壱岐焼酎(いきしょうちゅう)
代表的なムギ焼酎。壱岐はムギ焼酎発祥の地であり、現在でも長崎県の焼酎の主産地である。藩政時代壱岐は平戸(ひらど)藩に属し、コメのほとんどは年貢に取り立てられたため、ムギを用いるに至ったのがその由来とされる。昭和五九年現在、焼酎の専業者は五、清酒との兼業者は二で、約2,000klを生産し(島内消費約700kl)、各地へ出荷されている。白麹菌(しろこうじきん)でコメ麹をつくり、二次原料としてムギを加える標準的な仕込法による。蒸留はほとんどが常圧蒸留であり、小規模工場ではごく最近まで木製の蒸留機を使っていた例もある。また、錫(すず)製の冷却コイルやかめ仕込みはまだ稼動中であるなど、伝統をよく守り、伝えている。したがって品質も原料の個性のよく出た重厚なものが多い。飲み方はほとんどがお湯割りで、玄海灘(げんかいなだ)の景勝を眺(なが)めながら、新鮮豊富な海産物の料理を楽しむことができる。蒸留廃液は島に飼育される12,000頭あまりの和牛の飼料あるいは田畑の肥料として余すところなく利用されている。昭和五九年、島内七社の焼酎メーカーのうち6社が合併して協業組合を創立した。伝統に生きてきた壱岐焼酎も、発展と同時に変動の時期を迎えようとしている。
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