「押入」を含む用例
・豊島与志雄 白血球 (青空文庫)
の高窓から射す日の光が、 薄 ( うっす ) らとぼやけてゆく頃、秋子は何気なくその室にはいって、押入の前に佇むと、ぞーっと底寒い気がして、ぶるぶると身体が震えた。それが変に不気味だった。然し押入を開けてみても、清の...
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・坂本龍馬 手紙 慶応三年三月二十日 三吉慎蔵あて (青空文庫)
容堂) ) ニ 謁 ( エツ ) し候所、実ニ同論ニて土老侯も三月十五日までに大坂まで被 レ 出候よし、薩侯にも急 大坂まで参り土老と一所に京方に押入、 先 ( (まづ) ) 日州の大本を立候との事、西郷...
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・林芙美子 瀑布 (青空文庫)
折りの二方が障子で、片方は襖、奥は、三尺の床の間に [#「床の間に」は底本では「床の間の」] 一間の押入れがついてゐる。障子も襖も新しいせゐか、案外こざつぱりした部屋だつた。紫檀まがひの卓子の前へ坐ると、隣室から、女は...
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・夢野久作 犬と人形 (青空文庫)
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・太宰治 春 (青空文庫)
来襲の時には、妻が下の男の子を背負い、私は上の女の子を抱いて、防空 壕 ( ごう ) に飛び込みます。先日、にわかに敵機が降下して来て、すぐ近くに爆弾を落し、防空壕に飛び込むひまも無く、家族は二組にわかれて押入...
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・林芙美子 絵本 (青空文庫)
上に冷えた、土鍋のふちに、もう蟻が四五匹這ひあがつてゐる。高い樹で蝉が啼き始めた。 お婆さんは湿つた押入れをあけて、袋の中から書留と判こを出すと、杖をついて町の郵便局へそろそろ歩いて行つた。郵便局の事務員が「おば...
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・牧野信一 地球儀 (青空文庫)
だん悪くなるばかり……」 母は押入を片付けながら言った。続けて、そんな気分を振り棄てるように、 「こっちの家はほんとに狭くてこんな時にはまったく困ってしまう。第一どこに何がしまってあるんだか少しも分らない」などと 呟 ( つぶ...
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・岡本綺堂 半七捕物帳 山祝いの夜 (青空文庫)
は身をすくめながら 頭 ( かぶり ) をふった。 「それじゃあ連れの男を識っているのか」 女中はやはり識らないと云った。彼女はおどおどして始終うつむき勝ちであったが、ときどきに床の間に列んだ押入...
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・坂口安吾 白痴 (青空文庫)
は昔この家の肺病の息子がねていたそうだが、肺病の豚にも贅沢すぎる小屋ではない。それでも押入と便所と戸棚がついていた。 主人夫婦は仕立屋で町内のお針の先生などもやり(それ故肺病の息子を別の小屋へ入れたのだ)町会の役員などもやっている。間借...
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・大阪圭吉 銀座幽霊 (青空文庫)
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・夢野久作 骸骨の黒穂 (青空文庫)
団から乗出して冷めたくなっているのが、 老爺 ( おやじ ) の心安い巡回の巡査に発見されたので、色々と死因が調べられたが別に怪しい点は一つも無かった。 ただ一つ、盗まれたものはないかと 家中 ( うちじゅう ) を調べているうちに、押入...
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・鈴木三重吉 千鳥 (青空文庫)
か ) しくなる。床の上に、小さな花瓶に 竜胆 ( りんどう ) の花が四五本挿してある。夏二た月の 逗留 ( とうりゅう ) の間、自分はこの花瓶に入り替りしおらしい花を絶やしたことがなかった。床の横の押入...
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・坂口安吾 文学のふるさと (青空文庫)
女の手をひいて野原を一散に駈けだしたのですが、稲妻にてらされた草の葉の露をみて、女は手をひかれて走りながら、あれはなに? と尋ねました。然し、男はあせっていて、返事をするひまもありません。ようやく一軒の荒れ果てた家を見つけたので、飛びこんで、女を押入...
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・横光利一 詩集『花電車』序 (青空文庫)
リ・ルッソオの絵だった。それも汚ならしく皺のよった、たった一枚の版画で、押入れの埃の底から出て来たものだ。私はぽんぽんと埃を払ひ、こんなところにこんな絵が、と、両手に支へ、証書を読むやうに眺めたり、壁へ...
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・原民喜 遺書 (青空文庫)
封された) 藤島宇内氏宛 大変厄介なことをお願ひしますが、よろしく処理して下さい。 佐々木基一君 講談社の大久保君 鈴木重雄君の三人にはすぐ連絡しておいて下さい 渡すものが押入のなかにあります 風呂...
