「一段高」を含む用例
・大町桂月 月の東京灣 (青空文庫)
は唯 うん/\とのみ答へぬ。 艫の一段高き處の蓙は、三人にて占めたり。そこには月影させるを以て、三人の顏さやかに見ゆ。二人は洋服の紳士、一人は丸髷の年若き女也。白粉のにほひ、この女より洩れ來たる。三人...
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・岸田國士 島国的僻見 (青空文庫)
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・宮本百合子 ワーニカとターニャ (青空文庫)
ニャの話したことは、もう陳腐な古くさいことよ。誰だって知ってる! ——俺はイリーナを支持するよ。 ——何ガーガー云うのさ。 のどまで、灰色のスウェーターをきっちり着こんだマルーシャが一段高い声で云った。 ——これ...
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・大町桂月 梅の吉野村 (青空文庫)
合したるものなるかとさへ疑はるゝ大木もあり。幾たびか溪に架せる橋を渡る。左に小學校を見、右に村役場を見て、始めて梅の本家なる下村に達す。老木、屋よりも高く、相連なりて林を爲す。その間に家あり、畑あり。一段高まれる天滿宮より更に上りて、小山...
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・一兵卒 (青空文庫)
が画のように斜めにさし渡った。 さっきの下士があそこに乗っている。あの一段高い米の叺(かます)の積み荷の上に突っ立っているのが彼奴(きゃつ)だ。苦しくってとても歩けんから、鞍山站(あんざんたん)まで乗せていってくれと頼んだ。する...
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・芥川龍之介 葬儀記 (青空文庫)
ちはその下に敷いた新しいむしろの上を歩きながら、みんな、体をそらせて、「やっと眼がさめたような気がする」と言った。 斎場は、小学校の教室とお寺の本堂とを、一つにしたような建築である。丸い柱や、両方のガラス窓が、はなはだみすぼらしい。正面には一段高...
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・蒲松齢 田中貢太郎訳 織成 (青空文庫)
襪を齧んでいたためによろよろとして倒れた。一段高い所に坐っている者がその 理由 ( わけ ) を 訊 ( き ) いた。 「その方は、何故に倒れたのか。」 女はその理由を話した。 「ここにいる人間が私の襪を齧んだためでございます。」 高い...
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・宮沢賢治 鳥をとるやなぎ (青空文庫)
にまっ白に少し青白く見えました。私はそれが又何とも云えず悲しいように思ったのです。 その時でした。俄かにそらがやかましくなり、見上げましたら一むれの百舌が私たちの頭の上を過ぎていました。百舌はたしかに私たちを恐れたらしく、一段高...
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・寺田寅彦 蜂が団子をこしらえる話 (青空文庫)
を征服したような心持になって、天然ばかりか同胞とその魂の上にも自分勝手な箸を持って行くような事をあえてする、それが一段高いところで見ている神様の目にはずいぶん愚かな事に見えはしまいか。ついこんな事も考えた。 それから二、三日...
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・寺田寅彦 高原 (青空文庫)
所の庭に市民が群集している。その包囲の真中から何かしら合唱の声が聞こえる。かつて聞いた事のない唱歌のような 読経 ( どきょう ) のような、ゆるやかな 旋律 ( リズム ) が聞こえているが何をしているか外からは見えない。一段高...
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・寺田寅彦 ゴルフ随行記 (青空文庫)
なら楽しみが多いことであろう。賞品は次の日曜日に渡しますとある。人間いくら年をとっても時には子供時代の喜びを復活させる希望を捨てなくてもいいのである。 M夫人が到着したのでそろそろ出掛ける。 一体の地面よりは一段高...
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・泉鏡花 草あやめ (青空文庫)
と ) 培 ( つちか ) ひつ。 彼 ( か ) の名にしおふシヽデンは庭の一段高き処、飛石の 傍 ( かたへ ) に植ゑたり。此処に 予 ( あらかじ ) め遊蝶花、長命菊、 金盞花 ( きん...
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・木下利玄 山遊び (青空文庫)
の日を幸福らしく受け取つて居た。 龍王山は足守の町から見える近所の山では一番高い山である。町の東端から黄色い田圃が段々高くなつて、雜木林になつて、繁茂した松林になつた一番上に、五六本の松がかたまつて の 冠 ( とさか ) のやうに一段高...
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・小島烏水 不尽の高根 (青空文庫)
杖など散らばっている上に、一段高く奥まったところに 甲冑 ( かっちゅう ) が飾ってあり、曾我の討入にでも用いそうな芝居の小道具然たる 刺叉 ( さすまた ) 、袖がらみ、 錆槍 ( さびやり ) 、その...
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・寺田寅彦 俳句の精神 (青空文庫)
この蜂の巣の主の蜂でもあったのである。 このように自然と人間との交渉を通じて自然を自己の内部に投射し、また自己を自然の表面に映写して、そうしてさらにちがった一段高い自己の目でその関係を静観するのである。 こう...
