「陶酔」を含む用例
・岸田國士 築地座の『旧友』 (青空文庫)
の如き舞台の到達し得る妙境こそ、一個の優れた俳優が、その至芸を破綻なく、自由に、そして最も「個性的に」示すことによつて、観客を完全な陶酔境に導き終るものである。果して、築地座の舞台は、新劇が嘗て「突き破り」得な...
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・織田作之助 星の劇場 (青空文庫)
てて四ッ橋畔の電気科学館へ行き六階の劇場ではじめてプラネタリュウムを見た。 感激した。陶酔した。実に良かった、という外よりはない。既にして場内アナウンスの少女の声が、美しく神秘的である。それが終ると、場内にはにわかに黄昏の色が忍び込んで、鮮かな美しさだ。天井...
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・岸田國士 悩みと死の微笑 (青空文庫)
いてであると思ふ。この「悩み」は、同時に「芸術家としての意気」であり、「矜恃」であり、そしてまた常に「陶酔」である。彼等は絶えず、彼等に相通ずる「美の幻影」に悩まされ、酔はされてゐた。 私は彼の眼に映じた「暗い...
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・宮本百合子 身ぶりならぬ慰めを (青空文庫)
がたき事情の下に万難を冒して自分の生涯を賭しているからこそ、私たちの心持は歴史の深刻な意義とともに深く動かされるのであると思います。ヒロイズムの自己陶酔は私たち女を愚劣にします。 ああいうところで、ああいう生活をしている人々には、みんな家があり、故郷...
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・芥川龍之介 恋愛と夫婦愛とを混同しては不可ぬ (青空文庫)
の好伴侶として配偶者を見る愛であつて、結婚前の恋愛とは別箇のものである。私は愛の恒久性や純潔さを疑ふ。愛の変化消滅といふことについては厭世的である。恋愛の陶酔といふものが永続するとは考へられない。結婚して幻滅の悲哀を感ずるとは、よく...
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・牧野信一 ファティアの花鬘 (青空文庫)
抜いた。 「ブラボー——ピピヤスよ、歌つて呉れ、お前が歌へばロールッヒ先生の嘆きの歌であらうと、ヨハンの樽の歌であらうと、何の見境ひもなく俺達一同は五月の朝風に撫でられる孔雀歯朶のやうに従順になびいて陶酔...
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・岸田國士 作家山本人間有三 (青空文庫)
の顕著な風貌を与へるとすれば、それは、恐らく、「 頼母 ( たのも ) しさ」であらう。われわれの歴史は、実に、この一語に、あらゆる道徳的陶酔の秘密を託して来た。私が、彼の戯曲の悉くにいまいましくも涙をしぼらされ、「何故...
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・金史良 荷 (青空文庫)
さくさ掻き立てたのだ。 ——秋の学期が始まり、佐賀に再び帰ってから間もないことである。郷里の母の手紙は、苛性 曹達 ( ソーダ ) を 嚥 ( の ) んだ彼の死を告げてきた。あの莫大な夢想と陶酔と自尊心の荷が、とう...
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・宮本百合子 十四日祭の夜 (青空文庫)
人のためにもこの祭りの日と夜とを一きわ華やかにしつらえている贅沢な並木道通りからはずれ、暗いガードそばという場末街の祭の光景は、その片かげに大パリの現実的な濃い闇を添えているだけに、音楽も踊る群集も哄笑も、青や赤の色電燈の下で、実に強烈な感銘を与える。 軋むような、しかも陶酔...
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・種田山頭火 赤い壺 (青空文庫)
てに失望した人——生きていても詰らない、死ぬるのも詰らないと思う人は再び官能の陶酔に帰って来る。そして野良猫が残肴を漁るように、爛れた神経の尖端で腐肉の中を吸いまわる。彼は闇にうごめく絶望の影である。しか...
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ーヨークですばらしい成功をおさめているという日本人画家国吉氏の作品の写真をみた時も感じたし、先ごろ注目された「アメリカ交響楽」をきいても感じられたことでした。 パール・バックは、文明の新しさに自分から陶酔している状態としてみているらしいけれども、客観...
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・岸田國士 文芸銃後運動 ——各地講演旅行の目標—— (青空文庫)
と時代の表現を身につけた一種の詩人であつてもらひたいと私はかねがね思つてゐるのである。 文学者は幸ひにして、時代の言葉をもつて自己の信念と理想とを語る術を心得てゐる。国民はその言葉を、自分みづからの言葉として聴くであらう。そこには自己陶酔による徒らな鼓舞や激励や叱咤はない代り、政府...
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・宮本百合子 文学は常に具体的 ——「国民文学」に望む—— (青空文庫)
ゆる人々によって承認されている。雄壮という資質は腕力的ということでないのは知れきったことであるし、真の雄壮は、感傷的な自己陶酔を最も厭い嫌って、真実を愛そうとする天質であることも、言を 俟 ( ま ) たないであろう。 国民...
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・坂口安吾 阿部定さんの印象 (青空文庫)
であつたか、名誉も金もいらないといふ一途な性質のものであつたことがうなづける。 思ふに、お定さんに変質的なところはないが、相手の吉さんには、いくらかマゾヒズムの傾向があつたと思ふ。吉さんは恋の陶酔...
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・小熊秀雄全集-8 詩集(7)恋愛詩篇 (青空文庫)
かひ)に 他人(ひと)が戦はなければならぬとき』と 前置きをしてから おづおづと愛の歌をうたひはじめ そしてだんだんと夢中に歌つてゐる 愛のやさしい鎖にかこまれて 闘志をうしなふおそれはある 愛の幸福の陶酔...
