「暖か」を含む用例
・寺田寅彦 木蓮 (青空文庫)
緑の焔をあげて燃ゆる小蝋燭を点しつらねたやうにも見える。 紫木蓮は若葉の賑かなイルミネーションの中から派手な花を咲かせる。濃い暗い 稍 ( やや ) 冷たい紫の 莟 ( つぼみ ) が破れ開いて、中からほんのり暖かい薄紫の 陽炎 ( かげろう ) が燃...
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・三好十郎 「地熱」について (青空文庫)
台によく似た北九州の佐賀から唐津と云ふ港町へぬける山道を、金もないのに酒を呑んで、すき腹をかゝへて、ふらふらと半月ばかり歩き廻り、やりきれなくなると、地べたにあふむけに寝ころんで空を眺めた。地べたは非常に冷たいけれど、それは氷の様に邪険な冷たさではない。一番安心してそこに寝てゐられる一種の深い暖か...
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・路傍の雑草 (青空文庫)
間へ掛けた雑巾の跡が直に白く凍る朝なぞはめづらしくない。夜更けて、部屋々々の柱が凍み割れる音を聞きながら読書でもして居ると、実に寒さが私達の骨まで滲透るかと思はれる………。 雪の襲つて来る前は反つて暖かだ。夜に入つて雪の降る日なぞは、雨夜...
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・芥川龍之介 大川の水 (青空文庫)
( か ) ぐともなく嗅いだ 河 ( かわ ) の水のにおいも、今では年とともに、親しく思い出されるような気がする。 自分はどうして、こうもあの川を愛するのか。あのどちらかと言えば、 泥濁 ( どろ...
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・岸田國士 アンリエツトの転地療養日記 (青空文庫)
に着く。はじめて、カメリヤが咲いてゐるところを見る。 外套を脱ぎたいほどの暖かさ。日光が眩しい。 馬車で、町はづれのサナトリウム・サン・モオルへ行く。 あたしたちが案内されたのは、 西班牙 ( スペ...
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・岸田國士 ジヤン・コクトオ作「恐るべき子供たち」 (青空文庫)
と祈願の交錯に終始する人生史の象徴的記録である。 私が、この作品に打たれた理由の一つは、作者が、微塵も正義派的感傷を交へずに、しかも、限りなく暖かい作品を書き得たといふことである。標題の「恐るべき子供たち」は、頁を繰ると共に「愛すべき子供たち」とし...
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・宮城道雄 垣隣り (青空文庫)
は自分の住んでいる周囲の音が懐しいのである。 気候が暖かになると、戸障子を明けるので、近所の音が非常に近くなる。私の住んでいる家の直ぐ裏で、垣一重へだてた向うの家で、いつも年とった御主人の懐しい声が聞こえる。 その方の耳が少し遠いらしく、家人...
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・原民喜 焚いてしまふ (青空文庫)
日は昼前から熱が出て、それに咳なども加はった。私は階下で食事を了へるとすぐ二階の一室に転げて暮した。四時頃になると、西日がガラス戸一杯に差込んで、三畳の部屋は温室のやうに暖かになった。私は日の光に曝された蒲団の上で、本な...
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・宮本百合子 翔び去る印象 (青空文庫)
の太い細い煙筒が玩具のように鮮かにくっきり水平線に立っていた。 空には雲もなく、四辺は森としている。何の物音もしない。 樹林の間はしめっぽくひいやりした。日向に出ると穏やかに暖かで、白い砂利路の左に色づいたメイプルの葉が、ぱっとした褪紅色に燃えていた。空気...
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・杉よ! 眼の男よ! (青空文庫)
魂を攫む眼、 より以上に男を迷はした眼の持主、 『杉よ! 眼の男よ!』 彼の眼光は太陽だ。 暖かくいつくしみて花を咲かす春の光、 燃え焦がし爛らす夏の輝き、 寂寥と悲哀とを抱き 脱がれて汚れを濯ぐ秋の照り、 萬物...
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・正岡子規 雲の日記 (青空文庫)
( とお ) る。朝日薄く南窓を射、忽ちまた 陰 ( くも ) る。午後日影 朗 ( ほがら ) かなり。蕪村忌小会。今日は鴨の機嫌 殊 ( こと ) に好し。 廿五日 日和善し。暖かなり。雲な...
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・長谷川時雨 菜の花 ——春の新七草の賦のその一ツ—— (青空文庫)
時代、またその前々代の、古い人間生活と、菜の花との緊密なつながりを語つてゐる。いま、わたしたちが菜の花を愛するのもさうした祖先の感謝をもつて、心の底に暖かみを感じてゐるのかも知れない。日の光りと、 月光...
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・寺田寅彦 凍雨と雨氷 (青空文庫)
に触れると同時に先ず一部が氷結し、あとは徐々に氷結するのである。 昨年の一月下旬、北米合衆国で数日続いて広区域にわたって著しい凍雨と雨氷があった。その当時の気層の状態を高層気象観測の結果と対照して詳細に調査したものが 彼 ( か...
