「ささやき」を含む用例
・新美南吉 狐 (青空文庫)
白粉 ( しろい ) をぬりこくって顔をいろどっているけれど、よく見ると、お 多福湯 ( たふくゆ ) のトネ子でありましたので、 「あれ、トネ子だよ、ふふ」 とささやきあったりしました。 稚児...
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・松濤明 再び山へ (青空文庫)
年の南方生活の問はとくにそうであった。 復員したのがこの七月、帰って見れば親父が死んでいつの間にか一家の長となっている。その跡片づけの煩雑さ、忙しさは目の廻るようだった。それでも菜園の手入れをしている時など、木蔭を渡る風のささやきに、ふと...
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・薄田淳介 若葉の雨 (青空文庫)
やうにかがやいてゐます。春さきの雨は無言のまま濡れかかりますが、この頃の雨はひそひそと声を立てて降つて来ます。その声は空の霊と草木の精とのささやきで、肌ざはりの柔かさ、溜息のかぐはしさも思ひやられるやうな、静か...
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・寺田寅彦 音楽的映画としての「ラヴ・ミ・トゥナイト」 (青空文庫)
たく女と順々にこれが伝わって行って、最後にはいよいよ引き上げて行くモーリスに、 執念 ( しゅうね ) く追い迫るスキャンダルの悪魔のささやきのようなささやき声の「ナッシンバッタテーラ」が繰り返される。これはかなり印象的である。これ...
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・芥川龍之介 大川の水 (青空文庫)
あし ) に、 猪牙船 ( ちょきぶね ) の船腹にものういささやきをくり返していたのである。 ことにこの水の音をなつかしく聞くことのできるのは、渡し船の中であろう。自分の記憶に誤りがないならば、 吾妻...
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・永井荷風 鐘の声 (青空文庫)
声もまたわたくしには明治の世にはおぼえた事のない響を伝えるようになった。それは 忍辱 ( にんにく ) と 諦悟 ( ていご ) の道を説く静なささやきである。 西行も、芭蕉も、ピエール・ロチも、ラフカヂオ・ハアンも、 各 ( おのおの ) その生涯の或時代において、この...
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・九鬼周造 かれいの贈物 (青空文庫)
ほどのことでもないと考えてやめてしまった。そしてその日から村上は毎朝、毎朝、朝食には山崎より貰った若狭の笹がれいを欠かさずに食べた。主人がよくも飽きないものだと台所で女中たちがささやき合った。 底本:「九鬼周造随筆集」菅野昭正編、岩波文庫、岩波...
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・宮本百合子 町の展望 (青空文庫)
か熱いの一杯ひっかけりゃ癒っちゃう、何ぞってと風邪をだしに使いやがる。——う? うむ、そうさ。——じゃ待ってるぞ」 再び森閑とした夜気。——私共は炬燵にさし向いの顔を見合わせ、微笑んだ。こちらのささやき。 「 地方色 ( ローカル・カラ...
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・薄田泣菫 雨の日に香を燻く (青空文庫)
鳥虫の小さな精と忍びやかに語るのもこの時。今は見るよしもない墓のあなたの故人を呼びさまして、往時をささやき交はすのもこの時です。 香の煙の消えるともなく弱つて往く頃には、私の心も軽い疲労をおぼえて来ますので、私は...
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・中井正一 カットの文法 (青空文庫)
ともファッショ時代はその反対であろうが。 ここに映画は、別の文法をもっていることを考えざるをえない。 トーキーあるいは字幕で通り一遍の「繋辞」「コプラ」をもってはいる。しかし、もう一つの大きなコプラは、大衆が「である」「でない」と胸三寸でつぶやくそのささやき...
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・墓 (青空文庫)
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・立原道造 暁と夕の詩 (青空文庫)
でないばかりに それは明日)と 僕らのおもひは ささやきかはすであらう ——秋が かうして かへつて来た さうして 秋がまた たたずむ と ゆるしを乞ふ人のやうに…… やがて忘れなかつたことのかたみに しかし かた...
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の音を聞いて涼むことが出来る。 ブラウン夫婦とジユリエツトと僕とは、小さい卓を囲んで据わつて、トルコの菓子や 阿月渾子 ( あるごんす ) を 噬 ( か ) みながら、ぼんやりして水のささやきと木の葉のそよぎとを聞いてゐた。その...
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にむかってささやきました。 「おまえさんたちよりも、もっときれいなものがあるかしら。」 けれども ばら は首をふって、 「エリーザがいますよ。」とこたえました。 それからこのうちのおばあさんは、日曜...
