「争って」を含む用例
・高村光雲 幕末維新懐古談 甲子年の大黒のはなし (青空文庫)
目の板が大事にされたもの……王城の地を中心にして京を上としてある。で、 登る 三枚目とは 室町 ( むろまち ) の方から渡って三枚目の橋板を差すのである。時たま、橋の修繕の際、この橋板は皆が争って得たがったものです。私の...
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・岡本かの子 五月の朝の花 (青空文庫)
ゃくの彩羽の紋所ばかり抜いて並べたパンジー。 毛唐国の花だとさげすみながら、人は何と争って五月の花壇の真中に何よりも大切にこの宝石の様な花たちを、栽培するようになった事よ。さて、その花達に夜の間宿った露、朝日が射せば香わしいほのかな靄となって...
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・佐藤垢石 石亀のこと (青空文庫)
を鈎へつけると、若鮎は争ってそれを食った。若鮎は、遠く河口から上流さして遡りくる途中、藻蝦を常食にしていたためかも知れない。 蛆 ( うじ ) も 藻蝦 ( もえび ) もないときには、 石亀 ( いし...
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・高村光太郎 小刀の味 (青空文庫)
というのは円い溝の形をした突いて彫る小刀である。当時普通に用いられていた小刀は大抵 宗重 ( むねしげ ) という銘がうってあって、此は大量生産されたものであるが、信親、丸山などになると数が少いので高い価を払って争ってやっと買い求めたものである。此は...
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・坂口安吾 碁にも名人戦つくれ (青空文庫)
碁を打ったころは碁の人気は頂点だった。当時の将棋は木村と金子が争っていたが、人気はなかった。近ごろの将棋名人戦のすごい人気に比べて碁の方は忘れ去られた淋しさである。 将棋の人気はいうまでもなく実力第一人者を争う名人戦の人気である。昨日...
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・豊島与志雄 故郷 (青空文庫)
の卵を取り出されたことは、彼等の記憶にない。自分が孵化して育った故郷の地だけが、彼等の記憶に——と云って悪ければ本能的感覚に——残っている。そして其処を指して、腹を裂くべく待構えてる人の手があることは知らずに、先を争って産卵にやって...
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・宮沢賢治 秋田街道 (青空文庫)
キイ色の一人の兵隊がいきなり向ふにあらはれて青い茂みの中にこゞむ。さうだ。あそこに 湧水 ( わきみづ ) があるのだ。 雲が光って山山に垂れ冷たい奇麗な朝になった。長い長い 雫石 ( しづくいし ) の宿に来た。犬が沢山 吠 ( ほ ) え出した。けれどもみんなお互に争って...
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・寺田寅彦 電車の混雑について (青空文庫)
して大多数の人はいずれも熱心に電車の来る方向を気にして落ち着かない表情を露出している。その間に群れの人数はだんだんに増す一方である。五分か七分かするとようやく電車が来る。するとおおぜいの人々は、降りる人を待つだけの時間さえ惜しむように先を争って乗り込む。あたかも、もうそれかぎりで、あとから来る電車は永久にないかのように争って...
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・佐藤垢石 鱒の卵 (青空文庫)
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・林芙美子 ひらめの学校 (青空文庫)
らたのしくはたらく海の国 女の先生が昆布で出来た楽器を鳴らしています。校長先生は、鯖村で貰った人形と云うものを村の衆にみせました。 「人間というものは尻尾がねえンだな。おかしなものだね。尻尾がないと、こっけいに見えるね。戦争って...
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・豊島与志雄 真夏の幻影 (青空文庫)
やがて天空を蔽い初める。広さと深さとの測り知られぬ鬱積した密雲で、頂辺に白銀の光を載せながら、影に闇黒な鬼気を蔵して、中天に翔り上ってくる。地平線の彼方に巨大な根を据えてる、そういう密雲の幾群かが、先を争って...
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・佐藤垢石 支那の狸汁 (青空文庫)
の保持者だ。 だから自分は、学者と経書詩文を論じ、その優劣を争って、人間に一泡吹かしてみなければ興味が薄い。 と途方もない野望を抱いたのである。そして、美青年に化けて、立派な馬に乗り、恵王の陵の門前から、あたりを払って...
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・学生時代 (青空文庫)
練修としては銘々自分の好むところの文章や詩を書写したり抜萃したり暗誦したりしたもので、遲塚麗水君とわたくしと互に相争って荘子の全文を写した事などは記憶して居ます。私は反古にして無くして仕舞いましたが、先達(せんだっ)て此事を話し出した節聞いたらば、麗水君は今も当時写したのを持って...
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・太宰治 心の王者 (青空文庫)
たちにおれは、これを遺産として、永遠の領地として、贈ってやる。さあ、仲好く分け合うのだ。」その声を聞き、 忽 ( たちま ) ち先を争って、手のある限りの者は右往左往、おのれの分前を奪い合った。農民は原野に境界の 杙...
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・堺利彦 赤旗事件の回顧 (青空文庫)
連中はもう表の通りに出て、そこで何か警察官ともみあいをやっていた。わたしが表に飛び出した時には、一人の巡査がだれかの持っている赤旗を無理やり取りあげようとしていた。多くの男女はそれを取られまいとして争っていた。わた...
