。カマキリ、トンボ
- ^ 実は岡山弁。教えてください(駄)
- ^ びんごばあ!第354号●「ぼに」
- ^ ただ、テレビ・ラジオ放送においては在京キー局発信の番組において「月遅れのお盆」「旧盆」と報道するケースもまれにではあるがみられる。
- ^ 旧暦7月15日は新暦8月7日から9月6日の範囲になる。1991年~2030年の40年間では、1997年が8月7日、2025年が9月6日となる。また、閏月に行事を繰り返すことはないため、閏7月15日(閏7月があった2006年では9月7日)は旧盆ではない。
- ^ “暑い新盆へ 墓参の家族、心静かに 金沢・野田山墓地”. 北國新聞(ウェブ魚拓) (2008年7月12日). 2009年6月9日閲覧。
- ^ 「おわら風の盆」の歴史、越中八尾観光協会ホームページ
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