「柔らかい」を含む用例
・梶井基次郎 愛撫 (青空文庫)
ピカピカしている。 硬 ( かた ) いような、柔らかいような、なんともいえない一種特別の物質である。私は子供のときから、猫の耳というと、一度「切符切り」でパチンとやってみたくて 堪 ( たま ) らなかった。これ...
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・佐藤垢石 香気の尊さ (青空文庫)
人に好まれるのは清淡の味もさることながら元来特有な高い香気にあるのであるから、香気と渋味を尊ぶ腸を棄てては鮎を理解しないも甚だしい。また頭と骨にも特別な香気がある。これは落ち鮎頃のかたくなったのでは口にできないが、七、八月のまだ柔らかい頃には、頭も...
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・北大路魯山人 甘鯛の姿焼き (青空文庫)
されているのがある。白皮とは普通のように皮が赤くなく、薄桃色とか、白いものをいうのであって、東京の魚河岸に行くと普通のたいの二倍、三倍の値がしている。それだけに非常にうまい魚である。肉が柔らかい...
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・坂口安吾 麓 (青空文庫)
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・佐藤垢石 すっぽん (青空文庫)
ぽんに絹の端を 咬 ( くわ ) えさせておいて、首の伸びたところをその付け根から 截 ( た ) ち落とし、続いて甲羅を剥いでゆくのは、当たっていないのである。まず甲羅の裾の柔らかいところを掴んで俎上に運び、腹の...
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・小熊秀雄全集-4 詩集(3)小熊秀雄詩集1 (青空文庫)
しり出るものの為めに、 讃歌をうたへ 白きものであつて、且つ甘きものの為めに 牛よ、お前はよく食ひ、よく眠る、 熱心に反芻し、 そしてありありとお前の額には、 苦痛の色を漂はす、 私はお前を、いとしいと思ひ もし私が柔らかい...
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・佐藤垢石 父の俤 (青空文庫)
て、竿を石の上へ倒しておいて、私と並んで小石の上へ 胡座 ( あぐら ) したのである。 五月の真昼は、何とすがすがしい柔らかい風が吹くことであろう。小石原から立つ 陽炎 ( かげろう ) がゆ...
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・寺田寅彦 凩 (青空文庫)
の深山から出て何処の幽谷に消え去るとも知れぬこの破壊の神は、あたかもその主宰者たる「時」の仕事をもどかしがっているかのように、あらゆるものを乾枯させ粉砕せんとあせっている。 火鉢には一塊の炭が燃え尽して、柔らかい白い灰は上の 藁灰 ( わらばい ) の圧...
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・上村松園 想い出 絵の道五十年の足跡を顧みて (青空文庫)
頃京都画壇再興の為に出来ました画学校に入れて貰いました。河原町御池、今の京都ホテルの処に建物がありまして、土手町の府立女学校校長を兼ねました吉田秀穀という先生が校長で、生徒は百人余り、組織は東西南北の四宗に別れていまして、東宗は柔らかい...
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・寺田寅彦 青衣童女像 (青空文庫)
いったようなものの陰惨にグロテスクな映画がおびえた空想の 闇 ( やみ ) に浮き上がり、しゃがれ声をふりしぼるからくり師の歌がカンテラのすすとともに乱れ合っていたころの話である。そうして東京みやげの「江戸絵」を染めたアニリン色素のなまなましい彩色がまだ柔らかい...
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・紫式部 與謝野晶子訳 源氏物語 花散里 (青空文庫)
がなつかしい香を送る。女御はもうよい年配になっているのであるが、柔らかい気分の受け取れる上品な人であった。すぐれて時めくようなことはなかったが、愛すべき人として院が見ておいでになったと、源氏はまた昔の宮廷を思い出して、それ...
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・杉田久女 女流俳句を味読す (青空文庫)
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・島崎藤村 装釘に就て 『春』と『家』及び其他 (青空文庫)
英作さんが、丁度西洋から帰つたので、和田氏に頼んで、白に藍を配して斜に曲線の併行した図案を描いて貰つて、表紙にし、中に四枚だけ挿画を描いて貰つたが、殊に『若菜集』の中に挿んだ、柔らかい春の 私語 ( さゝ...
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・原民喜 魔のひととき (青空文庫)
はいつもの路を歩いてゐるのだらうか。この路を歩いてゐるのは僕なのだらうか。僕はほんとに存在してゐるのか。眼の前にある靄を含んだ柔らかい空気は優しく優しく顫へてくる。僕のなかにも何か音楽のやうなものがふるへだす。これ...
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・小熊秀雄 小熊秀雄全集−15− 小説 (青空文庫)
使ひや、を殊更に注意をして歩きだした、こゝろもち男よりも足早に先にたつて歩いてゐる娘さんの肩のあたりの柔らかい曲線を見てゐると、それが様々の姿態をつくりだして、しまひには見てゐる男の眼がぐら/″\と日...