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・林芙美子 お父さん (青空文庫)
は何とおっしゃったかい」 と、ききます。 「日本は戦争に敗けたんだって‥‥」 「そうだよ、だから、もう、おとうさんも戦争しないでいいのさ」 「戦争っていやですね」 「うん」 おとうさんは宏ちやんを抱きあげて、あごで宏ちやんの頭をぐりぐりやって...
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・長谷川時雨 豊竹呂昇 (青空文庫)
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・蒲松齢 田中貢太郎訳 田七郎 (青空文庫)
った 豹 ( ひょう ) を争って、人をなぐり殺して、つかまえられました。」 武はひどく驚いてかけつけた。七郎はもう 械 ( かせ ) をはめられて監獄の中に入れられていた。七郎は武と顔を見合わして黙って...
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・芥川龍之介 煙管 (青空文庫)
銀に変ったのを見ると、今まで金無垢なるが故に、遠慮をしていた連中さえ、先を争って御煙管拝領に出かけて来た。しかも、金無垢の煙管にさえ、 愛着 ( あいじゃく ) のなかった斉広が、銀の煙管をくれてやるのに、 未練 ( みれ...
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・野上豊一郎 闘牛 (青空文庫)
で復活祭の季節に始まり、十一月まで各地を巡業して歩く。どこの都市でも闘牛場を持たない所はなく、男も女も争って見に行き、貧乏人は着物を質に置いても見に行くということである。折よくサン・セバスティアンに来たのは、サン・セバ...
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・岡本綺堂 倫敦の一夜 (青空文庫)
もその喇叭を人の耳のそばで不意に吹き立てて大勢を嚇かしてあるく悪戯者もある。 もう一つ、これらの悪戯者に脅かされたのは彼のタキシーである。タキシーがこの群衆のなかを押割って乗抜けようとすると、群衆は直にその進行を遮って、誰も彼も争って車の中に乗込んでしまって、余っ...
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・宮本百合子 東京へ近づく一時間 (青空文庫)
ついた痰壺の穴へ指さして教えている。 一つの駅で、野天プラットフォームの砂利を黒靴で弾きとばしながらどっと女学生達が乗込んで来た。いかにも学年試験で亢奮しているらしく、争って場席をとりながら甲高な大きな声で喋り、 「アラア、だって岡崎先生がそう云って...
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・新渡戸稲造 今世風の教育 (青空文庫)
の如きものだとか、 瀕 ( しき ) りに言う。 勿論 ( もちろん ) そうである。職業に就くにも御 互 ( たがい ) に争ってやる、学校にいる時でもお互に点を余計に取ろうと思って競争する。競争には違いない。戦争...
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・菊池寛 勝負事 (青空文庫)
十里もの遠方まで出かけて行くという有様で、賭博に身も心も、打ち込んでいったのです。天性の賭博好きというのでしょう。勝っても負けても、にこにこ笑いながら、勝負を争っていたそうです。それに豪家の主人だというので、どこの賭場でも『旦那旦那』と上...
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・夏目漱石 文芸は男子一生の事業とするに足らざる乎 (青空文庫)
して喜ぶには当らない。文学に大きな価値があるとか無いとか、深い意味があるとか無いとか、両方で争って見た所で、それは要するに水掛け議論たるに過ぎない。本当に意味あり 根柢 ( こんてい ) のある論争ではない。各々...
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・瞿宗吉 岡本綺堂訳 世界怪談名作集 牡丹燈記 (青空文庫)
酒とを 供 ( そな ) えて祭ればよし、さもなければ命を 亡 ( うしな ) うことにもなるので、土地の人びとは大いに 懼 ( おそ ) れ、争ってかの玄妙観へかけつけて、何とかそれを祓い 鎮 ( しず...
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・村山俊太郎 子どもの世界 (青空文庫)
マ字書きの記事を見つけて争いをはじめた。弟はローマ字だといい、兄は英語だというのである。しばらく争っていたが、その裁きをぼくのところに持ち込んできた。ぼくは改めて二人のいい分をきいてから、 では、読んでみるから、お前...
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・芥川龍之介 父 (青空文庫)
いる中をやっと電車から下りて停車場へはいると、時刻が早いので、まだ 級 ( クラス ) の連中は二三人しか集っていない。互に「お早う」の 挨拶 ( あいさつ ) を交換する。先を争って、待合室の木のベンチに、腰をかける。それから、いつ...
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・魯迅 井上紅梅訳 兎と猫 (青空文庫)
いた。子供等は先きを争って私に告げた。もう一つ小さいのが、洞の口から首を出したんですが、すぐに引込んでしまいました。あれは弟でしょう。 その小さいのはちょっと草の葉を 択 ( えら ) んで食ったが、親兎...
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・佐藤垢石 水垢を凝視す (青空文庫)
隠すに適当であるならば、深いところにいた鮎は争って汀近くへ集って来て盛に遙か遠くから指をくわえて眺めていた垢石になめつくのである。川が濁ったならば、ヘチを釣れとはこのことをいうのである。そこで、濁りが消え水が去った後、岡へ...
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