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ど知恵が尽きて他にどうにもしようがなくなった者でなければ、どんな敵手でも見のがしたものであろう。——私の競争者は 咽喉 ( のど ) の器官に悪いところがあって、そのためにどんなときでも ごく低いささやき以上に 声を高めることができなかったのだ。この...
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・佐々木味津三 右門捕物帖 明月一夜騒動 (青空文庫)
独特のなにものも見のがさないあの目を見そそいでいるとき——あいきょう者がこれはまた珍しや、いつになくもったいらしい顔つきをしながら、小陰へ手招くと、ものものしく声をひそめてそっとささやきました。 「ご新造が、だん...
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・大手拓次 藍色の蟇 (青空文庫)
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・豊島与志雄 街の少年 (青空文庫)
イは息をこらしました。 自動車から運転手らしい男がおりてきて、奇術の紳士となにかささやきあい、二人ではしごからボートの中におりていきました。しばらくして、四五人の男が、大きな箱をかかえてのぼってきて、その箱を自動車にのせ、上か...
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・芥川龍之介 日光小品 (青空文庫)
い杉の下かげには落葉をたく煙がほの白く上って、しっとりと湿った森の大気は木精のささやきも聞えそうな言いがたいしずけさを漂せた。そのもの静かな森の路をもの静かにゆきちがった、若い、いや幼い巫女の後ろ姿はどんなにか私にめずらしく覚えたろう。私は...
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・宮本百合子 五月の空 (青空文庫)
に多くのまといが出来た。 それ等の声に耳を傾け 私も亦 人に洩れぬ 私語 ( ささやき ) で 物語り 見えぬ友情 絶ち難い 愛が 二人の胸を繋ぐ。 私は、此一生を お前の 愛に捧げよう、 我生をその愛に献じ 魂を...
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・小泉八雲 田部隆次訳 雪女 YUKI-ONNA (青空文庫)
から眼を上げないで、お雪は答えた、—— 『その人の話をしてちょうだい。……どこでおあいになったの』 そこで巳之吉は渡し守の小屋で過ごした恐ろしい夜の事を彼女に話した、——そして、にこにこしてささやきながら、自分...
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・倉田百三 愛の問題(夫婦愛) ——生命の法に随う—— (青空文庫)
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・楠山正雄 金太郎 (青空文庫)
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・楠山正雄 田原藤太 (青空文庫)
( かお ) が 青 ( あお ) くなって 来 ( き ) ました。 「ああ、もうそろそろむかでがやってまいります。」 と 龍王 ( りゅうおう ) は 息 ( いき ) をはずませながらささやき...
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・中井正一 映画と季感 (青空文庫)
私の肉体と同様に大地そのものの中に、この行進のわななきを感じた。そして私は、私たちのまえにただ一つの皺も、ただ一つの襞も、ただ一つのささやきもなしに開いているこの青い空間に不思議な 和 ( なご ) やかさを見いだした。おお、私た...
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くしは、道中韻をば捻つてた。 わが宿は、大熊星座。大熊星座の星々は、 やさしくささやきささめいてゐた。 そのささやきを 路傍 ( みちばた ) に、腰を下ろして聴いてゐた あゝかの九月の宵々よ、酒かとばかり 額...
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・芥川龍之介 大久保湖州 (青空文庫)
老人主が側に進み寄りて、何事をかささやきしに、主は言葉なくして唯笑ひけるを、彼れ其の儘退きしと云ふ。 「老人ささやきしは、『今の如く塩辛く漬けさせ候てさへ、朝夕の用夥しきものを女房達の好みの如く、塩加減いたし候はば、何ほ...
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・岡本綺堂 蜘蛛の夢 (青空文庫)
くしも涙ぐまれて来ました。 「それにね。」と、母はまたささやきました。「叔父さんはこのごろ妙に気があらくなって、 家 ( うち ) じゅうの者をむやみに叱り散らして……。叔母さんが何かいうと、あたまから呶鳴りつけて……。まる...
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して若者と娘つ子とが互ひに朝夕顔を見あはせて暮してゐた日には……それがどんな結末になるかは、火を見るより明らかな話で、まだ 黎明 ( しののめ ) の頃ほひ、赤長靴の 踵鉄 ( そこがね ) が目につけばそこには必らずピドールカが情人のペトゥルーシャと甘いささやき...
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野は花の海で、花粉のためにさまざまな色にそまったおかあさんの白い 裳 ( もすそ ) のまわりで、花どもが細々とささやきかわしていました。 蜂鳥 ( はちどり ) や、 蜂 ( はち ) や、 胡蝶 ( こち...
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