「朦朧」を含む用例
・岡本綺堂 河童小僧 (青空文庫)
ドンドンには前記の如く河童小僧さえ住むと云う位、其の向う岸即ち内藤家の 邸 ( やしき ) の裏手に当って、影とも分かず煙とも分かぬ朦朧たる物が、薄墨の絵の如くに茫として立迷っているのを、通行人が認めて不思議不思議と云い囃す、 其 ( そ ) の評...
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・日清戦争異聞(原田重吉の夢) (青空文庫)
と長い時間がたった……。目が醒(さ)めた時、重吉はまだベンチにいた。そして朦朧(もうろう)とした頭脳(あたま)の中で、過去の記憶を探そうとし、一生懸命に努めて見た。だが老いて既に耄碌(もうろく)し、その上酒精(アルコール)中毒...
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・キリスト教とリベラリズム (Wikisource)
自身をして自ら決定せしめんが為である。今日論点を判然と明示する事は決して人気のある仕事ではない。多くの人々は、フランシス・エル・パトン博士が適切に言った様に「視界の朦朧たる状態に於いて」知的論戦をなす事をする。しか...
ja.wikisource.org/wiki/キリスト教とリベラリズム
・坂口安吾 山麓 (青空文庫)
私の知らなかつた、不思議に生き生きと豊かな色彩を含んだ新鮮さ、そして新鮮な力を、私はその柔かな音の中に感じた。 私は朦朧とした薄明の中へ騒ぎ立つ狼狽の瞳を紛らせて、私の胸を、私の窶れた頬肉を斯んなにも冷え/\とあ...
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・宮本百合子 本棚 (青空文庫)
はひろい池で、赤い夕陽がさしている。向うの黒い森も池の水の面も、そこに浮んでいる一つのボートも、気味わるく赤い斜光に照らされて凝っとしている中に、何かが立っている。青白いような顔半分がこっちに見えるのだけれど、そのほかのところは朦朧...
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・坂口安吾 逃げたい心 (青空文庫)
完成に期待をかける人物はまさしく地上に一人もなかつた。朦朧と書斎にとぢこもつてゐるばかりで、文字一つ書いてゐるわけではないのだと人々は笑ひながらひどい噂をするぐらゐで、何を書いてゐるのやらその題目さへ殆んど人々は忘れてゐたが、きくところによれば「埋も...
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・芥川龍之介 道祖問答 (青空文庫)
とその翁を見た。翁は 経机 ( きょうづくえ ) の向うに白の 水干 ( すいかん ) の袖を掻き合せて、 仔細 ( しさい ) らしく坐っている。 朦朧 ( もうろう ) とはしながらも、 烏帽子 ( えぼ...
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・泉鏡花 雨ばけ (青空文庫)
( とう ) の影も 漏 ( も ) れずに 寂 ( さみ ) しい。 前途 ( ぜんと ) を 朦朧 ( もうろう ) として 過 ( よぎ ) るものが見える。 青牛 ( せいぎゅう ) に乗...
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・聖三稜玻璃 (青空文庫)
きは見えざる玩具(おもちや)を愛す。猫の瞳孔(ひとみ)がわたしの映畫(フヰルム)の外で直立し。朦朧なる水晶のよろこび。天をさして螺旋に攀ぢのぼる汚れない妖魔の肌の香。 いたづらな蠱惑が理性の前で額づいた…… 何と...
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・唯物史觀と文學 (青空文庫)
史觀を信じつつ藝術を創作し鑑賞することが出來るのである。ただ凡俗なセンチメンタリズムが文學の名に於て歴史の事實を朦朧化し、二十世紀の現代に眼を閉じさして民衆を昔し昔しのお伽噺(とぎばなし)につれてゆこうとする時、唯物史觀は儼然(げんぜん)たる...
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・坂口安吾 群集の人 (青空文庫)
いふ建物に挟まれた一つの道へにはかに曲つた。そこはかなり広さもあるアスファルトの並木路で、人気なく死んだやうに静かであつた。それから青年はさういふ道を幾曲りとなく曲つて、軈て遂にやや明るさの花々しい電車路——それとても睡むたいやうに朦朧...
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・織田作之助 勧善懲悪 (青空文庫)
ももひき ) 、黒い 饅頭笠 ( まんじゅうがさ ) といういでたちで、南地溝の側の 俥夫 ( しゃふ ) の溜り場へのこのこ現われると、そこは 朦朧俥夫 ( もうろうしゃふ ) の巣で、たちまち丹造の眼はひかり、彼等...
