三省堂 大辞林 |
いとし・い 3 【▽愛しい】
〔「いとおしい」の転〕
(1)かわいい。恋しい。慕わしい。
「―・い人」
〔多く子供や異性を対象として使う〕
(2)気の毒だ。かわいそうだ。ふびんだ。
「平六は此春はてられて御ざ有よなう。やれやれそれは―・い事をいたいた/狂言・塗師」
[派生] ――が・る(動ラ五[四])――げ(形動)――さ(名)
» (成句)いとしい子には旅をさせよ
かなし・い 0 3 【悲しい/▽哀しい/▽愛しい】
[一]心が痛んで泣きたくなるような気持ちだ。つらく切ない。《悲・哀》
「母に死なれて―・い」「誠意が通じなくて―・い」
[二](古くは「愛し」と書かれた)
(1)身にしみていとしい。切ないほどにかわいい。《愛》
「何そこの児(こ)のここだ―・しき/万葉 3373」
(2)心にしみるような趣だ。深い感興を感ずる。
「みちのくはいづくはあれど塩釜の浦こぐ舟の綱手―・しも/古今(東歌)」
(3)見事だ。感心するほど立派だ。
「―・しくせられたりとて、見あさみけるとなん/著聞 17」
(4)残念だ。くやしい。
「物もおぼえぬくさり女に―・しう言はれたる/宇治拾遺 7」
(5)貧苦がつらい。
「ひとりあるせがれを行く末の楽しみに、―・しき年をふりしに/浮世草子・永代蔵 1」
〔悲しいにつけ愛(いと)しいにつけ、感情が痛切に迫って心が強く打たれるさまを表す意が原義〕
[派生] ――げ(形動)――さ(名)――み(名)
» (成句)悲しい哉
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「いとしい」の用例一覧
岸田國士 ふらんすの女 (青空文庫)
な話ができやう。 ××にて ——あたしの宝……あたしの愛……あたしのキヤベツ……あたしの好きな好きな、いとしいいとしい人……あたしの狼……あら、いや、そんないたづらをしちや……豚! 之を要するに ——(夫の...
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若山牧水 樹木とその葉 夏の寂寥 (青空文庫)
の拾ふのも可愛いゝと見、 書生の拾ふのもいとしいと見てゐた。 が、 流石にその 夥 ( おびただ ) しい花も散り盡くる時が來た。 一朝ごとに減つてゆくその落葉をば、 いつか書生も捨ておく樣になつた。 けふ、 ふと...
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宮本百合子 田端の坂 (青空文庫)
俥に乗って田端の芥川さんの家を訪ねました。その時分、私は内的に苦しんでいて、その訪問も、愚痴を聞いて欲しいというまでに折れてはいなかったが、自分の芸術の上に確乎としている人に接したい欲求があったと見えます。 少し...
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