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・倉田百三 愛の問題(夫婦愛) ——生命の法に随う—— (青空文庫)
生活でなくては不都合だ。それが夫婦生活を固定させた大きな条件なのだから、したがって、夫婦愛は子どもを中心として築かれ、まじめな課題を与えられる。恋愛の陶酔から入って、それからさめて、甘い世界から、親としてのまじめな養育、教育...
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・萩原朔太郎 ラヂオ漫談 (青空文庫)
い旋律や和声からして、快よい陶酔と恍惚とを求めるのだ。決して「芸術的威権の気分」を味ふためではない。然るに音楽会情調といふ奴は、実に芸術の崇高的厳粛性を漂はして、気分的に強制してくるのだ。その為に僕等は悪くかたくなり、へん...
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・宮本百合子 最近悦ばれているものから (青空文庫)
書く寓話は地上のものではないようにさえ見えるのである。 けれども、其なら彼はその耽美の塔に立て籠って、夕栄の雲のような夢幻に陶酔していると云うのだろうか、私は単純に、夢の宮殿を捧げて仕舞えない心持がする。夢で美を見るのと、醒め...
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・坂口安吾 いづこへ (青空文庫)
かゝる陳腐な魂と同列になり下ることを好まなかつた。私が女に「遊ばう」と一言さゝやけばそれでよい。そしてその次に起ることはたゞ通俗な遊びだけで、遊びの陶酔を深めるための多少のたしなみも複雑さもない。たゞ安直な、投げだされた肉慾があるだけだつた。 さう...
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・佐藤垢石 探巣遅日 (青空文庫)
めていたことがあった。 西の空には遙かに、浅間山が薄い煙を越後の方へ 靡 ( なび ) かせていた。雲雀の雄親は子供へ餌をやる寸暇を 盗 ( ぬす ) んで自慢の美声に陶酔するのであろうか。高い空で快く啼いている。黄色...
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・松濤明 ピークハンティングに帰れ (青空文庫)
として中途で放棄するかに精魂を傾ける悦びは、悪場そのものに陶酔する種類の悦びとは自ら異なる。描くことの悦びではなく、描き上げることの悦びである。感覚的な悦びでなく理念的な悦びである。 踏みならされた登山道を、十年...
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・太宰治 芸術ぎらい (青空文庫)
こそ、筋書どおりじゃないか。あまりに、ものほしげで、閉口した。「芸術的」 陶酔 ( とうすい ) をやめなければならぬ。始めから終りまで「優秀場面」の連続で、そうして全体が、ぐんなりしている。「重慶...
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・夢野久作 道成寺不見記 (青空文庫)
子の中で身体を曲げて鐘を見た。鐘が手に届かない位高かったのを見事に飛んだ……云々の二項で、当日の出来がゾッとするほどハッキリとわかった。六平太氏の覚悟と実さんの覚悟が、決死以上に陶酔していた心境が、今で...
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・豊島与志雄 春の幻 (青空文庫)
に華かでまた淋しいか! そして上には、日の光の曇った盲いた空が、余りに強い光や風を防ごうとするかのように、軽やかではあるが低く狭く垂れている。息苦しい陶酔が地上を支配する。自分の舞に眼の眩んでる蝶が、物狂...
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・佐藤垢石 越後の闘牛 (青空文庫)
牛は左右へ遠く分けられた。人々は、陶酔からさめてほっとした。 四 前頭級の牛でさえ、凄絶の角闘である。これが横綱級にまで取り進んだら、どんな猛争をするであろうと、興味は次第に増すばかりである。 十数番、取り...
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・天主閣の音 (青空文庫)
た。そうして時々笑いかけさえした。媚に充ち充ちた態度であった。もし宗春が彼女の美に、幻惑陶酔すること無く、観察的に眼を走らせたとしたら、彼女が腹に一物あって、彼を魅せようとしていることに、屹度(きっと)感付...
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・梶井基次郎 ある崖上の感情 (青空文庫)
そのなかに見る半ば夢想のそして半ば現実の男女の姿態がいかに情熱的で性欲的であるか。またそれに見入っている彼自身がいかに情熱を覚え性欲を覚えるか。窓のなかの二人はまるで彼の呼吸を呼吸しているようであり、彼はまた二人の呼吸を呼吸しているようである、そのときの 恍惚 ( こうこつ ) とした心の陶酔...
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・岸田國士 青年の夢と憂欝 ——力としての文化 第五話 (青空文庫)
の主観が創り出し、拡大していくものだとする説もあるくらゐで、かうなると、恋愛といふものは、一種の自己陶酔を意味することになります。恋愛は熱病なりと断じた一作家の言葉も、あながち極端だとは云へなくなるのです。 しか...
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・国枝史郎 鴉片を喫む美少年 (青空文庫)
に当選した会員の女が、これも最初風呂へ入り、体を洗いお化粧をし、それから男の寝ている部屋へ、導かれて侵入する。 もうその後は書く必要はあるまい。 さて、すっかり陶酔してしまうと、又女は風呂へ入り、綺麗に汗と 膏 ( あぶ...
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・坂口安吾 恋をしに行く(「女体」につゞく) (青空文庫)
やうな女の居間にしては一つだけ足りないものがあつた。ピアノである。谷村は音楽を好まなかつた。音楽は肉慾的だからであり、音楽の強ひる恍惚や陶酔を上品に偽装せられた劣情としか見ることができなかつたからである。素子はショパンが好きであつた。その陶酔...
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用例の品詞分類
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