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・田中貢太郎 尼になった老婆 (青空文庫)
まだ高うございました。風の無い暖かな日で、磯際へかけて溢れていた人の額に、汗が出ると云うような暖かさでございました。もう干潮に近い比で、海苔しびを立てた洲が一面にあらわれておりましたが、その日は干潟へおりて、海苔...
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・岸田國士 暖地の冬から山国の春へ (青空文庫)
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・宮本百合子 草の根元 (青空文庫)
色をして居た空にいつの間にかモヤモヤした煤の様な雲が一杯になってしまって居る。 桜が咲きかけて居るのに、晩秋の様な日光を見て居ると、何となくじめじめした沈んだ気になる。 暖かなので開け放した部屋が急にガランとして見えて、母が居ない家中は、どことなし気が落ちつかない。火が...
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・宮本百合子 大町米子さんのこと (青空文庫)
の日本のよりよい生活の建設のために献身する女性として、十分の厚みと、暖かさと、がんばりとなって来ている。人柄のよさというなかに、大町さんの勉学ぶりがある。これは将来の発展のために、たかく評価されなければならない点だとおもう。民衆の歴史の刻々の推進と、その...
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・坂口安吾 北と南 (青空文庫)
の深さ、郷愁の悲しさ烈しさは一脈通じてゐるといへる。 私は佐藤春夫や井伏鱒二の郷愁に深い共感を覚えがちだが彼等の故郷も郷愁もおよそ私のそれと違つた明るく暖かい南方色にみちてゐる。然し又、私の作品を愛し、特に...
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て数日のうちに母が亡くなったが、この母こそ、女権論者として有名な『婦人の権利の擁護』の著者マリー・ウォルストンクラフト・ゴドウィンで、イギリス無政府主義理論の開祖といわれるウィリアム・ゴドウィンの妻であった。母を失ったマリーは、この父の暖か...
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・大町桂月 川越夜行記 (青空文庫)
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・風狂私語 (青空文庫)
に貧乏したからよけいに寒かったのだろう。しかし、やっと暖かくなってありがたい。冬がなければ春のありがた味はわからん。万事はみんな相対的だ。みんな面白いと思えば面白いし、ツマらんと思えばツマらん。面白いと思えた方が生きているには徳だから、なる...
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・田山花袋 子供と旅 (青空文庫)
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・板倉勝宣 春の上河内へ (青空文庫)
側の窓の中に刻々に移って行く真白な雪の山々を眺めていると、雪の山の不可抗な吸引力は、ジットしていられないほど強くなった。しかし夜行できた寝不足の身体は、今日山に入ることを拒んでいる。はやる心を抑えつつ穂高駅に下車した。迎えにきてくれた寺島寅吉老人と春にしては暖か...
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・寺田寅彦 どんぐり (青空文庫)
を買いに行ったりした。美代はこの夜三時過ぎまで結びごんにゃくをこしらえていた。 世間はめでたいお正月になって、暖かい天気が続く。病人も少しずつよくなる。風のない日は縁側の 日向 ( ひなた ) へ出...
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・岸田國士 衣食住雑感 (青空文庫)
縞のカウスなんかゞ袖から出すぎてゐなければまだしも……。 暖かくなつて、初めて外套を着ずに出た日は、裸で飛び出したほどバツが悪い。靴の大きすぎるのが目立つ。 それはさうと、冬、和服にメリヤスのズボン下を穿いて外に出ると、そのズボン下がどういふ加減か、いや...
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・宮本百合子 金色の秋の暮 (青空文庫)
をしていらっしゃると何だかお気の毒でねえ」 K先生、B学院で総指揮者、家でも総指揮者。 「私は他人のためにばかり生活して自分の生活がない形ですね」といわれたそうだ。 暖かでそれはそれはいい気持。落葉沢山。 昨夜たてたYの咽...
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・宮本百合子 『キング』で得をするのは誰か (青空文庫)
一枚に雀一羽描いて何百円とかとる竹内栖鳳などというブル絵描きのあやしげな複製でもおとなしくはりつけて、気をまぎらして居れということらしい。 頁をめくると、真先に出て来るのは「お祖父さんのお医者様」という題で、暖かそうな机の前で白髪の爺さんが、赤い...
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・宮本百合子 結婚問題に就て考慮する迄 (青空文庫)
く柔かく、春めいて居る。黝んだ木立ちの間に、暖かく灯がちらつき、耳をすますと、溶け出した水の滴が、ひそやかに雨どよの中を流れて行く音さえ聞える。 しめっぽい、しっとりとした、楽しげな早春の夜。 ○緑色...
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・宮城道雄 声と性格 (青空文庫)
の方の寒い地方へ行くと、人々はあまり口を開かずに声を発する。また、極く南の暖かい方へ行くと、口を開いて話し、更に南洋の方へ行くと、裸体で生活しているように、どこか声に締りがないような気がする。 底本:「心の調べ」河出...
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・宮城道雄 春雨 (青空文庫)
私は仏像や、その他いろいろの物をさわって楽しむ。それが冬の寒い時など、細かなところをさわるのに、指先の感じがにぶるので、火にあぶったり、摩擦したりして、撫でるのであるが、それが暖かくなると、らく...
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用例の品詞分類
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