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・岡本かの子 唇草 (青空文庫)
千代重は非実用的な女の面倒を見るのに適している風だった。 手足のないような若い主婦と、すべてを引受けて捌いてやる青年の助手。この間に事が起りそうで、案外さらさらと日常が過ぎて行った。 栖子はやっぱり尾佐を想っていた。彼は今こそ性格が朦朧となりつつあれ、溌剌...
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・夏目漱石 木下杢太郎著『唐草表紙』序 (青空文庫)
に於てもあなたは矢張り同じ筆法で読者の眼を 朦朧 ( もうろう ) と 惹 ( ひ ) き 付 ( つ ) ける事が 好 ( すき ) であるように見受けました。要するに水でも 樹 ( き ) でも、人の顔でも 凡 ( すべ ) てあ...
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・蒲原有明 仙人掌と花火の鑑賞 (青空文庫)
はこんな話をよくわたくしに聞かしてくれたが、一つには記憶の朦朧と混雜とを恐れるがため、また一つには時世のちがつた新代の若者の心に、その當時感じたこゝろもちが如何にも傳へにくいがために、いつもそんなをりには、どことなく漠然とした、耻ぢ...
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・宮本百合子 雨の昼 (青空文庫)
の白いヴェイルを裾長くひいた女の後姿が 朦朧 ( もうろう ) と消えこむのを、その天井の下の寝台で凝っと暗鬱な眼差しをこらして見つめている女がある。順をおいてみて行ったら、それが母の再婚に苦しむ娘イレーネの顔であった。 「早春」とい...
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・宮本百合子 蠹魚 (青空文庫)
面倒な漢文で訳がついている。 第二は、可なり朦朧とした Creature と Beings の説明で、第三から人体、衣食住に関する常識以下、博物、地文、産業、経済、物理、生理にまできっちり七行ずつ、触れている。そし...
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・坂口安吾 流浪の追憶 (青空文庫)
のダンスホールは設備こそ匹敵するが踊る人は数へる程しかゐないからちつとも陽気ぢやない。朦朧と疲労して外へでると、暫く沈黙をつづけて歩いたのち、急に女が私は自殺のことばかり考へて生きつづけてゐると言ひだした。だけど一人ぢや死にたくないと言つたのである。自殺は好きぢやないと私は答へた。そし...
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・坂口安吾 Pierre Philosophale (青空文庫)
は自分の体臭から夥しいアスピリンの悪臭を嗅ぎ出した。退屈してぼんやり見おろした薄明の街で、丁度暮方の灯が朦朧と光りはぢめたのだ。黄昏が語る安らかな言葉のやうに、それは華麗な静かな靄で呂木の心をおしつつみ、遥かな放心に 泌 ( し ) みてきた。ほど...
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・高村光太郎 能の彫刻美 (青空文庫)
於ける動きのあらゆる場合がこの性質を持つてゐること言をまたない。「道成寺」の乱拍子のやうなところは素より、随分はげしい所作の時でも、その造型性は厳然と保たれる。「藤戸」の怨霊が杖をはげしく振つて自分の脇のあたりに突きさすやうな動きをするが、さういふ時身体全体は依然として朦朧...
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・寺田寅彦 野球時代 (青空文庫)
に現在の計測を精鋭にゆきわたらせることができたとしても、過去と未来には末広がりに 朦朧 ( もうろう ) たる不明の 笹縁 ( ささべり ) がつきまとってくる。そうして実はそういう場合にのみ通例考えられているような「因果」とい...
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・泉鏡花 三尺角拾遺 (木精) (青空文庫)
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・石川三四郎 百姓日記 (青空文庫)
な青物を常に食膳に載せることが出来る。主として菜食主義の生活をするものには、之は必要欠く可からざる仕事であつた。 先づ、こんな風にして、兎に角、五六年の間、殆んど自給自足の生活を送つて来た。此百姓生活の日々の出来事を朦朧...
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・中島敦 夾竹桃の家の女 (青空文庫)
上りの私の身体が女のさういふ視線に値するかどうか、又、熱帯ではこんな事が普通なのかどうか、そんな事は一切判らないながら、とにかく現在のこの女の凝視の意味だけは此の上なくハツキリ判つた。女の浅黒い顔に、ほのかに血の色が上つて来たのを私は見た。かなり朦朧...
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・田中貢太郎 妖怪記 (青空文庫)
間へ足を踏み入れてみると、形の朦朧とした小坊主が火のついた木の枝を持って立っていた。お作はびっくりして女の児を負ったなりに土間へつくばった。そして、 戸外 ( そと ) へ走りでようとして起きながら見ると、もう...
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・夢野久作 ビール会社征伐 (青空文庫)
しい奴だと思っている筆者を皆して引っぱって、重役室に挨拶に行った。仕方なしに筆者が頭を下げて、 「どうも今日は御馳走様になりまして」 と言って切り上げようとすると、背後から酔眼朦朧たる仮装マネージャーが前に出て来て、わざ...
