「折しも」を含む用例
・大町桂月 月譜 (青空文庫)
ば白露空に横はりて明月高くかゝれるに、心もおのづからすみて、笑いあひつゝ行く路すがら、かたみにうつれる影の頭ふまむと争ひて、あとになり先きになりしが、はてはわれ常にさきになりて、娘の頭ふみければ、はらたてて、共に家へは帰らじとすねたる折しも...
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・上村松園 砧 (青空文庫)
いざ砧を打たんとて馴れし襖の床の上、涙かたしき 狭筵 ( さむしろ ) に思いをのぶる便りぞと夕ぎり立寄り主従とともに、恨みの砧打つとかや、衣に落つる松の声/\、夜寒を風やしらすらん」 秋酣 ( しゅうかん ) の、折しも...
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・大町桂月 菅の堤の櫻 (青空文庫)
魚と鮨とを注文して、腰の瓢箪を取り出す折しも、酒樽到著す。到る處、『正宗』の瓶詰に閉口して、わざ/\瓢箪をもちゆけど、樽酒の新たに來れるを見ては、樽に對してもと、下らぬ處に義理張つて、試に飮んで見たるに、田舍...
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・樋口一葉 すゞろごと (青空文庫)
( おどろ ) かすべき、さこそは人の 羨 ( うら ) やましがるべきをと、嬉しきにも 猶 ( なほ ) はゞかられつゝ、あらぬ事ども言ひかはすほどに、折しもかの 子規 ( ほとゝぎす ) 軒端...
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・片山廣子 蝙蝠の歴史 (青空文庫)
ストはお眼をふり向けて蝙蝠をごらんなされた。すると潮が引いてゆく時のやうに、青と白の色が蝙蝠の体から消えて行つた。蝙蝠はめくらになり黒い体になつてぱたぱた飛んで、折しも迫る夜の中にとび入り、 暗黒 ( くらやみ ) の中...
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・片山廣子 まどはしの四月 (青空文庫)
おのおのの夫には秘密にこの計画を実行したいと思ふので、くるしい工夫をする、どうしても足りない。 折しもこの室へわかい美しい会員がはいつて来る。考へこんで困つてゐた二人の奥さんはこの人に相談をかける。令嬢はびつくりするが、少し...
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・内藤湖南 寧樂 (青空文庫)
の遊觀もかいなでの名處より外に目も及ばず、汽車の便よしといふ長谷、談峯さては人皇の祖と仰がれさせ給ふ神武のみかど、畝傍山の陵さへも、天氣の都合あしくて拜謁を得遂げざりしこそかへす/″\も殘念なりしか。初度の遊は、友なる神澤子と偕にしたり。折しも...
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・折口信夫 筬の音 ——わが幼時の記憶—— (青空文庫)
りなくも、旧き記憶をよびおこして、回想の忘れ路をたどりぬ。 恋 ( こひ ) の 淵 ( ふち ) ・峯の薬師・百済の 千塚 ( ちづか ) など、通ひなれては、そなたへ足むくるもうとましきに、折しも...
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・富田木歩 小さな旅 (青空文庫)
ども行けども思うような蘆が見られないので引き返そうかと思ったが断行もしかねていた。 蘆の中に犬鳴き入りぬ遠蛙 併し、展けた。遂に大蘆原が眼前に展けて来た。私の心は躍った。折しも輝き出した星の色は私の心の喜びの色か。 行く春や蘆間の水の油色 思い残すこともなく帰途についた。三圍...
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・鼠頭魚釣り (青空文庫)
にて立ちては仆れ立ちては仆るゝまゝ要無き響きの手に伝はりて悪(あし)し、球形のは水底に触るゝ時たゞ一たび其響き手に至るのみなれば、いと明らかにして好しと聞きぬ、如何にも道理(ことわり)あることにはあらずや、鉛錐は我が買ひ来しものこそ好けれと云ふ。よつて弟が購(か...
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・福田英子 母となる (青空文庫)
( たちさわ ) げる折しも、 恰 ( あたか ) も陣痛起りて、それと同時に 大雨 ( たいう ) 篠 ( しの ) を 乱 ( みだ ) しかけ、 鳴神 ( なるかみ ) おどろ/\しく、はた...
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・モオパッサン 秋田滋訳 狂女 (青空文庫)
凍って割れるような寒い日のことだった。痛風がおきて僕自身も身動きが出来なかったので、ぼんやり肱掛椅子に 凭 ( よ ) りかかっていた。折しも僕は重々しい律動的な 跫音 ( あしおと ) をきいた。普魯西の軍隊が来たのだ。そし...
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・樋口一葉 あきあはせ (青空文庫)
を払ひて、そゞろ寒けく身にしみ渡る 折 ( をり ) しも、 落 ( おち ) くるやうに雁がねの聞えたる、 孤 ( ひと ) つなるは 猶 ( なほ ) さら、連ねし姿もあはれなり。思ふ人を遠き 県 ( あが...
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・濱田耕作 温泉雜記 (青空文庫)
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・巌谷小波 こがね丸 (青空文庫)
( かな ) 」ト、途方に 打 ( うち ) くれゐたる折しも。 何処 ( いずく ) よりか来りけん、 忽 ( たちま ) ち一団の 燐火 ( おにび ) 眼前 ( めのまえ ) に現れて、高く 揚...