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・小熊秀雄 味瓜畑 (青空文庫)
やりと照らしだされて背の高い幽霊のやうにたつてゐた。 男はいろ/\の身振や、言葉使ひや、を殊更に注意をして歩きだした、こゝろもち男よりも足早に先にたつて歩いてゐる娘さんの肩のあたりの柔らかい曲線を見てゐると、それが様々の姿態をつくりだして、しま...
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・林芙美子 幸福の彼方 (青空文庫)
しいほど子供に逢ひたくて仕方がなかつたのだ。黄梅の激しい戦ひの時であつた、信一は小学校の窓からそつと敵の状勢を眺めてゐた。立つてゐてはいまにあぶないよ。お父さんあぶないですよツと、さかんに、空中で赤ン坊の柔らかい...
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・寺田寅彦 病中記 (青空文庫)
が代りに来て枕元に控えていた。 柔らかい毛布にくるまって上には志んの持って来た着物をかけられ、脚部には 湯婆 ( ゆたんぽ ) が温かくていい気持になってほとんど何も考えないでウトウトしていたが眠られはしなかった。寒く...
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・芥川龍之介 青年と死 (青空文庫)
しいのだわ。 ——こっちへいらっしゃいな。 ——まだ、そこにいらっしゃるの。 Bの声 お前の手は柔らかいね。 ——いつでも可哀がって頂戴な。 ——今夜は 外 ( よそ ) へいらしっちゃあいやよ。 ——きっ...
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・佐藤垢石 那珂川の鱸釣り (青空文庫)
の子など小物釣りにはいささか飽いてきたようである。なるほど、おいかわや鮭の子釣りには、小味の趣があって人に知れない楽しみを、柔らかい竿先に感ずるのであるけれど、そればかりやっていたのでは世間が狭い。なにか、趣の...
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・寺田寅彦 異郷 (青空文庫)
かえて黙ってその後をついて行った。 丘を下りて桜の咲き乱れた畑地の中の 径 ( みち ) をあるいた。柔らかい砂地を踏みしめながらあるいているうちに、かつて経験した事のない不思議な心持になって来た。それ...
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・寺田寅彦 まじょりか皿 (青空文庫)
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・寺田寅彦 五月の唯物観 (青空文庫)
までは藤棚から干からびた何かの小動物の尻尾のように垂れていた花房が急に伸び開き 簇生 ( そうせい ) した 莟 ( つぼみ ) が破れてあでやかな紫の雲を棚引かせる。そういう時によく武蔵野名物のから風が吹くことがあってせっかく咲きかけた藤の花を吹きちぎり、ついでに柔らかい 銀杏...
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・寺田寅彦 蜂が団子をこしらえる話 (青空文庫)
かく美しく出揃った若葉はいつの間にかわるい昆虫のために食い荒らされる。なかんずくいちばんひどくやられるのは薔薇である。羽根が黒くて腰の黄色い小さな蜂が、柔らかい若芽の茎の中に卵を産みつけると、やがて茎の横腹が竪にはじけ破れて幼虫が生れ出る。これ...
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・寺田寅彦 昭和二年の二科会と美術院 (青空文庫)
ために一種サディズムのにおいのあるエロティックな深刻味があって近代ドイツ派の好きな人には喜ばれるかもしれないが、甘みのすきな私にはこれよりももう一つの「裸婦」のほうが美しく感ぜられる。やはり鋭いものの中に柔らかい甘みがある。この絵の味は主として線から来ると思う。この...
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・長谷川時雨 夏の夜 (青空文庫)
を輝かして、 ——一匹くれない? 小さい奴は柔らかいからハンドバツグにしても好いし、もすこし大きければ、靴と鞄だ。 と慾ばつたことをいつてゐる。それを聞くと私はクツクツと笑つた。 ——貰つて來た大石さんも、小さ...
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・長谷川時雨 大門通り界隈一束 続旧聞日本橋・その一 (青空文庫)
んだ髪をきらっていたから、 菅糸 ( すがいと ) だって、 葛引 ( くずひき ) だって、 金紗 ( きんしゃ ) ( 元結 ( もっとい ) ぐらいな長さの、金元結の柔らかい、 縒 ( より...
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・徳永直 麦の芽 (青空文庫)
ョムさんは、ハッ、ハッ息を切らしながら、天秤棒の上に腰を下ろすと、何よりもさきに青黒い麦の芽に眼を配った。 黒くて柔らかい 土塊 ( つち ) を破って青い小麦の芽は三寸あまりも伸びていた。一団、一団...
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・會津八一 支那の明器 (青空文庫)
の偶像だけしか無かつた支那美術の畠に、それこそ本統に人間らしい、柔らかい感じの、気のおけない人間生活の彫刻が現はれたわけである。そこで美術上からも考古学上からも、或は唯の物好きからも、欧米人などが、こと...
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・佐藤垢石 海豚と河豚 (青空文庫)
噌に醤油漬けの焼物。これでもか、これでもかというあんばいである。だが、私はなかなかへこたれない。晒し鯨の酢味噌と異なって生鯨には、肉そのものに清快な風趣がある。メンチボール、これは温かい上に柔らかで、何と...
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