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出渕裕
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2012/05/22 10:27 UTC 版)
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出渕 裕(いづぶち ゆたかまたはいずぶち ゆたか、男性、1958年12月8日 - )は、日本の漫画家、イラストレーター、アニメーターなど幅広く活躍するクリエイター。東京都生まれ。
目次 |
人物
略歴
1974年放送の『宇宙戦艦ヤマト』のファンになり、アニメ業界に興味を持つようになる。「ヤマト・アソシエイション」と言うファンクラブの会員だった。
1979年に『闘将ダイモス』の敵ロボットデザイン担当でデビュー。同作でスタジオぬえのメンバーや東映のプロデューサー鈴木武幸とも知り合い、活躍の場所を次々と拡げていく。
1980年代には、SF作家の豊田有恒が主宰した創作集団パラレル・クリエーションに所属[1]。以後、漫画執筆、小説の挿絵など漫画家兼イラストレーターとしての活動も始める。その後、ガンダムシリーズや『機動警察パトレイバー』、スーパー戦隊シリーズなどの多くの作品でメカニックデザインを手がけ、2002年、テレビアニメ『ラーゼフォン』で初監督を務める。
アニメや特撮などの空想世界のみならず、川田工業株式会社の二足歩行ロボット、HRP-2の外形デザイン・イメージも担当して話題になった。
造詣が深く、業界の広辞苑的存在である。
特撮作品への初参加は『科学戦隊ダイナマン』だが鈴木武幸プロデューサーによると『大戦隊ゴーグルファイブ』の頃から声を掛けてはいたが、この時は出渕がスケジュールの都合で断ったとの事である。『ダイナマン』から『超新星フラッシュマン』まで4年連続でキャラクターデザインを歴任(特に『フラッシュマン』では単独ですべてのデザインを担当)、シリーズの降板は出渕自ら申し出たが、2012年『特命戦隊ゴーバスターズ』で25年ぶりにシリーズに復帰した。
2012年、自身のファン作品である『宇宙戦艦ヤマト』のリメイク版、『宇宙戦艦ヤマト2199』の総監督を担当(他にもメカニックデザインや脚本なども兼任)している。
また、長年に渡って東放学園映画専門学校でアニメーション映像科の講師を務めており、「キャラクター表現ゼミ」を開催している。
交友関係
- 親しい友人らには「ブッちゃん」との愛称で呼ばれる。
- 学生時代は一アニメファンとして『宇宙戦艦ヤマト』のファンクラブなどに所属し、自主アニメ企画を立てたりもしていた。当時ヤマトファンクラブの会長だった氷川竜介によれば、お互い住んでいるところが近かったため会報の手伝いなどをよくしてもらっているなど交友があり、出渕がデビューするきっかけについても以下のように回想している。
- 氷川は当時、ヤマト以外のアニメの情報も扱う総合的な会報も作っており、出渕も協力していた。『超電磁ロボ コン・バトラーV』の特集および新番組『闘将ダイモス』の情報が掲載されていた号で、両作品[2]の監督である長浜忠夫と出渕には、ファンレターをきっかけに交流があることが話題になり、サンライズで面会する機会が設けられた。
- その際に出渕が先の自主アニメ企画をまとめた同人誌を長浜に見せたところ、出渕のデザインを気に入った長浜からの依頼でダイモスの敵メカデザインを作成することになり、実際に作成したデザインもそのまま採用され、デビューすることとなった。
- 東映のプロデューサー鈴木武幸ともここで知り合い、後の特撮デザイン進出へとつながっていく事となる。
- 氷川の著作である『20年目のザンボット3』に収録された1979年の富野由悠季へのインタビュー(長浜が富野と氷川の間を取り持った)の際、著者の氷川に同行した「友人」が登場するが、これは出渕のことである。
- 漫画家ではゆうきまさみやとり・みきらと親交があり、彼らの漫画の登場人物として出演した事がある。
- ゆうきに『機動警察パトレイバー』のプロットを見せられた出渕はこれを気に入り、火浦功に協力を求めたり、伊藤和典に企画を紹介するなどTV化に向けて奔走した。なお、伊藤は『テクノポリス21C』を連想したことや「ブッちゃんのプレゼンテーションが下手だった」ことであまり良い印象を受けなかった。
- 一方、同じ『機動警察パトレイバー』作品群でヘッドギアの一員として監督・脚本を務めた押井守との関係は、一時期非常に悪かった。これは機動警察パトレイバー 2 the Movie制作中に起きた喧嘩がきっかけである。それ以来、押井は出渕のメカデザインを公然と酷評するようになった。出渕によると「(押井は)話のネタが尽きると必ず僕の悪口を言う」とのこと。仕事の上での両者の関係は充分には修復されておらず、押井は「(出渕は)仕事のパートナーとしてはありえない」と述べていた。
好み・趣味
- 「アニメディア」誌上での美樹本晴彦との対談でショタコンである事を告白(冗談で)。また友人のゆうきまさみが1987年に渋谷で行われた出渕の個展に寄せた漫画では、出渕は「僕は嫁さんよりも娘がほしい」と冗談めかして言っていた事があるという。
- 「アニメージュ」1980年10月号の座談会で自分は「しずかちゃんのヌードに感じるタイプだなァ」と語っている。また『ドラえもん』は「しずかちゃんのヌードシーンがあるからみなくっちゃイケナイナァとおもうもン」と語っている。この座談会で実写も悪くないとする周囲に「アニメのほうが、ゼッタイいいよ。ナマナマしいのはキライッ」と力説した。