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・林不忘 釘抜藤吉捕物覚書 影人形 (青空文庫)
ていた出方の男と幸七を先に立てて、高座の傍から、楽屋へはいって行った。 右端の一段高いところが、芸人たちが出番を待つ部屋になっていて、取っつきに、裸蝋燭が一本とろとろ燃えていた。それについて、細長い板敷きの廊下がまっすぐ、裏口...
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・あらくれ (青空文庫)
のある寂しい部屋を、お島は夜(よる)厠(かわや)への往来(ゆきき)に必ず通らなければならなかった。そこは畳の凸凹(でこぼこ)した、昼でも日の光の通わないような薄暗い八畳であった。夫婦はそこから一段高...
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・宮本百合子 共産党公判を傍聴して (青空文庫)
もみんなと知り合いのものであるような近しい気がしました。 党員の人たちは普通の着物です。一段高いところにちょこなんと首だけ出して、古くさい法官帽に涎かけのような模様のついた服を着た裁判官がパラ・パラ着席しています。看守や巡査が多勢います。丹野...
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・宮本百合子 自覚について (青空文庫)
したちはこの言葉を少しちがえて考えたいと思います。「女は女のために」というような一段高いところからおためごかしのことをいうほど、わたしたち日本の婦人の生活は安易なものではありません。すべての婦人がほんとうに自分たちのために、ほん...
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・国木田独歩 少年の悲哀 (青空文庫)
さやかなる夜であった。僕は徳二郎のあとについて田んぼにいで、稲の香高きあぜ道を走って川の堤に出た。堤は一段高く、ここに 上 ( のぼ ) れば広々とした野づら一面を見渡されるのである。まだ 宵 ( よい ) なが...
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・折口信夫 呪詞及び祝詞 (青空文庫)
の資格で、高い処に上つて命令する事である。此 のり を発する場所を「 宣処 ( ノリト ) 」と云うた。即、信仰的に設けた、一段高い座なのである。此処で唱へる言葉が、 のりとごと であつた。其を、次第...
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・夢野久作 猿小僧 (青空文庫)
に小便をしかけていた。三人は怒るまい事か、庖丁を口に 啣 ( くわ ) え、 手 ( て ) ん 手 ( で ) に木に登り初めたが、三人が小僧の傍まで来ると、小僧は又一段高い処に登って散々に悪態を 吐 ( つ ) いた...
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・國木田獨歩 少年の悲哀 (青空文庫)
いて 田甫 ( たんぼ ) に出で、稻の香高き 畔路 ( あぜみち ) を走つて川の 堤 ( つゝみ ) に出た。堤は一段高く、此處に上れば廣々とした 野面 ( のづら ) 一面を見渡されるのである。未だ...
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・永井荷風 霊廟 (青空文庫)
道の左右は驚くほど平かであって、 珠 ( たま ) の如く 滑 ( なめら ) かな粒の揃った小石を敷き、正方形に玉垣を以て限られた隅々に 銅 ( あかがね ) の燈籠を数えきれぬほど整列さしてある。第二の門内に這入ると地盤が一段高...
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・宮本百合子 三つの「女大学」 (青空文庫)
いろ変っているけれども、本を借り出すところが一段高くなってそこに係の人がいる役所めいた様子は、やっぱりもとのままのこっている。 係のひとの顔のなかには、遠い記憶のなかで見覚えている面ざしもあって、頼んだ本の来る間を、何と...
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・宮本百合子 待呆け議会風景 (青空文庫)
らあの白っぽい記念塔めいた陰気な建物を遠望するよりここから眺める内部の方が遙にましな感じである。議席も議長席も傍聴席と同じおだやかな藍灰色の 天鵞絨 ( ビロード ) ばりで、下は暗赤色の絨氈がしきつめられている。半円形に並べられている議席はまだ空虚で、一段高...
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・国木田独歩 河霧 (青空文庫)
ち ) を出ると墓地がある。古墳累々と崖の小高いところに並んで、月の光を受けて白く見える。豊吉は墓の間を縫いながら行くと、一段高いところにまた数十の墓が並んでいる、その中のごく小さな墓——小松の根にある——の前...
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・寺田寅彦 映画の世界像 (青空文庫)
によらずしてできるであろうと想像される。 間欠的でなくてほんとうに連続的な映画は不可能であろうか。少なくもわれわれはまだその不可能を証明することはできない。これができるようになったら、記録の器械としての映画の価値は一段高くなるであろう。 以上...
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・石川啄木 郁雨に與ふ (青空文庫)
壓迫を蒙る内臟の不平が夜毎々々に釀した無數の不思議な夢の一つであつた。——何でも、大勢の巡査が突然予の家を取圍んだ。さうして予を引き立てゝ神樣の前へ伴れて行つた。神樣は年をとつたアイヌの樣な顏をして、眞白な髯を膝のあたりまで垂れ、一段高い處に立つて、ピカ/\光る...
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・林芙美子 新生の門 ——栃木の女囚刑務所を訪ねて (青空文庫)
屋々々があって、わたしは何だかそれらの部屋々々をカナリヤ巣をみているようだとおもいました。どの部屋にも割合よく陽があたっていて、廊下より一段高くなっている房のなかは、どの部屋も 畳敷 ( たたみじ ) きで、三畳...
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