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・蘭郁二郎 蝕眠譜 (青空文庫)
い箱のようなものであった。 その中に、大きな寝台が一つ、書物のとりちらかされたテーブルが一つ、椅子が一つ、タッタそれだけの世界であった。その外目につくのは部屋のつきあたりにある一間位の押入とテーブルの本の間に挟まって、かす...
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・父 (青空文庫)
んだなと子は思ふと、気が浮いて、 「何処へ行くの?」と訊いた。 母は黙つて押入を開けると、下唇を咬んで蒲団の載つてゐるまま長持の蓋を上げた。 「行くの?」と子は又聞いた。 母は黒く光つた丸帯を出して、 「お父...
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・豊島与志雄 待つ者 (青空文庫)
だけがなおじっと待っている。 また、硝子戸に半ばカーテンを引かれた室内で、若い女が静に動いている。奥働きの女中であろうか。押入の襖を開いて、寝床をのべているのだ。柔かな布団、真白なシーツ、恐らくは、枕の...
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・海野十三 電気風呂の怪死事件 (青空文庫)
てるんじゃないか。ええ、それより早く蒲団を持って来いというに——」 いずれも むしょう に昂奮した口調で、こんなことを 応酬 ( おうしゅう ) したのち、女房は返事も口の中でして奥の間へ飛び込んだ。押入から蒲団を 曳...
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・坂口安吾 南京虫殺人事件 (青空文庫)
子の腕といわず股といわず無数の注射の跡で肉が堅くなっているのだ。麻薬の常習者であった。押入の中からは、それを証拠立てるモルヒネのアンプルが多数現れた。 たぶん二人の犯人は、奈々子に麻薬を注射してやると云って、より強烈なものを注射したのだろうと考えられた。しか...
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・三好十郎 彦六大いに笑ふ (青空文庫)
からは深夜の盛り場のネオンが低く覗いてゐる。下手横に階下へのドア。室内上手の部分は一段高くなつて畳敷になり、その奥はカーテンで仕切られて見えず、右の隅は押入れ、カーテンと押入れの間は狭い通路(裏梯子へ)、二台の球台中一台だけが正常な位置(下手...
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・海野十三 ネオン横丁殺人事件 (青空文庫)
という厳重なしまりをしてある室なんだろう。 「君、鍵はありませんか」 女は布団に顔を伏せたまま、かぶりを振るばかりだった。帆村は、ジリジリしてくる心をやっと押えつけながら、室のうちを、あちこちと見廻したが、襖がすこし開きかけている押入...
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・原民喜 災厄の日 (青空文庫)
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・原民喜 原爆回想 (青空文庫)
かなり興奮していたようだが、気丈夫なところがあった。この元気な姿を見て私は一層気持がはっきりした。 私は自分が全裸体でいるのに気づいて苦笑した。何か着るものはないかと妹を顧ると、妹は壊れた押入から、うま...
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・坂口安吾 通俗作家 荷風 ——『問はず語り』を中心として—— (青空文庫)
を画くに当つて人の子の宿命に身を以て嘆くことも身を以て溺れることも身を以てより良く生きんとすることもない。単なる戯作の筆と通俗な諦観のみではないか。 稀れに不貞に対する憎しみが現れゝば、それは「つゆのあとさき」の清岡進が手先に言ひふくめて女の袂を切らせたり女の押入れへ猫を投げこんだり、そん...
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・坂口安吾 行雲流水 (青空文庫)
もソノ子のお尻をさすりそうな感極まった情愛がこもって見えたので、人々は妖しさに毒気をぬかれたのであった。 吾吉のたのみを受けたので、ソノ子を訪ねると、弟妹は学校へ行ったあと、男靴が一足あって、誰か押入れへ隠れた様子である。 「これよ。出て来なさい。まん...
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・小酒井不木 好色破邪顕正 (青空文庫)
立てこめてあって、誰も中に入らぬよう、一人の警官が番をして居た。 康雄が署長の名刺を示すと、警官は襖をあけて中へ入れてくれた。そこは八畳の居間で、床の間の脇は押入れになって居てやはり襖が立ててあったが、その...
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・太宰治 思ひ出 (青空文庫)
もそのころは十四五を越えてゐまいと思ふ。苜蓿を私の田舍では「ぼくさ」と呼んでゐるが、その子守は私と三つちがふ弟に、ぼくさの四つ葉を搜して來い、と言ひつけて追ひやり私を抱いてころころと轉げ つた。それからも私たちは藏の中だの押入...
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・太宰治 川端康成へ (青空文庫)
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