- ゆうきやとりと同様、原田知世の熱烈なファンだった。原田知世の主演映画『天国にいちばん近い島』にも出演している。「ファンロード」誌において、レポートマンガを描く条件で原田知世にインタビュー。この時、握手した手を3日洗わなかったという。
- ジム・ヘンソン監督の映画『ダーククリスタル』に傾倒し、デザイン面でも同映画のデザイナー、ブライアン・フロードの影響を受けている。また来日したジム・ヘンソンが、雑誌「B-CLUB」のインタビューを受けた際に、インタビュアーを務めている[3]。
- 雑誌『宇宙船』vol.16に寄稿したイラストエッセイで、影響を受けた特撮作品として『人造人間キカイダー』、『イナズマンF』、『スーパーロボット レッドバロン』の3作を挙げている。
- 大のドイツ軍フリークとしても知られ、ナチス軍装についての造詣も深い。また『新機動戦記ガンダムW』の衣装デザインなどでも見せたように、西洋の装飾的な礼服についてもかなりの知識を持っている。フリッツヘルメットやパンツァーファウストなどをモビルスーツのデザインに採用し、「ジオン軍=ドイツ風」のイメージを確立した。本人も「業界ナチ担当」(mixiの自己紹介文より)と自嘲しており、中学時代には学生服の上からベルトを巻いてナチ将校のコスプレごっこをしていたという逸話もある。
- フジテレビのテレビ番組『ウゴウゴルーガ』の一コーナー「おしえて!えらいひと」に登場したことがある。
- 兵藤まこに恋心があったらしく、彼女が手伝う親族の経営する喫茶店や、出演している演劇の場に出渕の姿を多々見ることができた。
- 自身がデザインを担当した『電撃戦隊チェンジマン』に登場する敵幹部ブーバは、放送直後にハリウッドでプレデターのデザインとして翻案されている。
- 人形作家辻村寿三郎のデザインに傾倒していた時期があり、特に『超新星フラッシュマン』などの悪役デザインにその影響が顕著である。
デザインの特徴
デザイナー活動の初期にはロボットアニメの敵側メカ(いわゆる「やられメカ」)を担当。
特徴的なデザインの意匠として、複数の並んだ穴(基本は上段3個、下段2個の5つ穴)が描かれることが多い。
ケンプファーやサザビー、ズワァース、イングラムなど、メカのボディが三次曲面で構成されたものが多いのが大きな特徴である。またガルディーン、イングラム、ジェガン等では頭部またはその周辺を左右非対称に描いており、左右対称の頭部が殆どであるロボットデザインに於いて異色とも言える(頭部に限らず、デザインをまとめたとされるνガンダムのフィン・ファンネル装備状態にもその傾向が見られる)。
メカとして物理的・構造的に無理があるものや、劇中の設定・考証を無視したものが多い。このため、前述の不仲もあってか、押井守は「メカ音痴」と評している[4]。
- ^ 小黒祐一郎「この人に話を聞きたい 出渕裕」『アニメージュ』2008年7月号、p.116。
- ^ 『超電磁マシーン ボルテスV』を併せ、後に長浜ロマンロボシリーズと言われる。
- ^ B-CLUB No.32 バンダイメディア事業部出版課刊 1988年 ISBN 4-89189-412-1
- ^ a b 押井守『映像機械論メカフィリア』大日本絵画、2004年、p.49.
- ^ なお後半の主役メカ・ビルバインについては湖川やスポンサーのバンダイ他のスタッフによるアイデアを最終的に湖川が纏めたもので、出渕は大きく関わっていない。
- ^ 基本的にはテレビシリーズで宮武一貴がデザインした同名メカのリファインだが、顔に当たる部分にゼントラーディのワンマン戦闘ポッド・リガードやグラージと同様のモノアイカメラを配する等、より統一感のあるデザインへとシフトさせている。
- ^ 中盤以降のデザインはバンダイ主導のデザインコンペ(その趣旨は展開が遅れていたプラモデルのラインナップを強化するため、既に発売されているプラモデルにパーツを追加する事で作品に新メカとして登場させるというものだった)で採用されたモデルグラフィックス(小田雅弘、かときすなお(カトキハジメ)、あさのまさひこ他)の原案を、明貴美加や佐山善則がクリンナップし、後に明貴がメインでデザインを担当した。
- ^ バウはフィニッシュまで出渕が担当。それ以外のクリンナップは伸童舎(岡本英郎、明貴美加)が担当した。また、ゲゼについては出淵は関与せず永野護の案を伸童舎がまとめた。
- ^ デザイン作業はコンペ形式で行われ、監督の富野の意向を出渕やヴィシャルデザイン、鈴木雅久、大畑晃一といったデザイナーがそれぞれラフデザインとして提出し、それを富野が取捨した上で最終的に出渕が纏めるという形だった。なおリ・ガズィについては佐山善則がクリンナップし、フィニッシュまで持っていっており、艦船等のデザインはガイナックスの担当となる。
- ^ 警察ロボットである点に出渕曰く、パトレイバーとの因縁を感じるとの事。
- ^ バイオハンター・シルバのシルエットを見て分かるように「人造人間キカイダー」のハカイダーを念頭において制作したと語っている。また、巨大戦の敵は(巨大化した怪人ではなく)巨大ロボットであり、その点に於いても本領発揮といえる。
- ^ メズール、カザリに関しては何故か方眼紙のみのラフ画しか描かれておらずデザイン画が存在しない。
- ^ 特に怪人面では「人間が変化した怪物」を思わせるデザインではなく「超越した人間が着るスーツ」を思わせるデザインとなっている。その為かショッカーのマークにはナチスを思わせるデザインになったり怪人の服装はドイツ軍装を思わせるデザインとなっている。
- ^ 出渕設定ではモノアイは2つであったが、作者の取り違いにより、作中では1つになっている。
いづぶちゆたかに関連した本
- 機神幻想ルーンマスカー 出渕 裕 徳間書店