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・饗庭篁村 良夜 (青空文庫)
看れば橋の中央の欄干に倚りて川面を覗き居る者あり。我と同感の人と頼もしく近寄れば、かの人は渡り過ぎぬ。しばしありて見ればまたその人は欄干に倚り仰いで明月は看ずして水のみ見入れるは、もしくは我が疑われたる投身の人か、我未ださる者を救いたる事なし、面白き事こそ起りたれと折しも...
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・泉鏡花 遺稿 (青空文庫)
近く晩の卓子臺を圍んで居たが、 ——番傘がお茶を引いた—— おもしろい。 悟つて尼に成らない事は、凡そ女人以上の糸七であるから、折しも欄干越の桂川の流をたゝいて、ざつと降出した雨に氣競つて、 「おもしろい、其の...
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・川上眉山 書記官 (青空文庫)
う木葉舟の、島隠れ行く影もほの見ゆ。折しも松の風を払って、 妙 ( たえ ) なる琴の音は二階の一間に起りぬ。新たに来たる 離座敷 ( はなれ ) の客は耳を 傾 ( かたぶ ) けつ。 糸につれて唄い 出...
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・福田英子 妾の半生涯 (青空文庫)
の感に打たれしことの今もなおこの記憶に残れるよ。折しも向かいの船に声こそあれ、白由党員の 一人 ( いちにん ) 、 甲板 ( かんぱん ) の上に立ち上りて演説をなせるなり。殺気 凜烈 ( りんれつ ) 人をして 慄然 ( りつぜん ) たら...
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・阿部次郎 帰来 (青空文庫)
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・高島異誌 (青空文庫)
そ妖怪!」 と純八は、腰の太刀に手を掛けると、キラリとばかりに抜き放した。途端に飛びかかる蟒(うわばみ)の胴を颯と斜めに切り付ける刹那、太刀は三段にバラバラと折れた。 「南無三宝!」 と飛び退いた折しも、 「お逃...
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・森鴎外 興津弥五右衛門の遺書(初稿) (青空文庫)
つけ候。某が刀は 違棚 ( ちがいだな ) の下なる刀掛に掛けあり、手近なる所には何物も無之故、折しも五月の事なれば、 燕子花 ( かきつばた ) を活けありたる 唐金 ( からかね ) の花瓶を 掴 ( つか...
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でも彼は常住女色に踏み迷い絶えざる波瀾を捲き起してはおりました。 折しも五郎兵衛は踊りの師匠の娘と恋に落ち、漁色の余裕を喪失して真の闇路を踏み迷う身となった。そのとき五郎兵衛は五十三、娘はとって十九です。娘は琴、長唄、踊りなど諸芸に通じ、国文...
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・坂口安吾 露の答 (青空文庫)
でも彼は常住女色に踏み迷ひ絶えざる波瀾を捲き起してはをりました。 折しも五郎兵衛は踊りの師匠の娘と恋に落ち、漁色の余裕を喪失して真の闇路を踏み迷ふ身となつた。そのとき五郎兵衛は五十三、娘はとつて十九です。娘は琴、長唄、踊りなど諸芸に通じ、国文...
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・坂口安吾 屋根裏の犯人 ——『鼠の文づかい』より—— (青空文庫)
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・水上瀧太郎 貝殼追放 「その春の頃」の序 (青空文庫)
せず消えずいとかすかに思ひも掛けぬ尺八の音の流るるを聞きて、われは我が心を失はんとしたり。 「途すがら」は五六年前九州に在る姉の許に赴きし時、人に誘はれて炭坑を見に行きし日の日記をもととして作りし純然たる小説なり。折しも...
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・神西清 ハビアン説法 (青空文庫)
悪い癖で早速あだ名をつけた。 折しもドミンゴ(日曜)のこととて、会堂の 戸障子 ( としょうじ ) はあけ放たれ、屋内に立ち居する信徒の姿が見える。黒いアビト姿のバテレン神父もちらちらする。オラショ(祈祷)は既に果てたと見え、ちら...
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・清水紫琴 したゆく水 (青空文庫)
み ) を庭の面に、移せば折しも散る紅葉、吹くとしもなき夕風に、ものの憐れを告げ顔なり。 表門 ( おもて ) の方には、奥方鹿子、忍びやかなる 御帰宅 ( おんかへり ) 。三十二相は年齢の数、栄耀...
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・中原中也 山羊の歌 (青空文庫)
ひ 山に樹々、 老いてつましき心ばせ。 かゝる折しも我ありぬ 小児に踏まれし 貝の肉。 かゝるをりしも剛直の、 さあれゆかしきあきらめよ 腕 拱 ( く ) みながら歩み去る。 [#改ページ] 港市...
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・清水紫琴 誰が罪 (青空文庫)
よく考へて御覧、まさかとは思ふんだけれど、いよいよとなれば調べなければならないから。何しろあれの親も、盗人じやあないが、お金を遣ひ込んで這入つたんだといふからね』 折しも 次間 ( つぎ ) に人の気配、奥様...
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用例の品詞分類
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