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・岡本かの子 渾沌未分 (青空文庫)
ちた土が不規則なスロープになって水底へ 影 ( かげ ) をひくのが 朦朧 ( もうろう ) と目に写って来た。 この辺一体に 藻 ( も ) や蘆の古根が多く、密林の感じである。材木 繋留 ( けいりゅう ) の太い古杭が 朽 ( く...
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・芥川龍之介 神神の微笑 (青空文庫)
は 朧 ( おぼろ ) げな光の加減か、妙にふだんよりは優美に見えた。それはまた事によると、祭壇の前に捧げられた、 水々 ( みずみず ) しい 薔薇 ( ばら ) や 金雀花 ( えにしだ ) が、匂っ...
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・久生十蘭 海豹島 (青空文庫)
い陰鬱な島の輪郭がぼんやりとあらわれだしてきた。しかし、それも束の間のことで、瘴気のような不気味な霧がまた朦朧と島の周りを立ち迷いはじめ、あたかも人間の眼に触れるのを厭うように、急速にそれを蔽い隠し、姿をあらわしたときとおなじように、漠々...
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ルの 近郊 ( プロヴァンス ) に近い平坦な野原に朦朧とたたずむ 橄欖 ( オリーブ ) の 矮林 ( わいりん ) のそばを 轟々 ( ごうごう ) たる疾駆を続けてゆく。 とある 隔室 ( コン...
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用例の品詞分類
他の用例のページ
Wikisource センチメンタリズム Creature 朦朧となりつつ アスファルト ダンスホール ノンシャラン プロヴァンス マネージャー リベラリズム アスピリン アルコール キリスト教 フランシス 事によると 宮本百合子 岡本かの子 木下杢太郎 田中貢太郎 石川三四郎 神神の微笑 織田作之助 聖三稜玻璃 迷っている 面倒を見る 高村光太郎 と言って に当って に於いて イレーネ オリーブ スロープ ドンドン ヴェイル 久生十蘭 二十世紀 切り上げ 勧善懲悪 唐草表紙 坂口安吾 夏目漱石 夢野久作 天井の下 寺田寅彦 岡本綺堂 御馳走様 日清戦争 末広がり 渾沌未分 群集の人 自給自足 菜食主義 蒲原有明 酔眼朦朧 野球時代 この間 パトン ビール ベンチ ボート 一つ書 一人も 一体に 不気味 中島敦 乱拍子 仙人掌 値する 兎に角 出て来 出来事 分かず 分かぬ 努めて 可なり 地中海 夾竹桃 安らか 実用的 小坊主 懸命に 於ける 束の間 此の上 泉鏡花 海豹島 烏帽子 眼差し 矢張り 知らな 窶れた 衣食住 要する 謝肉祭 豊かな 通行人 道中記 道成寺 避寒地 重役室 金雀花 饅頭笠 黒い森 一人 一切 一生 三尺 不明 並木 中毒 主婦 五六 人体 人気 人物 人間 今日 仔細 仕事 仕方 仮装 会社 体臭 優美 儼然 全体 内藤 再婚 凝視 凡俗 出来 判然 前記 前途 創作 助手 匹敵 千代 半分 南地 博士 博物 原田 厳然 唯物 問答 因果 土間 地上 地文 場合 夕陽 妖怪 妖魔 完成 密林 寝台 小僧 山麓 常識 平坦 建物 彫刻 彼等 征伐 後姿 思議 性格 性質 怨霊 悪臭 戸外 所作 手足 拾遺 挨拶 支那 放心 文字 斜光 新代 日常 日記 早春 明示 時世 時間 暗鬱 書斎 期待 朦朧 木精 未来 本棚 材木 橄欖 歴史 民衆 水干 水底 水晶 決定 沈黙 河童 流浪 溌剌 溜池 漢文 灰色 煙草 熱帯 物理 狼狽 玩具 現代 理性 生理 産業 異聞 疲労 疾駆 瘴気 百姓 直立 瞳孔 知的 矮林 祭壇 第三 第二 笹縁 筆法 筆者 精鋭 経机 経済 繋留 耄碌 背後 自分 自殺 自身 色彩 芥川 花火 若者 華麗 薄墨 薄明 薔薇 藤戸 螺旋 蠱惑 蠹魚 裏手 裾長 規則 視界 視線 言葉 計測 記憶 設備 説明 読者 論戦 論点 身体 輪郭 近郊 追憶 通例 造型 過去 酒精 野原 鑑賞 陰鬱 電車 青年 青物 頭脳 題目 食膳 黄昏